なぜ選ばれ続けるのか。つながりと自主性が育てるチームの強さ

#65 バレーボール 鳥栖商業高等学校 行武 泰信 監督

なぜ選ばれ続けるのか。つながりと自主性が育てるチームの強さ

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2026.05.18

目次

昨年度はインターハイに春高バレー出場と結果を出し、名実ともに力を付けてきた鳥栖商業高校女子バレーボール部。県立高校ながら安定して成果を出し続けるその背景には、「自主性」を軸にしたチームづくりと、時代に即したコンディショニング管理がありました。

選手・マネージャー・保護者を巻き込みながらチームを成長させる行武監督に、指導哲学からAtletaの活用、そして“選ばれるチーム”であり続ける理由を伺いました。

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先輩から後輩へ。つながりで選ばれるチームの魅力

2025年度を振り返るとインターハイも春高バレーも出場されてチームとしてもよい1年だったのではないでしょうか。

そうですね。春高が終わってからの新人戦で優勝し、その後の九州大会でも3位入賞でした。選手たちにとってもかなり自信に繋がっています。
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部活動の競技力でいうと、どうしても私立高校が強い印象がある中で、県立でここまで結果を残せているのには何か理由があるのでしょうか。

佐賀県の制度として、県立でも強化指定された部活は入試の段階でスカウトすることが認められています。鳥栖商業高校では女子バレーボール部がそれに指定されているので、この制度に沿ったスカウティングも行っています。あとは県立という点が逆に強みになっているところもあります。本人や保護者の考えで県立に行きたいという子もいますし、あとはチームの雰囲気やスタイルを見て良い選手が集まってくれているのかなと思います。
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県としてそういった制度があるのは珍しいですね。チームの雰囲気やスタイルというお話も出ましたが、チーム内の雰囲気ってどうやって中学生に伝わっているのでしょうか。

部員の後輩にあたる子たちが噂を聞いて選んでくれています。同じ学校とかクラブに所属していた中学生が、先輩の話を聞いて進学してくれる事が多いです。
選手たちの中学時代の人間関係が良いからこそ、その繋がりをチームにも繋いでくれている形になっています。
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なるほど。入学前に先輩から情報を聞けると中学生も安心ですね。

もう一つの理由としては、中学校やクラブ、代表チームなどと一緒に練習する機会も多いことでしょうか。
高校生に教わりたいとか、胸を貸してほしい時に来てもらうことが多いですね。
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中学生もそういった機会があると嬉しいですよね。

私自身、昔中学校の教員をやっていたのですが、同じように高校にお世話になることも多かったので、逆の立場になった今はできるだけたくさんの中学チームを受け入れようと思ってやっています。
選手はもちろんですが、中学校の顧問はどうしても専門の方ばかりではないので、質問などにも答えるようにしています。また、中学生の指導を部員にさせています。自分が今やっている練習の意味が理解できているか確認し、それを言語化して中学生に説明させる経験ですね。
そういったことを続けているので、チームの雰囲気が伝わっているのではないかと思います。
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男性指導者でも踏み込む時代。月経管理への向き合い方

2020年からAtletaを活用されていますが、導入のきっかけは何だったのでしょうか。

導入前はケガや病気を口頭での自己申告制にしていたのですが、なかなか正直に言ってもらえず…特にケガを隠す選手が多かったです。そのため、せっかくトレーナーさんがついているのに発見が遅れることも多く、どうにか対策できないかと考えていました。そんな時にAtletaの紹介を受け、やりたいことにバチッとハマったので、そのまま導入したという経緯です。
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コンディションの中で、特にルナルナ連携を使った月経管理もしっかりされている印象があります。これはAtleta導入前から管理されていたのですか?

