Atleta通信 | “走れる体”は、“話せるチーム”から生まれる。心と体を動かす、声掛けのひと工夫

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2025.06.30

“走れる体”は、“話せるチーム”から生まれる。心と体を動かす、声掛けのひと工夫

【活用事例】#55 陸上競技 ノーリツ

目次

実業団チームとして多くの実力派選手を輩出し続ける、ノーリツ女子陸上競技部。

GM、ヘッドコーチ、マネージャー各視点から、ただ「走らせる」だけではない、Atletaを通じた日常のデータ活用とコミュニケーションを軸とした指導方法最後には現役の学生及びその指導者に熱いメッセージをいただきました。

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入浴と睡眠にフォーカスした取り組みにAtletaを活用

Atletaを導入いただいたきっかけを教えて下さい。

データ活用にあたって紙だとどうしても収集に時間が掛かるので、その効率化が目的の一つです。練習記録だけでなく、チームスケジュールや連絡事項等の保存と見直しが出来ること・場所を問わず練習日誌を残せる点にメリットを感じ導入を決めました。
avatar 安達MG

具体的にどのようなデータをご利用いただいていますか。

入浴と睡眠にフォーカスした取り組みを始めました。レポート機能・CSVデータ出力機能を活用し、専門家に展開しています。データを使ってフィードバックシートを作成し、選手たちに共有しています。
avatar 安達MG

睡眠と入浴にフォーカスされている点が非常に興味深いですが、詳細を教えていただけますか。

連盟開催のセミナーで『アスリートと睡眠』というテーマがあり、講師の大学教授が入浴についてお話されていました。私どもはご存知の通り給湯器の会社ですから非常に興味が湧きました。個別セミナーを実施していただいたり、Atletaのデータをもとに選手のコンディショニングについて協力してもらったりしています。
avatar 橋本GM

何か新しい発見はありましたか?

入浴についてはまだデータが少ないのでこれからといったところです。睡眠に関してはリカバリーのための睡眠について考えるきっかけになりました。睡眠時間と走行距離の月ごとのデータを比較しながら、睡眠時間が短い選手には隙間時間の睡眠も含め、睡眠の重要性をフィードバックできるようになりました。
avatar 小﨑HC

血液検査の結果や治療院のケア内容など、細かいケア状況についても記録されていますね。

血液検査や治療内容についてはそれぞれの先生からも報告をいただいています。私たちがAtletaで見るのはその報告を選手がどう受け取ったかの照らし合わせです。先生の報告と選手の認識がずれていた場合、Atletaを見てすり合わせができるようになりました。
avatar 安達MG
あと、コンディション項目の中に『本練習達成度』というものを用意しています。ここで日々の練習の出来栄えを選手に自己評価させていて、この自己評価の点数と我々スタッフの評価を比較しています。選手とのギャップが見えてくるので、そこを埋めるようなコミュニケーションを取っています。
avatar 橋本GM

スタッフの皆さん選手にしっかりコメントを返信されていますよね。何か意識されていることはありますか。

少なくとも反応はしないとと思っているので、レスポンスだけは必ずするようにしています。たまに選手から「無理してコメントしなくていいですよ」って言われることもあります。(笑)
avatar 橋本GM
いつも遅い時間になってしまうのですが、選手たちが朝起きるまでにはなるべく返すように心がけています。
avatar 小﨑HC
私は選手と一緒に寮で生活しているので、聞きたいこと・伝えたいことがあれば直接会話するようにしています。橋本GM同様にレスポンスは必須にしているのと、コメントの内容が他スタッフと重複しないように意識しています。
avatar 安達MG

”Players Centered”

チーム全体で大切にしている価値観のようなものはありますか。

フラットなことでしょうか(笑)
avatar 安達MG
チームに上下関係はなく、あくまで役割が違うだけ。みんな対等だってことを意識しています。
avatar 橋本GM

