2024.01.16

部活アプリで情報の一元化を実現。20年連続インターハイ出場の名門陸上部、競技力向上への新たな一歩。

【活用事例】#49 陸上競技 札幌大谷中学・高等学校 森木 創太氏

目次

20年連続でインターハイ出場を果たしている北海道の名門、札幌大谷中学・高等学校の陸上競技部では2023年から『Atleta』を導入しました。

これまで様々なツールで試行錯誤を重ねても実現できなかった運用をいかにして『Atleta』で集約できたのか。また、『Atleta』の利用から見えてきた振り返りの質と競技力の相関について、顧問の森木先生にたっぷりお話を伺ってきました。後半には具体的な振り返りのステップについても公開していただきましたので、『Atleta』ご利用の皆さん必読です!

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札幌大谷高校 陸上競技部

色んなデジタルツールの活用を試行錯誤したけど定着しなかった

初めにチームについて教えてください。

中学と高校合同で部活動を行っています。部員は大体40人ぐらいで、9割は高校生の部員で構成されています。中学生高校生どちらの部員も『Atleta』を使った活動をしています。競技レベルは、道大会に進める選手が大体8割〜9割、全国に進める選手が1割〜2割程です。
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20年連続インターハイ出場という実績も伺っておりまして、とても強いチームだなという印象です。いつから札幌大谷陸上部で指導されていらっしゃるのでしょうか。

新卒で民間企業に8年ほどの勤務した後に、一昨年から保健体育の教員として就任し、陸上部の顧問として指導させてもらっています。
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前職はどのようなことをされていたのですか。

介護施設のコンサルティングをやっていました。元々教育大学出身で先生になろうと思っていたのですが、今のままでは自分が生徒に提供できるものが無いなと思い、まずは実力つけてからにしようと思い民間企業に入社しました。

民間に入ったら自分の成長が楽しくて、気がついたら8年経っていました。頭の中のどこかで『学校教育の場に1度は携わってみたい』という思いは残っていたので、思い残しのないように職を変えた感じです。
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『Atleta』導入のきっかけを教えていただけますか。

練習日誌での振り返りや、スケジュールや練習メニューの共有を色んなツールを使って試行錯誤しながらやっていたのですが、情報がバラバラしたり、定着しなかったり、困っていました。ちょうどそんな時、同校女子サッカー部の先生が、「森木先生、きっとこういうの好きでしょ?」って紹介してくれたのが『Atleta』でした。
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具体的にどんなツールを試されていたのでしょうか。

練習メニューはスプレッドシートに登録して、『スプレッドシートを見てね』としていたのですが、変更しても通知が届かず気づかれなかったり、そもそもアプリじゃないので使いにくく、部員の7割程しか使えなかったりして、本当に困っていました。

練習日誌みたいなことは紙でもやらせていたのですが、部員の中で1人やるかやらないかぐらいの定着率で…。やらされてやるものではないと思っていて、とはいえやって欲しい気持ちの方が強かったのですが、任せてみたところで個人差が激しくて、蓋開けてみたら失敗でした。
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「手書きの方が良いかも」は書かせる側の変な先入観

女子サッカー部の先生から『Atleta』のことを伺った時の印象はいかがでしたか。

管理する側が欲しい情報が揃っているので、今後1つのツールでできるとしたら相当楽だなという印象があって、更にアプリっていうところがかなり使いやすいのではないかと感じたので、機能の部分と使いやすさの部分で魅力を感じました。
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アナログな紙の日誌からデジタルのアプリへ転換することで『文字を書かなくなる』といった不安を持たれる方もいらっしゃいますが、その点どう感じますか。

僕自身が現役選手だった頃は手で書いた方が自分の振り返りになるのかなって考えでいたのですが、今の選手たちはスッとアプリで入力する方に順応できていて、「手書きの方が良いかも」というのは書かせる側の勘違いとか、変な先入観だったのかなと感じました。

あくまで僕の視点なので、選手によってはひょっとしたら手書きの方が良いって人もいるかもですが、ただ何かやる時のハードルが『利便性』だったうちにとっては、良い形で『Atleta』がハマったと思います。
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以前は定着率に課題がありましたが、いかがですか。

