試合中に頼れるのは、自分で考える力。鳥取から挑み続ける全国強豪校への挑戦

#67 柔道 倉吉北高等学校 奥谷 祐介 監督

試合中に頼れるのは、自分で考える力。鳥取から挑み続ける全国強豪校への挑戦

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2026.06.30

目次

インターハイ団体戦男女出場に加え、個人戦でも11名が全国の舞台へ挑む倉吉北高等学校柔道部。
全国大会常連校として結果を残し続ける一方で、そのチームには「柔道を楽しむこと」を大切にする温かい文化が根付いています。

選手たちが掲げた今年のスローガンは『ノリと勢い』。一見意外にも思える言葉の裏には、自ら考え、自ら行動する選手を育てたいという奥谷監督の想いがありました。

Atletaを活用した振り返りの習慣づくりと、全国で戦うためのチームづくりについてお話を伺いました。

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全国の壁を越えるために、必要な経験値

今年もインターハイ出場決定おめでとうございます。多くの選手が出場されますね。

ありがとうございます。2026年は団体戦が男女ともに出場で、個人戦が男子6名、女子が5名の計11名が出場します。
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素晴らしい結果ですね。ほぼ全ての階級での出場になりますか。

鳥取県は女子の78kg級だけエントリーがないので、全13階級のうちの11階級で出場です。
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それほどの実力ですと、個人戦では同校対決のようなものも出てくるのではないですか。

そうですね、今回もほとんどの階級がうち同士の潰し合いっていう形になりまして、見ているこちらとしては嬉しい反面、選手たちの気持ちも分かるので正直しんどい部分もありました。
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選手間で切磋琢磨して力をつけている一方、春の全国大会では悔しさもあったかと思います

うちの1つの課題だと思っています。
鳥取県という土地柄、外の大会に出場することが難しいですし、大学を含めた強豪校のような所へ遠征に行ける環境でもないので、他地域の状況や、他校の選手がどのくらい力をつけているかといった情報が中々分からない状況です。
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地域ならではの難しさもあるのですね。

年2回の全国大会には出場できているものの、その先の結果にはなかなか結びついていません。
選手たちもチーム内では切磋琢磨できていますが、全国レベルの中で自分たちがどの位置にいて、次にどこを目指せばいいのかをイメージしにくい部分が今の課題です。
出場した選手が次の全国大会まで意識を継続していけるか、感じたことや経験をどこまで仲間たちに広げていけるかに懸かっていますね。
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全国大会の中で具体的に差を感じるところはどこですか。

場数と言いますか、絶対的に経験値がほかと比べて少ないというのは感じますね。例えば前半でいい勝負ができていても、後半でやられてしまったり、相手のうまさに飲み込まれてしまったり。
どうしてもチーム内だけの試合だとその経験値は積みきれないと思うので、他校の選手と競った勝負をする経験は必要だと思います。
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経験、積み重ねが必要ということですね。

鳥取県は柔道人口そのものが少ないので、そういった意味ではうちの選手が全国大会に出場できるチャンスは多く掴めているとは思いますが、その先に意識を向けることが難しいです。また、全国大会に出た選手は経験値を積んで自身の現状に気づけるのですが、もちろん全員が出場できるわけではないので、できなかった選手がどこまで出場した選手の経験を吸収できるか、意識的にフォーカスして取り組んでいます。
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【ノリと勢い】が支える、選手主体のチームづくり

全国レベルの強豪でありながら、とても明るく楽しそうな雰囲気も印象的です。チームづくりで大切にしていることはありますか。

競技に対する意識が高い選手が多く集まってくれていますが、柔道の強さだけに特化したチームというわけではありません。結構みんなが楽しみながらやる雰囲気がありますね。
もちろん結果は求めていきたいですが、一番は柔道を好きで楽しくやってくれることが大切だと思うので、楽しみながら結果を求めていきたいねっていう話は選手たちともしています。
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それが今年のスローガンにされている『ノリと勢い』にも込められているのでしょうか。

スローガンについては基本的に選手たちに任せているので、これが出てきた時は僕もびっくりしました。背景としては、新チームが始まった9月頃に1、2年生だけの大会があったんですが、その試合の内容があまり良くなかったんですね。そんな時に僕が、「時にはノリと勢いも必要だよ!」っていう話をしたら、その言葉が生徒たちに刺さったみたいで。目標を自分たちで決めさせたあと、道場に入ったら【ノリと勢い】って書いてありました(笑)
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そんな感じで決まったんですね(笑)

