全国連覇を果たすチームの“当たり前”とは?入部前に共有される高い基準と、結果を出すための自己管理

#66 ハンドボール 昭和学院高等学校 佐藤 奏吉 監督

全国連覇を果たすチームの“当たり前”とは?入部前に共有される高い基準と、結果を出すための自己管理

  • ハンドボール

  • 関東

2026.05.26

目次

「日本一泥臭くて格好良いチーム」を理念とし、その言葉を体現しながら結果を残し続ける昭和学院高校女子ハンドボール部。

そこには、勝利だけを追い求めない、“プロフェッショナルを育てる”ための徹底したチームの高い志がありました。コロナ禍での試行錯誤、Atletaを活用したコンディション管理、大学チームさながらの役割分担——。全国屈指の強豪校が実践する組織づくりと、ハンドボール界の未来を見据えた佐藤監督の指導哲学に迫ります。

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“泥臭さ”を貫く、変革を経て築いた常勝チームへの道

チームのインスタグラムに『日本一泥臭くて格好良いチーム』というキーワードが気になりました。

チームが目指すべき姿としています。ハンドボールは日本国内ではまだマイナーなスポーツですので、見る人が応援したくなるような姿を見せる必要があると思っています。
毎年メンバーが入れ替わる学生スポーツの中で、結果を出し続けるために何が大切なのかを考えた時、選手個々の身長差や競技キャリアに関係なく、とにかく泥臭くやり抜く姿を体現してほしいと思っています。結果的に今では国内でも勝てるようになってきていますが、勝てるチームだからこそ、この泥臭さは大事にしたいと思っています。
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昨年も素晴らしい結果を残されて、かなり長い間強い印象があるチームですが、佐藤先生が監督に就任された頃からチームとしては実力があったのですか。

県内では強かったのですが、全国大会で上位に入ることがしばらくありませんでした。
なので、僕が入ってからチーム全体のマネジメントの方法を変えたり、それに合わせてやりたいハンドボールを徐々に変えたりしながら、少しずつ成果が出始めた感じですね。
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チーム内での変化を試行錯誤する中で、手応えを感じたきっかけのようなものって覚えていらっしゃいますか。

僕が就任したての時は元の監督が勧誘していた選手ばかりなので、元の監督とのやり方の違いなどから選手や保護者から反感を買ったりして…結果も奮いませんでした。でもそれはチームとして当然のことだったと思います。
そんな中で監督3年目、初めて僕が勧誘してきた子たちが入って来た時に、全国選抜大会の決勝まで行ったんですよ。更に翌年、メンバーが総入れ替えしたタイミングのインターハイで、千葉県の女子ハンドボール史上初の優勝を達成しました。
その時期から選手も集まりだして運営方針や、やりたいハンドボールがチーム内でも浸透し、年々安定して結果を残せるようになってきました。
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新たに赴任されてから最初はまとまりきれなかったチームを年々改善させて常勝チームへと成長させたわけですが、これが成功したポイントは何だったと思いますか。

全国選抜の決勝に進出した2021年は、まさにコロナ禍の真っ只中。
「休校になりました」とか「練習は90分以内」、「あらゆる場面で消毒が求められる」といった状況で、思うように練習も出来ませんでした。
その時にオンラインでトレーニングをしたり、食事のレポートを書いてみたり、そういったハンドボール以外のところを見直しながら、きっちりやらなきゃいけない雰囲気がチームにありました。限られた時間の中でやれることを続けていたら、決勝に行けちゃったんですね。そこで選手にも自信がつきましたし、戦えるチームになった実感もありました。
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コロナ禍は他のチームも大変そうでした、その中でも出来ることを模索されていたのですね。

特にその前の2020年はコロナで大きな大会が全部中止になって、選手たちもどこを目指して良いのか分からずお先真っ暗な状態でした。
それでもトレーニングや食事に関することを続けられた、というのは大きかったなと思います。
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見えなかった負荷を可視化、コンディション管理で守る選手のパフォーマンス

先が見えない難しい環境でも続けられたことが結果に繋がって、選手たちにとっても大きな自信になったのですね。

決勝には行ったのですが、実は準決勝でキャプテンが前十字靭帯を切ってしまったんですよ。選手のコンディショニングまでこちらで管理しきれず、やはり難しいところだなと感じましたね。
更に当時は他の公式戦がない中で迎えた選抜大会だったたので、選手たちの疲労感をこちらでコントロールしきれず、ケガ人を出してしまったところは反省点になりました。
それもありAtletaの導入に繋がりました。
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実際にAtleta導入の効果は感じられましたか。