全くしていませんでした。当時から勉強しなくてはと思っていたのですが、なかなかきっかけがなくて。そんな時に導入したAtletaに、機能として付いていたので始めたのが最初です。
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異性の指導者が踏み込むことに、ハードルを感じている方もいらっしゃいますが、その点いかがでしたか。

始めたての頃は正直ありました。やはり自分が男性である以上立ち入れない部分もあるのかな...と。ですが時間が経つに連れて、そうも言ってられないと思いましたし、女性アスリートに対しての考え方も時代の変化と共に変わってきましたよね。
月経とか貧血に関することとか、もっと真剣に指導者が向き合わなければいけない風潮になってきた印象があるので、今は特に『男性だから…』という考えはないです。
また、選手たちも同様で、最初のうちは抵抗があったかも知れないですが、記録を当たり前にすることで抵抗感は無くなってきたかなと思います。
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確かに女性アスリートに対する気運も変わってきましたよね。

私が特に心配しているのは月経不順と貧血です。これらは早めに見つけてあげないといけないので、しっかり管理しています。
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マネージャーが、チームを動かす存在になる理由

月経管理もそうですが、日頃のコンディション入力は行武監督が指導されているのですか。

そのあたりはマネージャーが言ってくれています。普段の入力も朝からマネージャーがチェックしていて、入力が無い選手には私が知らないところで声をかけてくれているようです。間にマネージャーが入ってくれていることで、色んなことが上手く回っている気がしています。
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マネージャーがAtletaのチェックも担っているのですね。

マネージャーが今年は4人います。毎年希望で入ってきてくれる子が多いんですよ。それぞれに役割を与えていて、その内の1つがAtletaのチェックですね。その他だと試合時の審判、対戦校のデータを集めて分析するとか、様々な役割を担ってもらっています。
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チームのために動いてくれるのはとても心強いですね。

人付き合いする機会も多くて、試合や合宿先で他の指導者と接することが多いのですが、そういった大人との会話が多くなることでコミュニケーション能力も高まっていると思います。よく他校の先生からかわいがってもらっていますよ。マネージャーがチームの顔になっていますね。
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大人とのコミュニケーション能力も高められて、本当に素晴らしいですね。

選手はもちろんですが、マネージャーもすごく成長しますね。うちのチームでは、選手とマネージャーが対等の関係性です。マネージャーはただのお手伝いさんではなく、選手と同じ立場で部活に取り組んでもらっています。
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それだけ本気でマネージャー業をやり遂げられたら、きっと就職にも活きるでしょうね。

本当にそうで、実際歴代のマネージャーは結構良いところに進んでいる子が多いですね。「マネージャーやっていました」と言っても、幅広い経験をしてきているので、それらを面接で話すとすごく充実した高校生活を送ってきたのだと受け取ってもらえています。先ほど話したコミュニケーション能力もあるので、そこも武器に出来ているようです。
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数値そのものよりも変化を見る。コンディション判断の基準

Atletaの利用を始めてから、チームとして改善されたことはありますか?

ケガを隠す選手がいたという話をしましたが、導入後はケガの早期発見ができるようになりました。Atletaで痛みの報告を受けて、トレーナーと連携しながら練習メニューを考えられるようになったのは、大きな改善の一つです。あと、貧血がひどい選手もすぐに見つけられるようになりました。栄養士さんと連携して食事の改善に取り組むことができているので、全体的な意識は高まりましたね。
予防的な側面でかなりAtletaが力になっています。
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選手のパフォーマンス面ではいかがでしょうか。

練習試合でも、ケガがあるかないかで起用の仕方も違ってきます。
前回との痛みの度合いを比較した上で、選手を出すか出さないかの判断ができるようになりました。また、 先週と今週を比較して、今週は少し練習を抑えようとか、客観的な数字で見ることができる点も非常に役立ちます。
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身体の気になる部位の痛みの度合いは、全10段階設定できるのですが、チームで基準値みたいなものは設けていますか。

特に基準値は設けていません。
設定される値はおそらく同じ痛みでも、選手によってばらつくと思います。だから私は数値そのものよりも、変化の幅を注視するようにしています。
例えば4→5になっている選手と、1→5になっている選手がいたら、1→5の方を気にしますね。あとは通院した翌日の値の変化を気にします。
治療を受けたあとどのくらい落ち着いたか、それともあまり変わらないのか、逆に増えていないか…。これによりケガの重症度を見ています。
練習に復帰できるまで時間がかかる場合、選手と話す機会を作ったりしますね。
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身体の気になる部位以外ですと、体重の記録もされていますね。

