「気持ちと考え方が7割、技術は3割」岩手県勢初ベスト8を支えた指導哲学

#69 バスケットボール 一関学院高等学校 山田 繁 監督

「気持ちと考え方が7割、技術は3割」岩手県勢初ベスト8を支えた指導哲学

  • バスケットボール

  • 北海道/東北

2026.07.24

目次

昨年のウインターカップで岩手県勢初となるベスト8を果たした、一関学院高等学校女子バスケットボール部
全国で戦えるチームづくりの裏側には、「勝敗の7割は気持ちと考え方」という山田監督の指導哲学と、選手一人ひとりと向き合い続ける日々のコミュニケーションがありました。

10年以上Atletaを活用し、現在も多くの選手をマネジメントする山田監督に、競技力だけでなく、人として成長するために大切にしている考え方や、Atletaを活用したコミュニケーションについてお話を伺いました。

ベスト8を支えた、環境づくりと「負けない試合」の積み重ね

ウインターカップで岩手県勢初のベスト8を達成されましたが、改めてどのように振り返りますか。

昨年の大会は、コンディショニングという面で比較的良い環境で臨めました。試合がすべて第一試合だったため、まず生活リズムが作りやすく、そして選手のコンディションを維持しやすかったと思います。
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コンディション維持や試合に集中できる環境づくりにも注力していたのですね。

試合後はすぐにホテルへ戻って休養できるよう移動面も工夫しました。トレーナーによる身体のケアを受けられたことや、次の対戦相手を分析する時間を十分に確保できたことも、ベスト8という結果につながった大きな要因だと思います。
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チーム全体としては、どのようなことを大切に戦ってきたのでしょうか。

昨年のチームは最初から「負けない試合をしよう」と話してきました。
結果としては負けでも、内容のある試合を積み重ねたことで、最後まで粘り強く戦えるチームになったと思います。
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これまでのチームと、なにか変えたことはありますか。

特別変えたことはありません。
ただ、ウインターカップを迎えるまでの間ですね。ブロックリーグやU18日清食品トップリーグに出場した際、留学生やスタートで起用している選手がケガで抜けることがありましたが、結果として色んな選手を試せたことは大きかったと思います。
起用できる選手が増え、連戦でも戦えるチームになりました。
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試合や遠征が多かったと思いますが、その経験も生きましたか。

特にブロックリーグは遠征の機会が多かったので、その経験を元に全国大会を想定した準備ができました。結果以上に、経験値を積めたことが大きかったと思います。
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実際に経験してみないと、分からない部分もありますよね。

遠征先での試合は相当タフなので、移動が自分たちのコンディショニングにどれほど影響することか分かりました。ブロックリーグの結果は3勝4敗で負け越しているんですけど、中身のある試合になったと思います。これこそ"負けても内容がある試合"の経験を多く踏めました。
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バスケットボールはケガも多い競技ですが、チームとして取り組まれているケガ予防やケアについて教えてください。

理学療法士やストレングスコーチなど専門スタッフにも協力してもらっています。試合に出たい一心で無理をしてしまう選手もいますが、そういう時は無理をさせずリハビリに専念させています。
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日頃の体調管理では、Atletaも活用されているのでしょうか。

もちろんです。寮生活なので私たちが体調管理まで見る必要があります。記録を見て「本当に大丈夫?」と声を掛けることもありますし、見守ることもあります。
本人から申告がなくても、Atletaの記録から気づけるケースは少なくありません。
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言葉にする力が選手を成長させる

前身のサービスを含め10年以上Atletaをご利用いただいていますが、長く続けている理由を教えてください。

昔は体調管理もバスケットノートで運用していました。それを選手たちにとって、身近なスマートフォンでできることはメリットだと思い導入しました。
ただ、デメリットとして字を書かなくなることがあるので、二度手間にはなってしまっているのですが、コメントだけは並行してノートも書かせるようにしています。
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Atletaとノートは使い分けているのですか。

選手によります。同じ内容を書く子もいれば違う内容を書く子もいます。ノートには私もコメントを書きますし、図を描いて説明することもあります。
一方で、全員の状態を確認するにはAtletaの方がはるかに効率的ですね。
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自分の考えを整理し文章にすることは、選手の成長にどのような影響があると感じていますか。

今の子たちは文章表現力と読解力がまず落ちている印象で、普段の勉強でも苦労している子が多く学力にも表れてきています。
戦術も「なぜこの練習をするのか」が説明できなければ意味がありません。だから自分の考えを文章で整理する習慣を大切にしています。
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AIが身近になった今だからこそ、基礎がより大切ですね。

そうですね。最近だと書けないだけでなく、話せなくなっているとも感じます。ミーティングをしても「あれが悪い、これが悪い」という話になりやすく、本来の目的である「より良いチームをつくる話し合い」ができなくなってきています。
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このようなミーティングに関する課題感は、ここ最近で顕著に増えた印象ですか。

増えましたね。部活内だけでなく普通の授業の中でもそれは感じます。
話し合いの場って、無理に話さなくても良いし、本音を言うと人間関係が崩れるのではないかと思い、言葉を飲み込んでしまう選手もいます。
でもそれが小さなすれ違いとして積み重なり、最終的にその揉め事を解決するためのミーティングになってしまう…なんてことも年々増えていますね。
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伝え続けることで自立する選手を育てる

その原因は何だと思いますか。

今はSNSなど世論の目を気にする時代で、親も学校も「何か言えば叩かれるかもしれない」と思い、本来必要な指導までできなくなっています。その結果、自分のやりたいことだけを優先し、苦手なことや向き合うべき課題から目を背ける子が増えていると感じます。
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先生方も指導が難しい時代ですよね。

