2020.04.02

“やらされる”からの脱却!振り返りを”自らやる”選手へ意識を変えた方法とは

【活用事例】#08 陸上競技 沖縄県立石川高等学校

目次
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沖縄県立石川高等学校 陸上部監督/上運天誠氏

陸上競技のレベル向上に県全体で取り組んでいる沖縄県。

そんな沖縄県にある石川高校陸上競技部ではAtleta(アトレータ)を2年以上ご利用いただいており、例年結果を残し続けています。今回はそんな石川高校陸上部の上運天誠(かみうんてんまこと)監督にお話を伺い、陸上競技におけるピーキングの重要性とAtletaを長く使いこなすための意識や指導方法についてたっぷりお話を伺いました。

ピーキングをサポート!試合前の練習メニューの重要性を意識付けられる

石川高校陸上部では2018年2月から2年間に渡りAtletaをご利用し続けていただいていますね。

はい。陸上競技はいかに試合当日にコンディションのピークを持って行けるかが重要な競技です。試合前にこのピーキングのための調整期間を取っていて、その期間で調整に適した練習方法を指導しているのですが、私はこの『調整』の大切さを選手たちに理解してほしいと考えています。重要性を理解した上で練習メニューを自身で考えられるところまで選手に意識付けしたいんです。
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その意識付けの活動としてAtletaをご利用いただいているということですか。

その通りです。日々の練習の振り返りを続けることで、自身のピークの持って行き方がだんだん分かっていくので、その点を目的としてAtletaを利用し続けています。
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Atletaは他の学校の陸上部にも多数ご利用いただいているのですが、指導者の中には選手の入力が続かず悩まれている方もいらっしゃいます。その中でこれだけ続けられているのは選手自身がピーキングの大切さをしっかり理解できているからなのかなと思いました。

調整メニューを私が指示出しても選手みんなが大会に合わせてピークが来るか正直わからないんです。選手自身の身体のことですからね。
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自分でメニューを組めるまでにならないと結果を出すのは難しい。そこを認識させた上で、ピーキングのサポートになるのがAtletaだと選手に伝えています。」

普段からそういった話をされているのですか。

そうですね。自身で考えることを意識させたいので、逆に普段の練習の中で私から指導するメニューについては、その意図をあえて伝えないようにしているんですよ。
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何のための練習なのかを伝えないということですか。

はい。そうすると、各選手がその日の練習をどれくらい理解して取り組んでいたかをAtletaのコメントを通して把握できるんです。全国大会に出場している選手になると、しっかり理解している旨のコメントが返ってきますね。
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選手自身に気づかせるんですね。

そして、「○○選手から意図を理解したコメントが来たよ」ということを部員全員に伝えて、そこから他の選手も意識させるようにしています。
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気づきへの近道は"選手自身で練習メニューを考えさせる"こと

自然と考えることを意識させる指導方法ですね。Atleta導入前は同様の活動や指導を行っていましたか。

前に赴任していた学校では部員に日誌を書かせていたのですが、中々続けられなかったです。石川高校に来てからも日誌の運用は考えたのですが、選手は早朝から授業で放課後は競技の練習があるのでどうしても疲れ切っちゃって、夜に家で日誌を書く時間をとるのは難しいなと思い特にやっていませんでした。
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学生さんは勉強に部活に毎日大変ですからね。

このことに悩んでいた時にちょうどAtletaの存在を知りまして、これだったら練習終わりの下校中のバスの中で記録できるなと思い始めました。
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Atletaの利用はすぐに浸透しましたか。

Atleta導入して何試合か出場した後、大会1~2週間前に調整メニューを自分たちで作らせたのですが、それが大きなきっかけになったようで。それ以来選手たち自身で考えて入力し、振り返るようになりましたね。
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Atletaを利用したことで、選手の意識や行動が変わったなと思うことはありますか。

日々の練習ではもちろんですが、特に大会前の調整期間になると選手たちがAtletaを見て振り返るようになりましたね。
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『前回大会はどうだったか』『自己ベストが出た時どんな調整していたか』こういったことを選手自身で振り返られるようになりました。」

『多機能で使いこなせない』から『多機能をフル活用』に変えた"マネージャーの存在"

スマートフォンアプリによる選手管理そのものに抵抗がある指導者も時折おられるのですが、上運天監督はいかがでしたか。

抵抗というものは特別ありませんでしたが、利用しはじめの頃はAtletaの機能が多くて大変でしたね。
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確かに多機能すぎてどこから手を付けて良いか迷ってしまいますよね。

なので、最初はとにかく色々触ってみました。
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使い始めて良いなと思った機能はありましたか。