はい。体重についてはおかげさまで学校にInBodyがあるので、その計測結果をAtletaに入力させるようにしています。
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保護者アカウント機能は、どのようにご活用いただいていますか。

スケジュール機能でチームの活動は共有できていますし、合宿の案内等は連絡ボードで出しています。
このあたりは今まで紙で運用していた部分なので、それがAtleta内で完結できていて、とても便利になりました。
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競技力・社会性・向上心。“3つの柱”で育てるチームづくり

行武監督が指導するうえで、大切にしていることはありますか。

部活動は自主性を持たせるのが一番大事だと思っています。ただ中学校の延長として高校の部活をやってもしょうがない。中学校と高校の違いは出すべきだと思っているので、ある程度は自分たちの自由に任せています。

例えば、保護者が生徒の代わりに指導者へ報告することは認めていません。何かあれば、生徒本人が直接伝えるようにしています。この方針は保護者にも伝えており、「必ず本人から行動させてください」とお願いしています。
『親離れ・子離れ』をテーマのひとつにしていて、3年後には成人する年齢になりますから、それまでに親も子離れできるようになってもらいたいと思っています。
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保護者にもしっかりチームの方針や目的を伝えられているのですね。

部活動の目的をはっきりしないといけないと思っていて、保護者会でも3つの柱を伝えています。

1.全国大会で活躍するための競技力を高める
2.規則や態度、礼儀作法を守る社会性を身につける
3.学業と部活動を両立する向上心を持つ

バレーの競技力だけでなく、これらすべてを伸ばすために部活動をする、という意識を、保護者にも持ってもらっています。
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先程の3つの柱にも関連するかと思いますが、これまで指導してきた経験の中で、『こんな選手は伸びるな』といった像はありますか。

とにかく練習が好きな子ですね。それも、ただ練習をやるだけではなくて、ちゃんと何が必要かを理解したうえで、練習できる子は伸びますね。
平日の全体練習が大体3時間で、その後1時間ぐらい自主練の時間にしています。また朝も30〜40分ほど自主練できる時間があるのですが、そこはあくまで自分が自由に使える時間なので、何をしてもいいんですよね。
そこでただ自分のしたい練習だけをして過ごすのか、それとも全体練習でできなかった課題を解決するための時間にするのかでは全く異なります。
課題が解決されていれば、指導者から見ても『伸びている』と感じますし、実際に伸びていくなと思いますね。
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県立高校から、選ばれ続けるチームをつくる

鳥栖商業女子バレーボール部の実力はもちろんですが、中学生にも選ばれるチームである所以が分かった気がします。

Atletaがあることも人気の一つだと思います。中学校にも、他の高校チームにもない取り組みの一つですし、Atletaを中心にトレーナーや栄養士のサポートといった付加価値も含めて、魅力に感じてもらえていると思います。
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とても嬉しいです、ありがとうございます。最後にチームの今後の目標を教えてください。

まずは実績を上げなければいけないですね。去年も全国に行っていて、選手たちはベスト16と言っていますが、さらに上に行けるように頑張らないといけないと思っています。そのためには全国出場の機会をこれからも逃さないのと、実績を前年よりも上げていくことですね。
あとは何よりこのチームがずっと続くことですね。やはり県立という立場で、私立との人気の差もこれから開いていきますから、鳥栖商業高校のバレーボール部の伝統がこれからも続いていくよう、指導者として、1人の教員としても目標です。
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鳥栖商業高等学校 女子バレーボール部(とすしょうぎょう)
行武 泰信 監督(ゆくたけ・やすのぶ)

<チームの情報> 2026年4月現在
メンバー:28名
管理者:5名
Atleta導入時期:2020年3月

<チームの主な成績>
第78回 全日本バレーボール高等学校選手権大会 出場
第72回 全日本バレーボール高等学校選手権大会 出場
令和7年度全国高等学校総合体育大会 出場
令和元年度全国高等学校総合体育大会 出場