紙やスプレッドシートの時に比べると入力回数が増えたり、またコンディションに関しては自分の身体に関心を持つようになったり、自分のやった練習に関心を持つ選手の割合がじわじわ増えている感じがあります。
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情報がバラバラになっていた課題については、いかがですか。

まず情報発信する僕側としては、全ての業務がものすごく楽になりました。スケジュール更新作業した際は、LINEで「更新しました」とアナウンスしないと気づかれなかったのですが、今では更新したら通知が飛ぶようになり、便利になりました。そしてスケジュールの中にも文章を打てるので、練習メニューを載せられるのがありがたいですね。これまで何ステップか踏まなきゃ取れなかった情報が、パパっと取得できるようになったので大変助かっています。

受け手側の選手としては、どこに何が載っているのかが分かりやすくなったので、集合時間を勘違いするとか、連絡見ていない選手が減った気がします。
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かなり使いこなしていただいておりとても嬉しいです。今後使っていきたい機能や気になる機能はありますか。

この冬から使おうと思っているのですが、フィジカルテストです。既にやっている体力テストの項目に合わせて、月ごとに推移を追っていきたいと思っています。結構体力テストの結果って選手たちは気にするので、こういうアプリ上でできるのは良いなと思っています。
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振り返りはコメントでさせているとのことですが、どんな内容を書いてもらっていますか。

基本的に練習メニューに関してはスケジュールに記載しているので、スケジュールを見たら練習の有無やイベント、練習メニューが確認できる状態になっています。振り返りはその日々行った練習メニューに対して良かった点/悪かった点の振り返りと、特記事項があれば自分なりに書いてもらっています。
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選手たちの振り返り内容を見てどういう印象を持ちますか。

正直、まだまだ甘いなという振り返りもありますが、良し悪しだけじゃなく、次何をするとか、具体的に一歩踏み込んだ振り返りができるようになってきている選手も出てきたので、アスリートの思考として一歩二歩進んだのではないかなと感じています。
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『Atleta』での振り返りを通して、選手個々の特徴も見えてきた

選手へアドバイスやコメント返信といったアクションはされていますか。

リアクションは時々ですけど、なかなか面と向かってコミュニケーション取れていない時は返信したり、「いいね」ボタン押したりしています。「ちゃんと見てるぞ!」って意識付けをしてあげるように動いています
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女子選手の比率が多いとのことでしたが、女子選手とのコミュニケーションにおいて心掛けていることはありますか。

あえて『Atleta』上で見たものを、わざとらしく話題にするようにしています。「今膝痛いのか?」とか「昨日のメニュー辛かったのか?」とか。『Atleta』上だけで完結するのではなく、実際に話題にすることで対面でのコミュニケーションの質が上がったなって感覚はありますね。

『Atleta』の活用を通して選手個々の特徴も見えてきたところがあって、『自分自身のことは自分でやりたい』タイプの選手もいれば、『見て欲しい、褒めて欲しい』タイプは結構長文で書いてくるなとか、選手の特徴を把握する上でも、『Atleta』を通して見えてくるので面白いなと思っています。
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導入前は見えていなかった選手の性格を知れたということでしょうか。

そうですね。「こんな細かいところでネガティブな気持ちになるのか」って驚かされた選手もいたり、逆に「やっぱりそういうタイプだよね」って答え合わせできたり、リアルな個々の性格とかキャラクターが見えてきて面白いです。
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振返りについてどんな指導をされていますか?