食事機能は良いなと思いました。食事の情報を見て生徒にアドバイスできるので、そこからコミュニケーションが生まれたりしてとても良かったです。また、コメント機能や連絡ボード機能など、Atleta自体がコミュニケーションツールになっているのが良いですね。
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各機能の活用方法は全て上運天監督がお考えになって実践されているのですか。

それもありますが、中には選手やマネージャーから教えてもらった機能もありますよ。まとめて管理機能は前マネージャーから教えてもらって使い始めました。前マネージャーはデータをしっかり見れるタイプの子なので、私と一緒に毎日チェックしてました。
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「まとめて管理」はWebAtleta限定機能。コンディションや食事など見たいデータをカスタマイズできます。昇降順で並び替えることも可能です。

前マネージャーはどのデータをチェックされているんですか。

コンディションと食事を見てもらっていました。コンディション項目の中では特に疲労度を見てもらっていて、疲労度の記録に応じて「この選手は少し疲れ気味なので注意してください」といった形で報告をもらっていました。後は食事バランスですね。Atletaの食事分析機能を駆使して選手たちに声掛けしてくれていました。
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ちなみに、今はマネージャー不在ですか。

はい。。募集中です。笑
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保護者への協力は監督からではなく"選手から"伝える

Atletaについて選手の保護者の反応はいかがでしたか。

Atleta導入することに関しては私から保護者に特に伝えていなくって。選手たちから保護者に伝えてくれているようです。その甲斐あって保護者も食事の部分を気にしてくださるようになりました。
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食事を記録させることが保護者にとってプレッシャーになってしまうのことを理由に利用を控えるチームもあるのですが。

それは私も認識しているので、あえて私からは「食事に気をつけてください」なんてことは言わないようにしているんです。幸いにも先程お話した通り、選手たちから保護者に話してくれていて、保護者も食事を気にして用意してくれるようになったみたいで、とてもありがたいですね。
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なるほど。プレッシャーにならない形で食事を意識させる、素晴らしい運用ですね。

保護者は我が子から話が上がったことについては協力的になってくれますよ。
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選手が日々記録するコンディションには監督からリアクションされますか。

はい。練習中は部員全員にアドバイスしてあげられないので、選手たちが記録してくれる日々のコンディションコメントを読んで、それに対して積極的に返信してコミュニケーション機会を作っています。
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やらされているではなく、自ら取り組む選手を育てる指導術

選手を指導する上で大事にされていることを教えて下さい。

選手には「部活バカにはなるな」と日頃から言っています。学校生活の中での課外活動として部活動があるわけで。学校生活がしっかりできない子は部活をやる権利はないと思っていて、選手たちにもそのことは伝えています。だからこそ学校生活の中での勉強、部活、そして遊びはしっかりやってもらいたいですね。
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しっかりやることの中に『遊び』も入ってくるところに上運天監督の人柄や生徒を思いやる気持ちを感じます。

その中にある部活の一つとして陸上競技があるわけですが、陸上競技は技術面だけでなく人としても育つものだと考えています。なので選手たちには陸上部を通して人として育って欲しいですね。
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日々の生活をまじめに取り組んでこそ部活動に参加できて、そこで更に成長できる環境があるということですね。

私は選手たちに「常に応援される選手になりなさい」とも伝えています。こういった想いがあるので、石川高校陸上部のテーマは『日々全力』なんです。
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日々全力で取り組むことができれば、必ず結果がついてくると思います。石川高校陸上部としての今後の目標を教えて下さい。

Atletaを続けることで自己管理能力を高めることができると思います。
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『やらされている』ではなく自らしっかり取り組んで、自身が定めて目標を達成できるように頑張って欲しいです。来シーズンは部員全員が大会ごとに自己ベストを出して欲しいです。」

現場で実際に使っている指導者から聞いて気づけたことや、新しい発見がたくさんありました。

中々継続することができない。と課題を抱えているチームのヒントになるような指導術ばかりです。

Atletaを使っててよかった!と実感していただけるように、これからも努めて参ります。今後のチームの活躍に期待しています!ご協力いただきありがとうございました。

沖縄県立石川高等学校(おきなわけんりついしかわこうとうがっこう)陸上部

<チームの情報>2020年2月現在
部員数:14名
指導者数:顧問1名
Atleta導入時期:2018年2月

<主な成績>
2017年度 U18日本陸上競技選手権大会5位(男子100m)6位(男子やり投げ)
2018年度 福井国体優勝(少年A男子やり投)
2019年度 九州選手権3位(ジュニア女子200m)
2019年度 全国高校総体(南部九州総体)出場(200m女子)
2019年度 茨城国体出場(少年B女子100m)

<保有ライセンス>
日本体育協会公認スポーツ指導者(陸上競技指導員)