もちろん理不尽に叱るのは違います。でも、人として成長するために必要な指導は親も学校も必要です。
うちの選手たちは自分の意思で親元を離れ、寮生活をしてまでバスケットボールをやりに来ています。その覚悟を持って来てくれているのであれば、我々も本気で向き合います
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選手にも、その考え方を伝えているのでしょうか。

はい。ただ、「間違い探しをしろ」と言っているわけではありません。誰かが間違えた時に、仲間が「そこは違うよ」「こうした方がいいよ」と声を掛け合い、お互いに修正できる。それがチームだと思っています。
でも今は、人間関係が壊れることを恐れて何も言わない。その空気が優先されてしまっているように感じます。それでは結果は出ません。

だから今は昔ほど叱りません。全体には伝えますが、最後は「サボれば全部自分に返ってくるぞ」と話します。結局、一番厳しいのは、サボった分も逃げた分も、すべて自分自身に返ってくることです。
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指導の仕方も変わってきますね。

バスケットボール界でも「インテグリティ(誠実さ)」という考え方が浸透してきて、最初の頃は指導者も「どこまで声を掛けていいのだろう」と戸惑っていました。審判も指導者も、お互いに探りながら進んできた時期があったと思います。しかし、一番大事なのは、練習だけではなく日常生活の中で対話することです。
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日頃からコミュニケーションを取ることを、大切にされているんですね。

練習で「ここを意識してほしい」と伝えても、それをやらなければ結局自分に返ってくる。試合で任せられない、出場できないという結果に繋がってしまいます。
だから、競技だけではなく日常生活も含めて、伝え続けることが大切なんです。
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48名の選手と向き合うためのチームマネジメント

ここ数年で48名もの選手が所属する大所帯となりました。選手のスカウトも先生ご自身が担当されているのでしょうか。

アシスタントコーチと一緒に行っています。試合を見に行ったり、練習会を開催したりしながら選手と接点を作っています。今は関東のクラブチームから来ている選手もいますし、秋田や山形、青森など県外からも多く入学してくれています。
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県外からこれだけ多くの選手が集まるのはなぜでしょうか。

一番は実際に練習へ参加してもらうことですね。夏休みなども体験練習会を何度も開いています。それに加えて、学校で女子寮を整備してもらえたことも大きいですし、クラブチーム同士の繋がりから広がっている部分もあります。
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選手に対して、スタッフの人数は多くないように感じます。基本的には山田監督が指導されているのでしょうか。

はい、48人全員基本的には私が見ています。練習は体育館を二面使ってAチーム、Bチームと分けてはいますが、違う練習をするのではなく、全員が同じ内容を取り組みます。そこをアシスタントがフォローし、他のスタッフやトレーナーも必要に応じてサポートしてくれる形です。
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選手数が増える中で、Atletaが支えになっていると感じる場面はありますか。

指導する上で全員の状態を把握するためにAtletaは欠かせません。夜にコメントが届くので、一つひとつ確認してリアクションを付けたり、必要ならコメントを返したりしています。
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ちなみに、選手からはどのようなコメントが届くことが多いのでしょうか。

コートでは話せなかったことや、「ここが分かりません」とか、「こういう時はどうしたらいいですか」といった相談も時々届きます
そういう時は文字だけのやり取りで済ませず、翌日の練習で本人を呼んで、あえて直接話すようにしています。その方がお互いに伝わりますし、選手とのコミュニケーションも作りやすいですからね。
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「気持ちと考え方が7割、技術は3割」

最後に、インターハイへ向けた目標や意気込みを教えてください。

目標は選手たち自身に決めてもらっています。私たちはそこへ向かうサポートをする立場です。今年のチームには「気持ちと考え方が7割、技術は3割」とずっと伝えています。昨年ベスト8だったので、今年の選手たちは「ベスト4」を目標に掲げていると思いますが、そのために今の練習で十分なのか、最近は技術以上に考え方や取り組む姿勢について話す時間が多いですね。
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大会前の調整も始まっている頃ですね。

大会前は練習量を増やし続ければいいわけではありません。一度負荷を落とし、ここからもう一段階コンディションを上げていきます
先日は体育館のコンディションが悪かったので、無理に練習するのではなく、プレーをゆっくり確認する時間に切り替えました。選手には「分からないのに分かったと言うな。本当に理解できるまで確認しよう」と伝えています。
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技術だけでなく、考え方を整理する時間でもあるんですね。

全国大会は毎試合が厳しい戦いになります。ただ練習量を増やせば勝てるわけではありません。目標に見合った考え方や準備ができているかが大切です。
インターハイではベスト8で桜花学園と当たる可能性があるので、まずそこまでは勝ち上がりたいです。ベスト4を目標にしているので、「ホテルもベスト4まで勝ち上がる前提で取ってあるぞ」と選手たちに伝えています。それくらいの覚悟で全国大会に臨みたいです。
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一関学院高等学校 女子バスケットボール部 (いちのせきがくいん)
山田 繁 監督(やまだ・しげる)

<チームの情報> 2026年7月現在
メンバー:48名
管理者・スタッフ:2名
Atleta導入時期:2017年1月

<チームの主な成績>
SoftBank ウインターカップ2026(第79回全国高等学校バスケットボール選手権大会)ベスト8
東北大会3位(岩手1位)
岩手県高等学校総合体育大会 優勝7回 インターハイ出場
岩手県高等学校新人バスケットボール大会 優勝8回
全国高校選抜優勝大会岩手県予選 優勝10回 WinterCup出場