『Atleta』での振り返り方法について、連絡ボードに載せています。これが『振り返りのコツ』っていう形で選手に公開しているものです。
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ざっくり3つのステップで振り返りをしたら次に繋がるんじゃないかというのを選手に伝えています。選手全員が的確に書けているかは分からないですけど、「先生、◯◯でした」って言われた時に抜き打ちで「何でそうなったの?」って口頭で聞いた時の返しの質は上がったなって気はします。
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あえて連絡ボードで『振返りのコツ』を発信している意図はありますか。

この件に限らず結構高校生ってすぐ忘れるんですよね。

振り返りにしても、試合が終わったその日に一緒に振り返りしたらその場では良いこと言うのですが、1週間後同じミスしてるとか、やっぱり形に残らないと意味がないことが結構多くて。高校3年間しかないのに、同じミスで足踏みする時間はもったいない。だからいつでも情報を取りに行けるような形にしています。僕からの発信も残したいし、あとは選手が日々『Atleta』で記録してるのもそういう目的だと思うので。物事を伝えるというよりは、振り返りの重要性をとことん伝えていきたいという意図で残しています。
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振り返り力は、ダイレクトに競技力に繋がっている

振り返りの質は、競技力に関係ありそうでしょうか。

はい、ちゃんと振り返りができている選手は練習の質が高く、競技で好記録出せて伸びている選手が多い印象です。振り返れるから結果が出ているのか、結果が出始めているからちゃんと振り返ろうってなっているのかは分からないですが、相関があるとすれば、競技力と紐づいている気がします。陸上競技は個人種目になるので、ダイレクトに競技力に繋がっていると思います。

使い始めて数ヶ月経ち、その間に自己記録が上がっている選手も出てきている中で、きっと他の選手の中でも、『あいつより速くなるためにどうすれば』とか、『記録を伸ばすためにどうしたらいい』って思い始めるのがこの冬だと思うので、ひょっとしたらこの振り返りの質が差になって、それを追いつこうとすることでチーム全体の振り返り力が上がってくれれば、僕としては相当ハッピーですけどね。でも、少なからず振り返りできている選手はモチベーションも高いですし、目標も高いので、競技に対してかなり力をかけている選手が振り返りもちゃんとできている気がします。
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こういった選手の成長が見えてくると森木先生にとっても刺激になるんじゃないですか。

そうですね。日々若い高校生とか中学生見ていると、自分も頑張って成長しなきゃなって、いい刺激をもらえますよね。 成長する選手の姿を見せてもらうことで自分のモチベーションも上がるというのは幸せな環境だと思います。競技ではないですが、ちょうど今日もちょっと心配していた選手が「大学受かりました!」って報告くれまして。とんでもない成長幅を見せてくれるのはやっぱり高校生や中学生だなって感じます。
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大人から与えられるのではなくて、選手たち自身の力で可能性を掴み取る文化を根付かせたい

最後に今後のチーム目標や展望、また森木先生の今後の目標などあれば聞かせてください。

チームとしては、全国大会にこの先もずっと出続けることをテーマにしたいのですが、僕が一方的に全てを教え込むというよりは、選手自身の力で掴み取る形で全国を目指して欲しいなと思っています。そのために自分自身のことをちゃんと知ることや、日々の振り返りをすることで、選手力や人間力を上げていかなきゃいけないと思うので、自分自身に矢印を向け成長できる選手を1人でも増やしたいと思っています。

顧問のビジョンとしては、選手たち自身で可能性を掴み取る文化を自分のチームに定着させて、そういうチームが北海道とか日本全国に増えてきたらいいなというところを持っています。
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『部活動地域移行』など、課題が多い部活動界についてはどうですか。

中学校の部活は『部活動地域移行』がはじまっていて、クラブチームが主流になってきていますけど、クラブチームって正直僕の感覚ではスキルを教えてくれるところが多いなと。でも今日話した振り返り力とか人間力とか、温かい部分の話はこのままだと手つかずになっちゃう気がしています。自分自身にベクトル向けながら、人としての弱さも自分で感じながら頑張っていく機会を作っていってあげたいなと僕は思います。
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札幌大谷中学校・高等学校(さっぽろおおたにちゅうがっこう、こうとうがっこう)陸上競技部

森木 創太(もりき そうた) 先生
<プロフィール>
日本体育協会公認スポーツリーダー
日本陸上競技連盟JAAF公認ジュニアコーチ
公認モチベーション・マネジャー 

<チームの情報>2023年11月現在
部員数:40
マネージャー数:1
コーチ数(外部コーチなど):3
Atleta導入時期:20238 

<チームの主な成績>
全国高校総体(全国インターハイ)20年連続出場