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淑徳大学 女子柔道部

『Atleta』が『月経』と向き合うきっかけに

淑徳大学女子柔道部 野瀬英豪監督

淑徳大学 女子柔道部 監督・野瀬 英豪氏

<チームの情報>2020年2月現在
部員数:26名
指導者数:監督1名、外部コーチ2名、師範1名
Atleta導入時期:2018年7月

監督・野瀬 英豪氏 経歴
公益財団法人 全日本柔道連盟 全日本女子ジュニアコーチ。
柔道の選手として活躍し、30歳で現役を退いた後に埼玉大学で男子の指導監督に着任。
32歳で淑徳大学女子柔道部の指導を開始し、最初の1年間は監督代行を務める。その後正式に監督に着任し、現在8年目。

 

変わらない柔道スタイルで勝負し続ける淑徳大学女子柔道部のこだわりとは…


Q:選手を指導する上で大切にしていることを教えてください
└まず一つは、組み合う柔道で一本を追求するということですね。
柔道はどんどんルールが変わるスポーツのため、勝つことを考えると「技あり」や指導の取り方などの細かい部分を狙うのが効率的だという考え方もあるのですが、我々のチームでは“ふたつ組んで、投げる”とか、“決める”、“おさえこむ”、“1本”などの100年200年経っても絶対に変わらないであろう柔道の“ど真ん中”にこだわって勝ちたいと常々話しています。
専門的なところでいうと「組手」にも重きを置いています。組まない柔道をした方が投げられるリスクも減るため、ポイントが取りやすいという面はあります。一本を取られにくいですし、ディフェンスを固めていけば勝利できる可能性は高くなります。ただ、それはさせたくないので、お互いぐっと組み合ったところから勝負するよう伝えています。
そうすることで柔道の技を磨きたいですね。
スカウティングの際にも「うちはこういう信念で柔道をします。」ということを伝え、共感できる選手に来てほしいと話しています。時代に対応していくことももちろん必要ですが、「一本をとって勝負する」、「自分の技をつくる」という点に関しては最も大切にしています。
今の若い世代には勝ちにこだわる(ポイントをとっていく)柔道を求める人も多いかもしれませんが、勝ち負けだけではなく、自分を磨くという要素も柔道の大きな魅力です。やはり武道ですので自分を磨くという部分にも価値を置いて大事にするチームがあっても良いのではないかと考えており、勝つことだけが偉いのではなく、負けても失わない価値を追求したいです。しかし、その結果負けていてはただ理想を語っているだけになってしまうので、そうならないための努力は必要です。
もう一つ大切にしていることとして“ネガティブ禁止”があります。
「ポジティブにやろうよ!」というと、明るくしなきゃダメだとか社交的にしなきゃダメだと捉えがちですが、そうではなく「ネガティブになることを少しずつ減らしていくことがポジティブなんだ」というメッセージを込めています。この言葉は学生も気に入っており、道場にも貼っています。
試合に負けるとどうしても落ち込んでしまうので、そういうときによく使いますね。負けてしまってなかなかポジティブになれないときも、努力してきたことはなくならない、これまで一生懸命取り組んできたことに意味がある、ということをこの言葉で伝えたいと思っています。人生はその繰り返しで良いことばかりではないため、悪かったときにポジティブになる必要はないですが、落ち込みすぎないことを覚えておいて欲しいと考えています。
淑徳大学-女子柔道部-野瀬英豪監督-インタビュー

Q:『Atleta(アトレータ)』導入のきっかけ、導入前に感じていたコンディショニングについての課題を教えてください。
└寮生活のなかでも自立させたいという思いが以前からあり、淑徳大学の柔道部は私立では珍しく自炊をするようにしています。一般的な寮だと食堂と契約するのが普通ですし、選手を強くすることを考えると絶対にそのほうが効果は出やすいと思うのですが、「食事も作らずに4年間生活するというのは大学生として良いのか?」という思いが強く、自炊を推奨してきた背景があります。ただ、どうしてもケガが多かったり体重管理が難しかったりと、コンディションを崩してしまったときに学生を預かっている立場としての責任があるため、コンディションを記録し保護者にも示すことができる体制にしておく必要があると判断し、1年生だけでも『Atleta』を活用しようという決断に至りました。1年生の間に自分でコンディショニングを把握する習慣をつけて、上級生になったら各自で管理するようにしています。
また、ずっと柔道の現場に携わってきた身としては、これまでデータ活用の必要性をあまり感じてこなかったのですが、他の競技でアナリストをされている方から『Atleta』の話を聞いて、あらゆる競技でアナリティクスやデータがどんどん活用されている状況を知り、10年後、20年後、100年後の柔道を考えた時、改めてデータの重要性を思い知りました。私が現役の時代には必要ない要素だったかもしれませんが、データが蓄積されていないことで圧倒的に不利になる時代が来ると考えると、次世代の選手には絶対に必要なものだと思います。

 

『Atlea』の導入で女子選手の指導にあらわれた変化とは?!