例年スローガンは四字熟語だったので、出稽古に来られる先生からも「これ何ですか?」ってみなさんに言われます。でもこの代を象徴しているスローガンだと思います。
今年の子たちは県内の子が多く、ある程度仲が良い子たちが集まってくれています。そういう子たちが楽しく、先輩たちにも引っ張っていってもらいながら、自分たちのカラーを出そうっていう時に生まれたので、良いスローガンだと思います。
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スローガンに対する奥谷監督の理解も含めて、とても良いチームの雰囲気だなと感じます。

なにをやるにしても、結果がどうなろうとも、最終的に僕が喜ぶからとか、僕のために…とかではなく、あくまで選手自身のためにやってほしいと思っています。
もちろん家族や周りの人たちが応援してくれるから、その人たちのために頑張ることも一つのモチベーションにはなると思います。ですが、人生の中でこの3年間を懸けて取り組むことは全て自分のためになると思うので、「自分で考えて自分で行動しなさい」と常々言っています。
スローガンだけでなく練習メニューとか、チーム内でのレクリエーションとか、それぞれの目標とかは基本的に選手たちの意見を尊重してやる形にしています。
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男女を分けない指導が生む成長

柔道部としては男女で分けずに指導されているということですが、指導方法をそれぞれ変えたりなどはされていますか。

基本的に練習メニューも一緒で、行動もほぼ全て一緒にしています。指導は僕と今年から入った新任の先生を中心に行っています。また、柔道経験者である妻にも外部コーチとして入ってもらっていて、男女で担当を分けることはせず、3名で指導しています。
その方が選手としても3人の視点からいろんなアドバイスを受けられますし、僕以外の先生が言ってくれたことの方が刺さることもありますから、色んな情報を得て、その中で自分が必要と思うものをどんどん取り入れてほしいと思っています。
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男女一緒に指導する中で、それぞれの違いを感じることはありますか。

技術的な面では、男女で身体の大きさや力の強さが違いますし、同じ技でも力の使い方に違いがあります。そういった部分は男女それぞれに合わせて指導しています。
あと違いで言うとメンタル面でしょうか。特に女子はメンタル的な悩み事相談とか、そういった話をすることが多いですね。話を聞く時も、別の生徒たちの目に触れない場所で話すこともあれば、あえて周りに見える形で相談に乗ることもあります。その子の特徴や状況に合わせて対応を変える必要があるので、そういった点は特に女子選手に気を使う部分かなと思います。
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試合中に頼れるのは”自分で考える力”

Atletaを導入したきっかけを教えてください。

元々は柔道ノートをやっていましたが、ちょっとずつ部員が増えていって、コメントを返してあげる時間が取れなくなってきました。そんな時に近江高校で合宿するタイミングがあり、向江村先生から「これすごく実用的だし、面白いよ」と紹介いただいたのがきっかけです。
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利用開始当初から現在で、活用に変化はありますか。

導入当初はやはり「記入すること」自体を定着させるまでに時間がかかりました。
また、今日あったことを書くだけで、「あれやりました。これやりました。」みたいな日記感覚でしか書けない子が多かったですね。
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監督が期待していたような内容を書くのが難しかったのですね。

柔道の特性上、試合中は声をかけられず、指導者がアドバイスを出せるのは試合が止まる数秒だけです。
選手は試合の中で、自分で考えて試合を組み立てていくことが大事なんですね。
だからこそ、普段の練習の中でも今日何を感じた、どう思った、じゃあそれをどう改善していくか、といったことを常に考えて、自分の言葉で書きなさいと指導しています。
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日々の振り返りを通して、試合中に自分で考える力を養っているのですね。

この指導を続けてきたことで、最初は書けなかった子も3年生になった頃にはしっかり書けるようになってきました。
試合中も落ち着いていられて、自分で考えた展開に持っていけるようになり、選手の成長も感じますね。
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そういった成長が見られるのは、とても嬉しいことですね。

一発の技術を持っていても、それを試合で出し切れない選手もいます。高校生のレベルも高くなってきていて、自分なりの戦い方や強みを持っている選手も多いです。
そうした選手たちと全国で勝負する時に、自分の強みが分かっていないままでは勝てませんからね。
だからこそ、日頃の練習を振り返りながら力をつけていくことが大事だと思っています。
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振り返りを続けられている選手ほど、結果を残していると感じることはありますか。