Atleta導入後もコロナ禍は続いていたので、インターハイも無観客でしたし、国体も感染拡大の影響で中止になったんですね。
そうした社会情勢の中で、大会に参加するにも体調管理のチェックシートの提出や、練習前の検温などが求められ、かなりの負担がありました。そこでAtletaがあることで、スマホでさっと登録でき、記録として残せたのは本当にありがたかったです。
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社会情勢の観点からも導入のタイミングが良かったのですね。

その上、体調のチェックもできるし、元々うちはAtleta導入前から身体づくりに重きを置いていて、体重の管理は紙で行っていましたが、それもAtleta内で完結できるようになりました。
必要事項のチェックもスムーズに行える機能が整っていて助かっています。
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体重や体調の他にAtletaの記録の中で重視されている項目はありますか。

身体の気になる部位ですね。練習前に選手たちに入力させて、それを事前にチェックした上で練習に参加するルーティンを確立しています。
特にハンドボールはやればやるほどケガが増える競技なので、選手のコンディションに合わせて練習メニューや強度の調整を気にしないと前十字切っちゃうとか、肩関節脱臼とか、そういった大きいケガに繋がってしまいますからね。そんなケガをさせないためにコンディションチェックはかなり気にしています。その結果、前十字靭帯を切る選手は多分他の高校チームよりも圧倒的に少ないと思います。
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入部前から共有するチームの基準、自己管理と覚悟が育つ環境

昭和学院の女子ハンド部に入ってくる選手は皆さんそもそもレベルや意識が高い選手がほとんどだと思いますが、その中でも3年間通して伸びる選手の特徴のようなものはありますか。

やはり高校のハイレベルのチームで常にトップを目指して、卒業後も大学でやりたいとかプロでやりたいとか、そういうビジョンが明確な選手。更にハンドボール以外の生活面や学業面もしっかりやる、食事にも気を使える、ウエイトトレーニングもちゃんとやり抜く、こういった自己管理を大切にできる選手はやっぱり伸びますね。
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そういったことをしっかりしてくださいという話は入部前の生徒にされるのですか。

そうですね。こちらとしても「入部したけど思っていたチームと違った」みたいなことは言われたくないですからね。見学生や練習参加希望者には全部説明します。「高校カテゴリーの中で日本で1番トレーニングするからめっちゃキツい」って。毎年実力ある選手が入ってくるから上級生になったからって試合に出られる保証もない、練習前には体調管理を登録しないといけない、食事も気を使う生活が必要、定期考査で結果が悪いと練習させてもらえない…とか。そういった話は必ず入部前から伝えています。
あくまでも部活動であって教育の一環ですからね。それができないような子には、そもそもハンドボールをさせたくないですからね。
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そういった競技以外の部分もしっかりできる選手でないと、チームとして戦わせてもらえない環境なのですね。

常に競争と言いますか、うちは学年もあんまり関係ないですし、単純に試合に出たいとか、自分が活躍することだけを優先するのであれば別にうちじゃなくてもいいじゃんって話をするんです。「試合に出られないから頑張れません」みたいなふてくされ方をされても、厳しい環境であることは最初から伝えているのでね。
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そういった指導が行き届いて、Atletaの入力率にも表れていますね。

Atletaについては明確なルールにしていますからね。 優先順位を考えた時、ハンドボールの練習よりも自分の身体に目を向けることの方が優先されるべきだと日頃から口うるさく言っています。
あと、Atletaを入れている目的はもう一つあって、入力されたデータをもとに練習の強度を調整できたり、痛みを共有してもらうことで指導者から声をかけてあげられますよね。コミュニケーションのきっかけにもなっていて、選手にとってもそこはプラスになっていると思います。
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“マネージャーがチームを動かす”選手主体の組織運営

Atletaの入力をチェックされるのは主に佐藤監督だけですか。

マネージャーをやってくれている生徒がいて、その子はAtletaを見られる環境になっています。入力していない選手への声掛けとかで協力してもらっていますね。うちのマネージャーは、実はプレーヤー以上に覚悟が求められるポジションで、やりがいも大きいと感じていて、僕が担任を持っている都合で練習のスタートから参加できないこともあるのですが、その際はマネージャーが準備やAtletaのチェックを担ってくれています。
さらに、タイムキーパーとしての時間管理やテーピング…といったようにほぼ指導者側と同じような動きをしてもらっています。
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確かにその経験は社会に出てもかなり活かせそうですね。

