2024.08.09

進学校・立命館慶祥高校ラグビー部が挑む、信念と苦労の先にある花園への道

【活用事例】#52 ラグビー 立命館慶祥高等学校 松田 祐一氏

目次

2年前に悲願の花園出場を叶えた北海道の強豪、立命館慶祥高校ラグビー部。一見『Atleta』を使いこなしていそうな実績があるチームの監督である松田先生も、実は『Atleta』ユーザーが皆んなぶつかる同じ悩みを抱えていました。指導の苦労、『Atleta』入力への苦労、結果を出すための苦労…今回は普段とは少し違ったスタイルで、『Atleta』活用の難しさについても赤裸々に語っていただきました。 

同じように奮闘する指導者の皆さん。悩んでいるのはあなただけではありません。

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チームの多様な体制と選手獲得の工夫、進学校ならではのメリットと課題

まずはチーム体制から教えてください。

内部の指導者、教員は私を入れて4名です。外部コーチが2名、トレーナーが3名です。あと、マネージャーが6名いて、レフリーをやってる子も1名いるので、それも含めて生徒は52名かな。
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レフリーをやる子がいるんですか。すごいですね。

中学までプレーヤーでしたけど、高校生になってからレフリーやりたいとのことだったので、今チーム内でレフリーやってもらっていて、非常に助かっています。
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レフリーをやるための資格を持っているということですか。

そうですね。ラグビーでは結構そういった子が多くて、去年の花園でも京都成章の高校生がレフリーやっていましたよ。
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偏差値が高い進学校の印象があるのですが、そこに花園にも出場する名門ラグビー部があるというのは純粋にすごいなと感じています。

ちょっと部活入試みたいなのは一応ありますが、特別なスポーツ推薦とかはない中で頑張っていると思います。
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そんな環境の中でどうやって良い選手を集めているのですか。

北海道は結構二極化しているとこがあって、一つは名門の札幌山の手高校さんですよね。うちはまだまだ力は無いですが、そんな中でも花園の実績ができたので「花園に行きたい」と言ってうちを選んでくれる子が増えてきてくれています。とはいえまだまだ札幌山の手さんの方が強いので、中学生にはそちらの方が人気ですね(笑)
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同地区にそんな強豪がいる中でも、立命館慶祥でラグビーをしたいと思って来てくれる選手ってどんな選手だと思いますか。

そこはやはり進学校だからって部分が強いのかなと思いますね。花園も目指せて勉強もできてというのがうちの売りだと思うので。
ただ、その点がある種保険になってしまっているというか、弱さに繋がっているのかなとも思いますね。負けても進路にはあまり影響しないっていう考え方がいざ勝負になった時の弱みになっている気がして。だからこそ「絶対に札幌山の手に勝って花園に行きたい!」って強い信念を持った選手が増えてこないと、花園に出場は難しいかなと考えています。
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外部コーチとの連携に活躍。『Atleta』活用の現状と展望

松田先生以外にもスタッフがいらっしゃるということですが、どのような体制で指導されているのでしょうか。

元トップリーグで活躍されていた髙島先生に主に技術指導をしてもらっていて、土日に外部からコーチやトレーナーの方が来てくださるので、それぞれの得意な面でのサポートを日頃からしてもらっています。とは言っても土日はほとんど公式戦になっちゃうので時間は限られるんですけどね。
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限られた中で、時間の使い方に悩んでしまいそうです。

でも試合がない冬季は結構時間取ってもらえますね。札幌も11月下旬くらいからは雪でグラウンドが使えなくなって、4月から使えれば良い方ですから。
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確かに北海道は外での練習が限られますよね。5年ほど前に『Atleta』を導入していただいきましたが経緯や目的を教えて下さい。

最初は多分選手に振り返りをさせたいというのが主だったと思います。あとはやっぱり、トレーナーとか外部コーチが週末にしか来ないので、そことの情報共有ですかね。
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『Atleta』を使って外部と連携が取れているというのは素晴らしい使い方だと思います。

トレーナーとかコーチが結構反応してくれるんですよ。嬉しいですね。
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導入時に考えていた、振り返りといった部分ではいかがですか?

導入前から本当は主体性とかを大事にしたいと思っているのですが、残念ながらそこが結構難しくて。
例えば花巻東高校の野球部はみんな同じクラスで、毎朝ノートを書く時間をクラスで取っているというのを見たことがあります。そんな感じでうちもちゃんと『Atleta』を入力する時間を取ってあげないと難しいのかなという実感はありますね。
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確かに他の『Atleta』を使っていただいているチームでも、自主的な入力の定着に課題感を持っている指導者は多いですね。

そこを選手自身で意識的にできるような指導、今後も試行錯誤していきたいです。
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ラグビーはタイムアウトが無い、自主性とリーダーシップが必要

主体性といったキーワードも出てきましたが、松田先生が選手を指導するうえで大切にしている事があれば教えて下さい。

部活は学校教育の一貫なので、生活面の指導をすることが多いですね。そこばかりになってなかなかラグビーの話をできないことも多いです。約束を守ろうとか校則を守ろうとか、そんな感じですよ。
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進学校だから真面目な子が多いのかなって印象がありました。

いえいえ、そんなことはないですよ。良くも悪くも自由な学校なので。
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松田先生自身は立命館慶祥のOBというわけではないんですよね。