年齢層が幅広い実業団チームの中でフラットな関係を築くって結構難しいことではと感じるのですが、それができるのには何かチームでの工夫があるのですか。

何をするにも出来るだけ全員を巻き込むようにしています。年齢や社歴が上の人たちだけで済ませてしまわず、全員で意見をすり合わせて決めるようにしています。
avatar 安達MG
あれもじゃない?今年の4月に再徹底した”Players Centered”
avatar 橋本GM
今年度のモットーです。”Players Centered”は「プレイヤー・スタッフ・保護者・応援してくださる方々など、プレイヤーを囲む多くの人と互いが関わりあって成長していく」という考え方で、今のチームを表すのに良い考えだと思って掲げました。
avatar 安達MG
こういったチームを目指すためにコミュニケーションはかなり意識していて、リアルなコミュニケーション機会も多く設けています。
スタッフミーティングは週1、部長と各スタッフとの1on1ミーティングを月1で実施等、密にコミュニケーションを取っています。スタッフ間の情報共有はかなりできているかなと思っています。
avatar 橋本GM

心と体の健康を意識して覚悟を持って走る

これまで指導してきて大きく成長を見せた選手はいますか。またどんなタイプの選手が成長する と感じますか。

最近、練習の振り返りがピカイチな選手が記録を伸ばしてきました。良い意味で読むのが大変と感じるくらいのボリュームで日々の振り返りを残してくれます。
つらい時期もあった選手なのですが、常に丁寧に振り返ってきた姿勢が結果に繋がってきたと感じています。
avatar 安達MG

それは我々にとっても嬉しい限りです。学生時代ノートで記録してきて、ツールの切り替え部分で難しさを感じる選手はいませんでしたか。

紙で書きながら頭を整理したいという選手もいます。そういった場合、紙に書いた振り返りを写真に撮ってコンディション画像としてAtletaに登録してくれています。画像を登録できる機能があったお陰で、紙の運用を完全に切り離さずに活用できています。
avatar 安達MG

実業団チームの指導者視点で、今の高校生大学生がやっておくべきこと、こんな選手に来て 欲しいと言ったものはありますか。

学生時代よりも負荷がかかる世界に来るわけで、食生活や月経のことは早いうちから意識して欲しいなと思います。実業団で身体を壊してしまっては、どれだけ好きなことでも出来なくなりますから。
学生期間は重要な成長期なので、体重の数値だけに左右されず、必要最低限の栄養はしっかりとってベースになる身体づくりを心がけて欲しいです。
avatar 小﨑HC
先程の小﨑ヘッドコーチの話とも重なるのですが、まずは心と体の健康ですね。この部分ができていないまま、実業団に入ってくる選手もいます。
もう一点、実業団に来るからには『覚悟を持って来て欲しい』ということです。当たり前の話ですが、実業団は学生と違ってお金をもらって走ります。だからこそある程度退路を断って来て欲しいです。
avatar 橋本GM

ありがとうございます。ちなみに学生の指導者さんに対しても実業団視点で何かありますか。

最近はだいぶ減ってきていると思いますが、無茶な体重制限をさせないで欲しいです。『軽くないと走れない』と選手が誤解してしまっている場合もあって、高校の時から過食症や拒食症になってしまう可能性もあります。
身体を壊さないためにも時間を取って、正しい栄養の摂り方や、月経との向き合い方について学べるようにして欲しいです。
avatar 小﨑HC
私からも一つ。3年または4年の限られた期間で毎年結果を出す必要があるので大変だと思いますが、学生のうちから選手自身が自分で考えて陸上に取り組む指導も取り入れてほしいと思います。
avatar 橋本GM

とても貴重なお話でした。今日はありがとうございました。

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ノーリツ 女子陸上競技部
橋本 英樹 ゼネラルマネージャー
小﨑 まり ヘッドコーチ
安達 花音マネージャー

<チームの情報>2025年6月現在
メンバー:10名
管理者:3名
Atleta導入時期:2023年11月

<チームの主な成績>
第10回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会予選会 総合21位
第9回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会予選会 総合26位

全日本実業団ハーフマラソン大会 8位 入賞
2025日本陸上競技選手権大会 3000mSC 出場