マネージャーだけでなく、チームの運営自体は結構選手たちに回させるようにしていて、大学チームのように役割分担をはっきりさせています。例えばウエイトトレーニングの準備から管理まで行う係もあれば、インスタグラムの更新も学生が基本やっていますね。
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勝利は通過点。世界を見据えた選手育成とハンドボールの価値向上へ

最後に今後の目標について教えてください。

おかげさまで昨年度内では3冠という形になっていますが、今の3年生にとっては自分たちの代の選抜、インターハイ、国スポのタイトル総なめにして本当の3冠になります。だから前回の選抜優勝が実質1冠目で、39年ぶりにようやく獲れたタイトルなんです。
僕自身も過去に選抜2度決勝行って2回転んだ経験を経て、ようやく手にしたタイトルなので、僕にとっても選手たちにとってもここをスタートとして、まず勝てて良かったです、みたいな気持ちではあります。
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ここがようやくスタートラインなのですね。

日本一という目標は大切にしていますが、高校生の教育課程においては、この結果が全てではないということも学んでほしいと思っています。その先で国内のリーグHや海外のプロ選手、オリンピック代表を目指すとか、本当にプロフェッショナルとは何かということを見つけて、自身やハンドボールの価値を高めて時代を切り開いていける存在になって欲しいなという思いがあります。
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プロフェッショナルを意識して活動して欲しいという思いですね。

そうですね。これまで指導者として競技に関わる中で、ハンドボールって自己管理とかの面で他のメジャースポーツに比べてかなり遅れている印象を感じています。
うちは高校年代で毎年決勝に進出するような強豪チームではありますが、「何となく入れそうじゃないか?」といった感覚での問い合わせが中学生から来ることも少なくありません。でも、メジャースポーツの強豪チームには絶対そんな問い合わせって無いと思うんです。
そういうハンドボールへの意識も変えたいですし、そのために日本全体のハンドボールの価値を引き上げて、世界で戦える選手を輩出していきたいというのが僕の目標ですね。だからこそ来て欲しい子には高い志を求めますし、ただ優勝したいだけでなく、その先のプロまで目指しているような選手とやっていきたいですね。チームとしてはほぼセミプロを目指しています。
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高校年代からプロを見据えたチームづくりがとても印象的です。このような考え方は、佐藤監督ご自身の経験から来ている部分も大きいのでしょうか。

いやいや、僕の学生の頃は結構いい加減でしたよ。今の選手たちにやらせていることはほとんどやってきてなくて、正直本当にだらしなかったんです。だからこそ、もっとこうしとけば良かったという反面教師の姿が今の指導スタイルになっています。
それに今の子たちはスマホを持っていて、それがあればAtletaなどのツールで練習内容を記録できて、その場で共有して振り返りにも使えますし、自身の練習の動きはスマホで撮って確認できて、Youtubeなんかで海外のプロの映像やためになる教材にいつでもアクセスできる。本当に素晴らしい時代だと思うので、こういった環境を活かしてより良いチーム作りを目指していきたいです。
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昭和学院高等学校 女子ハンドボール部(しょうわがくいん)
佐藤 奏吉 監督(さとう・そうきち)

<チームの情報> 2026年5月現在
メンバー:24名
管理者・スタッフ:2名
Atleta導入時期:2023年4月

昭和学院高校 女子ハンドボール部 Instagram
@showa_w_handball

<チームの主な成績>
第49回全国高等学校ハンドボール選抜大会 優勝
第47回全国高等学校ハンドボール選抜大会 準優勝
第46回全国高等学校ハンドボール選抜大会 ベスト4
第44回全国高等学校ハンドボール選抜大会 準優勝

第76回全国高等学校総合体育大会(インターハイ) ハンドボール競技大会 優勝
第75回全国高等学校総合体育大会(インターハイ) ハンドボール競技大会 優勝
第74回全国高等学校総合体育大会(インターハイ) ハンドボール競技大会 準優勝
第73回全国高等学校総合体育大会(インターハイ) ハンドボール競技大会 優勝

第79回国民スポーツ大会 ハンドボール競技大会 優勝(千葉県 少年女子)
第78回国民スポーツ大会 ハンドボール競技大会 準優勝(千葉県 少年女子)
特別国民スポーツ大会 ハンドボール競技大会  優勝(千葉県 少年女子)
第77回国民スポーツ大会 ハンドボール競技大会 ベスト4(千葉県 少年女子)