そうです。ですがラグビーの指導をどうしてもしたくて、2008年から今の学校で教えさせてもらっています。
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そこから15年目にして花園に導いたということですね。花園に行った年と今とで選手の雰囲気の違いなどあったりしますか。

チームの熱量というか、モチベーション自体は今もあって、むしろ花園に行った実績を作ったことで、熱量の高い選手は多くなっている気はします。
ですが違いを考えた時に、当時は『キャプテンをやらせても良いな』と思えた選手が複数いて、全体的にリーダーシップのある選手が多かった印象ですね。一方で今はどちらかと言うと大人しめと言いますか、ただ違いとして感じるのはそこくらいです。
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他の競技と比べても、「リーダーシップ」という言葉はラグビーの指導者から多く聞かれる印象なのですが、やはり競技において重要なキーワードになると感じますか。

ラグビーってタイムアウトが無いスポーツなので、グラウンドに出たら選手に委ねられるんですよね。試合中の監督からの指示出しはハーフタイム除いて基本できないので、試合中での判断とかにおいては自主性が必要ですし、そこをまとめるリーダーシップが重要になると思います。
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選手との意思疎通と振り返り、そして指導体制の変化

『Atleta』を導入してからの選手の変化や選手からのリアクションはありましたか。

普段からアプリを通して我々やスタッフから色んなアドバイスをもらえたり、自分の考えを伝えられたりできているので、選手にとっても良いと思いますよ。普段から毎日40人以上の選手全員と面談できない中で、ちゃんと意思疎通できていますからね。その点でプラスになっていると思います。
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このプラス要素が全選手に伝わると嬉しいですが....選手自身で実感してもらえないと中々難しいでしょうか。

そこが難しいところですよね。本当はね、自分のための行動だということを認識させることが理想だと思っています。日々の練習で自分はどう感じたのかとか、今の課題は何かとかをアウトプットすることで次の行動が変わってくると思うので。
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確かに文章にするだけで、自分の考えが整理されたりしますよね。

振り返ることはコーチや監督からコメントをもらうためにやるんじゃなくて、自分のためのアウトプットですよね。それが結果として指導者にも伝わるから返して、それが更にプラスに繋がるわけなんですけど、そこに気づいてもらうにはもう少し時間が必要かなと感じます。
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振り返りの重要性をいかに選手たちに意識させるかですね。

ラグビーって結構ユースとかでは振り返りを重要視していて、コーチングの中でもGood/Bad/Nextを振り返らせる指導をしています。そういうことができたらなと思い『Atleta』にGood/Bad/Next項目を作ったんですよ。
とは言えまだまだ使いこなせている感覚がないので、何か変えないといけませんね。今は髙島先生がその辺のところを勉強してくれているので、『Atleta』での取り組みを進めてくれるのではないかと期待しています。
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先生の間でも役割が分かれているのですね。

髙島先生がラグビーそのものの指導をメインでやって欲しいと思っていて、僕は生徒指導や保護者との連携、あとは新しい選手のスカウティングなんかをやっています。今はこんな感じでサポートしてくださる方がたくさんいらっしゃるから良いですが、紆余曲折ありましたね。
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当時の苦労を経て、今の体制になっているのですね。

ラグビーの指導をやって保護者対応もやってスカウティングやって普段の指導もやって…って感じでしたから。そんな経験があったので髙島先生にはラグビー指導に集中できるような環境を作るようにしています。トップリーグ経験者だから僕よりも知識も経験も豊富ですしね。
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そういった環境を整えられるのも、松田先生の指導力があってのことなんだろうなって感じます。

『指導者』とか『監督』と言っても色んな形がありますよね。だから僕自身実はあまり『監督』に固執してないんですよ。選手たちがのびのびやって結果出してくれたらそれが一番良いので、その環境づくりを意識しています。
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ちなみに今協力してもらっているスタッフはどんな繋がりだったんですか。

高校の同級生が病院をやっていて、そこのスタッフを紹介してもらったり、あとは昔クラブチームで一緒にやっていた先輩と縁があって関わってもらったりとかですね。そこから更に紹介してもらったりとか、身近だった人からその繋がりでって感じがほとんどです。
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結構ワンオペ状態で大変な思いをされている部活の指導者ってたくさんいると思います。そういった身近なところに協力を仰ぐことで強いサポートに繋がったりするんだなと感じました。

目標は『花園二勝』

やはり『花園出場』になるかと思いますが、チームとして今後の目標があれば教えて下さい。

そうですね。選手たちは色んな目標を毎年掲げていて、それこそ卒業生が『花園二勝』って書いたダルマを置いていったんですけど、2勝はかなり大変だなって感じています(笑)
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いやいや、意外とあっさりそんな日が来るかもですよ。

いつになったら目玉入れられるかと…1勝でも大変なのに(笑)とにかく当面はやはり花園出場が目標ですね。
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応援しています。本日はありがとうございました!

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立命館慶祥高等学校 ラグビー部(りつめいかんけいしょうこうとうがっこう)

松田 祐一(まつだ ゆういち)

<チームの情報>2024年7月現在
選手数:45名 マネージャー:6名 レフリー:1名
指導者数:9名(教員:4名、外部指導者:2名、トレーナー:3名)
Atleta導入時期:2019年3月

<チームの主な成績>
2022年度 全国高等学校ラグビーフットボール大会 出場
2021年度 全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 出場