ありますね。逆に振り返りが定着しない子は試合で予想外のことが起きるとパニックになっちゃって対処しきれず、結果を出せない子が多いです。
今年の子たちは3年間しっかりやってきた子たちだったので、最後のインターハイ予選で緊張して動きが硬くなってもおかしくない場面で、落ち着いて試合に臨めていた印象がありますね。Atletaの効果を感じられました。
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振り返りから広がった、コンディション管理の意識

選手たちが継続して入力できているのも、普段から振り返りの重要性を伝えられているからなのでしょうか。

重視していたのは振り返りだったのですが、それが書けるようになってくるとコンディションも自然と入力できるようになっていました。
体重の変化とか睡眠の重要性といった部分も、少しずつ選手たちが意識してきたかなと感じます。
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コンディションの状況を見て選手に声をかけることはありますか。

そうですね。気になる項目があればそれが選手と話すきっかけになっています。体の痛みは僕には見えない部分なので、そこを入力してくれると、今どのくらいの痛みなのかが数値で伝わります。
本人なりにどう考えているのかも見えてきて、指導する上でとても助かっています。
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大会前だと痛みを隠してしまう選手もいるかと思いますが、皆さん正直に書いてくれていますか。

もちろん試合に出たくて書かない選手もいます。でもそういった選手はちょっと庇うような仕草が見えたら声をかけるようにしているのと、こちらが見ても分からないぐらいの痛みであれば、本人なりに乗り越えられる部分だと思うので、その辺は選手の気持ちも尊重してあげたいと思っています。
ですが、ケガも含めて乗り越えていくことが大事なことだから、ちゃんとお互い共有していこうってことは日頃から伝えています。柔道はもちろん大事なんですけど、一番大事なのは身体ですからね。
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鳥取からベスト8を目指して、この場所だから育てられる強さがある

倉吉北高校では複数の部活動でご利用いただいていますが、先生同士でAtletaのお話をされることはありますか。

女子バスケットボール部の先生とAtletaの記入状況や選手の情報交換、あとは活用方法の話もします。入力の定着が課題だった時は「どこまで厳しく言っていいのか」って相談をお互いにしました。振り返りの意味合いをどう持たせるかといった話もしていますね。
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それぞれの部活動で長くご活用いただいてますが、学校の文化とうまくマッチしている部分もあるのでしょうか。

学校全体としてマッチしているかは分かりませんが…小規模校なので教員一人ひとりの仕事量が多いため、生徒と関わる時間やノートを見たりスケジュールを管理の時間も限られる中で、スマホアプリで部活の運用を回せるAtletaはマッチしているのかなと思います。
あとは私立で田舎にある学校なので、ここで部活動を頑張る子たちを応援したいって思いを持った先生たちが多いことも、理由の一つかもしれません。
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選手のためにAtletaを活用してくださる先生方が多く、とても嬉しいです。

僕らは選手一人ひとりと関わりたいと思ってやっています。特にAtletaを導入している部活は人数も多いので、練習をしながら選手たちとコミュニケーションを取る時間は絶対的に足りません。
直接コミュニケーションを取る時にも、今選手が何に悩んでいて、どこをケガしていて、どんなコンディションなのか、という情報が事前に分かっていると効率的なコミュニケーションができるんです。
この子に今日何を話しておきたいのか、何を伝えるべきなのか、これらをAtletaによって事前に把握できることは僕らにとっても非常にありがたいですよ。
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最後に今後の目標を教えてください。

全国大会でチームとしてベスト8の賞状を持って帰ることが一つ大きな目標です。
もちろん個人戦でそれぞれ入賞してほしい思いもありますが、やはり「うちで頑張りたい」と言って来てくれた選手たちと団体戦で全国に挑み、その選手たちで賞状を勝ち取ることに意味があると思っています。
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倉吉北高等学校(くらよしきた)柔道部
奥谷 祐介 監督
(おくたに・ゆうすけ)

<チームの情報> 2026年6月現在
メンバー:30名
管理者・スタッフ:2名
Atleta導入時期:2022年11月

<チームの主な成績>
令和8年度 鳥取県高校総合体育大会柔道競技 団体 男女優勝
令和7年度 鳥取県高校総合体育大会柔道競技 団体 男女優勝
令和6年度 鳥取県高校総合体育大会柔道競技 団体 男子優勝

第48回全国高等学校柔道選手権大会 男子73kg級 ベスト16

令和7年度 全国高校柔道大会鳥取県予選会 団体 男女優勝
令和6年度 全国高校柔道大会鳥取県予選会 団体 男女優勝
令和5年度 全国高校柔道大会鳥取県予選会 団体 男女優勝