Q:Atletaの活用方法や、導入後の変化を教えてください。
└大きな変化としては、月経を選手が報告してくれるようになったことです。女子選手は女性ホルモンによって競技のモチベーションまで左右されるケースが多いので、それをやる気の問題で片づけてしまうのはとても酷ですよね。だからこそきちんと報告してもらえるような方法を模索して、『Atleta』にたどり着きました。
選手たちは誰かが報告すると言い出しやすくなるようで、「今日は月経が辛いので帰りたい」とか「トレーニングだけにしても良いですか」といった相談が増えました。「月経のことを伝えても良いんだ」と、『Atleta』を活用することで選手たちも気が付いたのだと思います。
指導者側からすると、これまで月経時にも体調が安定していた選手が不調を記録すると、ちょっとした体調の変化を把握できますし、階級により減量が必要なスポーツのため周期が不定期になっている時も気付くきっかけになっています。女子アスリートと月経は切っても切り離せないにもかかわらず、これまで柔道界でそれをきちんと理解できているのは女性の指導者ばかりだと感じていました。私自身、以前は選手の精神力の問題だと考えていた時期もあったのですが、指導を続けていくにつれて、定期的にやる気が落ちる時期があることに気付きました。これが男子であれば、落ちたやる気はこちらから解決策を示して上げていく必要がありますが、女子選手は落ちる時期が終われば自然と上がってくるという不思議さも目の当たりにしたことで、圧倒的に男女間で差異があるのだと実感し月経の影響の大きさを改めて知りましたね。男性の監督として月経についてどこまで踏み込んで良いのかと迷う気持ちもありましたが、今では『Atleta』のおかげで把握しやすくなってきましたし、コミュニケーションのきっかけになっています。

入力状況のムラには苦戦する面もありますね。選手たちは我々指導者に「やる気がない」と思われたくないので、栄養価の低い食事や体の痛みなどを正直に入れない選手もいます。しかし我々としては、例えばカップラーメンを食べたならそれを記入してくれた方が食事について話すことができるので有難いです。ケガも同様で、痛みや不調を抱え始めているときに伝えてくれれば、試合日から逆算してこれ以上悪化させないための練習を組んだり、新しい提案ができるので、今無茶をすることは決してベストではないということを選手は納得しやすくなるはずです。そのような話ができるようになれば痛みをきちんと報告できる習慣がつくので、それが理想的ですね。

 

アプリと紙を併用することで、選手の心と体を同時にサポート!


Q:Atleta以外の取り組みについて教えてください。
└アプリでのコンディショニングとは別に紙の「フィードバックシート」があり、一人ひとりの課題や目標、その日の自己評価などを記入させています。柔道は団体スポーツではないため、選手の抱える課題については一人ひとりと話し合う時間を設けたり、フィードバックシートを通じたコミュニケーションを取るように意識しています。
『Atleta』が具体的なコンディションをサポートするものだとすると、フィードバックシートは選手の心の支え、人生の支えとしての役割を持っていると考えています。自分が4年間やってきたこと、乗りこえてきたことをこれから先の人生の苦しい時期に振り返ることで、もう一度頑張れるきっかけになるものだと思っています。選手のなかには、トロフィーよりもこのフィードバックシートが大切だという人も多いですね。
私も選手時代から、メダルそのものではなくメダルをとるまでの過程に何よりも価値があると感じていたため、その過程をもっと残しておけばよかったと後悔していました。だからこそ私が指導する学生には、4年間の軌跡をきちんと残して卒業式の日に返すように決めています。
選手にとっては勝ち負けが全てのように思えてしまうかもしれませんが、それは瞬間的な彩でしかなく、勝っても負けても自分がやってきたこときちんと評価して、柔道ができることへの感謝などが綴られた文章を読むと「あぁ、大変だったけどやってきてよかったな」と思いますね。日本一になった選手も、そうじゃない選手も、充実した日々を過ごしていたことを確認できると指導者として嬉しさや満足感を覚えます。

淑徳大学-女子柔道部-練習ノート

 

指導者と選手が「共生」することで、淑徳大学の女子柔道部は強くなる


Q:昨今、ブラック部活問題やスポーツの場面の指導のあり方について、プロアマ問わず様々な報道がされていますが、今後、部活動をはじめ若年層の選手への指導は何が大切になってくるかについて、先生のお考えをお聞かせください。
└淑徳大学の建学の精神が「利他共生」であるように、選手も指導者も互いに寄り添い合わせていくことを大切にしています。それが信頼関係を築くための重要な要素です。柔道は数字による結果が出やすい競技ではないため、プレーが良くなっていれば柔道そのものを評価しますし、言葉が前向きになってきていれば選手の内面を評価するなど、一人ひとりの選手の成長にフォーカスしていきたいと考えています。
指導者の考えも理解してもらいたいため、自分の話もするようにしています。指導面での悩みも話すことがあり、例えば今のチームには闘志が足りないと思っているのですが、それを選手自身に「どうやって君たちの本能に呼びかければいいんだろう?」と聞いたりします。(笑)
そのようなコミュニケーションはどうしても全体ではできないので、柔道ノートなどを活用してやり取りすることも多いですが、基本は面と向かって対話をすることに重きを置いています。ただ、テクノロジーが進化していることも事実なので、それをどう日頃の対話に入れこむか、ということを常日頃から意識して視野を広げようとしています。
このような指導を続けながら、淑徳大学の女子柔道部は日本一になることを目標としています。そして個人的には、選手の可能性を伸ばしていける指導者になりたいですね。
淑徳大学-女子柔道部-野瀬英豪監督

大学1年生・濵名凪 選手インタビュー【『Atleta』で達成感と変化を実感!】
http://www.climbfactory.com/result/case/4104/