【活用事例】#62 サッカー 鹿島学園高等学校

“強いチームの日常”は、ここが違う。フィジカル・役割・データで作る女子サッカー

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2025.12.08

目次

今年関東大会初優勝を収めた鹿島学園高等学校女子サッカー部。次なる目標、全国ベスト8の壁突破に向けて活動しています。
「謙虚に貪欲に最後まで」を胸に、サッカーが大好きな選手たちが日々成長を重ねています。

徹底したフィジカル強化、『Atleta』でのコンディション管理、役割を持つことで育まれる責任感。
晝間監督が築くのは、競技力と人間的成長を併走させるチームでした。今回はその実践の数々を紹介します。

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「謙虚に、貪欲に、最後まで」すべては自分に矢印を向けるために

『まずは自分に常勝であれ』をチームコンセプトに押し出していますが、どういった思いがあるのでしょうか。

うちのチームは創設から15年目を迎えるのですが、その創設当時からある言葉です。『常に自分自身に矢印を向けて、しっかり努力しよう』といった意味合いを込めていて、僕が監督になってからはそれと同時に『謙虚に貪欲に最後まで』をテーマに活動しています。
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意識的にテーマを持ってチーム全体で活動されているのですね

実は今ちょっとクラウドファンディングをやっていまして、そちらでもこれを合言葉に多くの方々に協力していただいています。
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クラウドファンディング #鹿島学園女子サッカー部
夢があるから強くなる。謙虚に貪欲に最後まで
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『謙虚に貪欲に最後まで』という言葉にはどういった意識が込められているのでしょうか。

どんな相手にもしっかり謙虚さを持って、勝つことや上手くなることに貪欲になって、最後までやることはやり続ける。シンプルにそういったことですね。これは僕が監督になってからずっと言い続けていることです。
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この言葉実際チームの中で体現できていると感じますか。

朝練や自主練をする選手が明らかに増えている感じはありますね。このあたりは強制していないので僕は見ていなくて、まぁ誰が練習出ているのかだけチェックしていますが。
ただその中で練習に参加している選手は結構増えていて、それが個人やチーム力の向上に繋がっている感覚はありますし、謙虚さや貪欲さがある程度浸透したことが顕著に感じます。
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関東王者を支える“走り切る体”フィジカル改革の真実

鹿島学園高校はとても設備が充実している印象があります。そういった部分も強さの秘訣だったりするのでしょうか。

施設については学校側がしっかり力を入れてくれています。関東近辺で人工芝2面あってナイター設備完備、室内練習場も付いている学校なんてそう無いでしょうからね。
地域的にも周りに遊ぶところがないので、何かに打ち込むには素晴らしい環境だと思います。
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トレーナ等のサポートもありますよね。

僕が監督になった当初、指導者は僕1人だけだったので何かと大変で…流石に手が回らなくなったので、外部からサポートのスタッフに来てもらうようになりました。
特にトレーナーが2人いて、うち一人はおそらく他のチームには珍しいフィジカルトレーナーです。フィジカル面で女子の体についてレベルアップできるような形を取ったことが今年は結果にも表れた印象があります。
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具体的にフィジカル面でどういった結果が現れましたか。

走り負けない選手が増えましたね、あとはケガも明らかに減りました。
これが結果的に関東大会優勝にも繋がったと思うので、フィジカルトレーニングをやった甲斐を特に今年は感じました。
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フィジカルトレーニングというとウエイトや筋トレなんかをされているのですか。

そうですね。多分うちは高校女子サッカー界で一番筋トレしている自信ありますよ。
週3回はやっていて、女の子がどんどんゴツくなっていくんです(笑)それも校内に女子専用のトレーニング施設があるからこそだと思いますし、女子サッカー部専用の機器も揃っているので、良い環境でできていると感じます。
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日々のコンディションから、ケガのリスクをキャッチアップ

『Atleta』導入のきっかけを教えて下さい。

日々の振り返りを練習後にすることの重要性は昔から感じていて、以前はLINEで個別に振り返りを送ってもらっていましたが通知の数が多くて…
『Atleta』だと一括で管理できるし、その他にも使いたい機能があったので導入しました。
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コンディションにおいて注視していたり、毎日欠かさずチェックする項目があれば教えて下さい。

先程の話に繋がるのですが、うちのチームはかなりフィジカルトレーニングをするチームなのでウエイトをする前日と当日のコンディションはよく見るようにしています。そこが落ちているとケガのリスクが高まるので。『Atleta』のデータはトレーナーとも共有しているので、お互い気をつけながら指導しています。
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LINEから『Atleta』に変えて選手側の反応や書いてくれる内容の変化はありましたか。

『Atleta』を導入して日々のコンディションの記録がルーティンになり、LINEの時よりも書き忘れが無くなった感じはありますね。それだけ手軽に記録ができているのだと思います。
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役割を持たせて育てる“責任感”と“自立”

確かに入力率がとても高い印象です。これは導入当初からですか?

いえ、当初は結構記録を忘れる選手も多くて指導していた気がしますね。徐々に時間をかけて入力を定着させていきました。
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新入生が入ってきた際も、監督がしっかり指導されているんですか?

最初の1ヶ月だけ、それぞれに担当を付けて先輩から指導してもらうようにしています。
『自分が書いたら担当の1年生も書いたか都度確認する』という作業をしてもらうことで、先輩も1年生も『Atleta』の入力を定着させています。
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新入生が入るタイミングで緩んでしまって全体的に入力率が下がるチームもあるので、とても良い活動だと思います。

これとは別に『Atleta係』を学年に1人ずつ担当させていて、入力が緩んだタイミングで係から声かけてもらったり、コメントのテーマを考えてもらったりしています。定期的にこの機能使っていこうみたいな提案もしてくれていて、最近だと「目標機能に全員目標入れよう!」とか。そういった活動が『Atleta』のルーティン化に繋がっている印象です。
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◯◯係というのは『Atleta』以外にもあるのでしょうか。

役割は必ず1人1つは持つようにしています。それこそ掃除係やスケジュール係もあって、何らかの役割を担うことで責任感を持ってほしいと思っています。仕事があると普段あまり喋らない子もコミュニケーションを取らなければいけない場面が発生するので、競技力以外のところでも成長できる機会になればと考えています。
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この制度は最近になって始めたものですか?

今年2年目ですね。それまではこれらのほとんどをキャプテンが担っていたのですが、パンクしそうになったので全員でやろうって始めたのがきっかけでした。結果的にやっていることはサッカー以外のことですが、サッカーの時も含めて責任感を持てているなと思える瞬間を多く感じているので継続しています。
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保護者アカウントの連携率もほぼ100%と、保護者の皆さんにもご活用いただいている印象ですが、どのような利用をされていますか。

以前はホームページで保護者専用ページを運用していました。ただ、ホームページだと管理が大変で、公開までにかなり手間がかかっていたんですね。『Atleta』だと連絡ボードからアプリで簡単に公開できますし、資料添付まで手軽にできます。保護者もアプリからすぐに閲覧できるようになって、本当に重宝しています。親御さんからも色んな情報が手軽に見られてありがたいという話はいただいています。
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監督が求めるのは「サッカー小僧」

監督の立場として、『こういった子に来て欲しい』や『中学年代ではこういったことを身につけておいて欲しい』といった選手像があれば教えてください。

本当に端的に言うと『サッカー小僧』に来てほしいですね。まぁ女子なので「小僧」という言葉が適しているかはアレですが(笑)。
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サッカー小僧ですか!(笑)サッカーに熱中...というイメージでしょうか?

サッカーが本当に好きで、ずっとボール触っていられる子を僕たちは求めています。何でもある都会から、ある意味サッカーしかない田舎に飛び込んでくることはかなりのハードルもありますし、そこからサッカーで上を目指そうっていうことはかなりの気概がないとなかなか難しいことだと思います。だからこそ競技レベルももちろん大事なんですが、それよりも『サッカーが好きで好きでしょうがない!』みたいな子が来てくれる方が嬉しいです。
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スカウトする際なんかもこの観点で選手を探されているのですか。

もちろんです。クラブの監督さんにお話を聞いて「プレーは粗削りだけどサッカー好きだよ」って選手がいたらそれだけで取ることもありますし。
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実際そういったタイプで、好きだからこそ頑張れて成長したなって選手はいましたか。

それこそ、プロになった玉井(小春 選手)なんかはそうでしたね。彼女は入部当時そこまで実力が抜きん出ていたわけではなかったのですが、本当にサッカーが好きで、めちゃくちゃサッカーができる環境で頑張った結果、今やWEリーガーにまで辿り着いた選手です。
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それはすごいですね!

あとは、今キャプテンやっている宿野部(夏澄 選手)も入ってきた時はただのサッカー好きのわがままな子だったんですけど、今や高校で5本の指に入るぐらいのストライカーだと思っています。毎朝シュート練習していますし、誰もが実力を認める存在で、一番サッカーやっていますね。
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素晴らしい選手が今もいらっしゃるんですね。

最初の頃はめちゃくちゃ僕に怒られていましたよ(笑)上手く行かないことがあるとすぐ感情出しちゃうタイプでしたが、やっぱりサッカーは好きで。特に試合に負けた日とか、勝っても自分が得点決められなかった日の翌日は、休みでもグラウンドにいますからね。そのぐらい負けず嫌いだし、サッカーが好きなので大成していくと思います。
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これもやはり監督の指導や周りのサポートがあったからこそではないでしょうか。

僕らが何か特別な指導ができていたわけではないです。
僕らができるのはサッカーに打ち込める環境をきちっと整えることだけなので、あとは本人のコツコツ続けた努力、それに尽きると思います。
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目先の勝利だけを追わない。僕らはどこまで行っても育成期間

最後に今後に向けての目標を教えてください。

今までインターハイも含めると、全国大会ではベスト8を4回あたっています。まずはその壁をしっかり破って、今年こそはベスト4以上の結果を出すことが大きな目標です。
ただ、高校チームはあくまで育成期間。結果がどうであれ、選手1人1人が長くサッカーを続けられるように、そして人間としても成長できるように育成できれば良いなと思っています。
だから、うちだけのサッカーを覚えるのではなく、サッカーを『サッカー』として理解してもらって、誰が監督でも「この子、サッカーを理解できているから使えるね」っていう選手になるよう、僕も指導を頑張っています。
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高校年代より、さらに先を見据えた指導をされているのですね。

もちろん、うちで結果を出すこともすごく大事なことです。結果が出れば応援してくれているお父さんお母さんの、明日の仕事の活力になると思うんですね。
そこも目指しつつ、その先で一つでも上のカテゴリーに進む選手を増やし、そこで活躍できる選手の育成を目指して、これからも指導を続けていきます。
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鹿島学園高等学校 女子サッカー部(かしまがくえん)
晝間 健太 氏(ひるま・けんた)

<チームの情報>2025年11月現在
メンバー:39名
管理者:5名
Atleta導入時期:2023年4月

<チームの主な成績>
全日本高等学校女子サッカー選手権 ベスト16 5回出場
全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会女子(インターハイ) ベスト8 4回出場
関東高校女子サッカー大会(インターハイ関東予選)優勝1回 準優勝1回 3位2回
茨城県内大会4年連続無敗 全て優勝