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2022.04.05

練習強度や部位の痛みを視覚化!重症化やケガ予防に繋がっている管理方法とは。

【活用事例】#34 ハンドボール 徳島県立池田高等学校

目次
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『Atleta』の前身サービスから数えて5年間アプリによるコンディション管理を続け、その間ずっと高い入力率をキープし続けている池田高校女子ハンドボール部は今年度の全国大会出場を決めました。入部者がほぼハンドボール未経験者というこのチームの強さとは。そして5年もの間、高い入力率を維持できている理由とは。
今回は顧問の谷藤先生にそれらの秘訣をたっぷり伺いました。

負荷の度合いが視覚的に分かれば、指導しやすくなるなと思い導入しました。

『Atleta』の導入経緯を教えてください。

うちの学校には普通科とは別に『探究科』というものがありまして、その探究科の授業の一環で心拍数と運動強度についての研究を行っていました。その研究を通して『ITを競技に取り入れるのは面白いな』と思っていたタイミングで『Atleta』の前身のサービスを知り、そこから『Atleta』を使っています。
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探究科ではどんなことをするのですか?

普通科よりも一段上の専門的な活動をする、週に一度探究活動というのがありまして、生徒がグループに分かれて様々な研究をしています。
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心拍の研究を行ったのはなぜだったのでしょうか。

男性の指導者が女子を指導するにあたって、どれくらいの強度が女子選手にとってしんどいのか、どれほどの負荷がかかっているのかがどうしても分からなかったんですよね。男性の感覚で女子選手を走らせると、みんな「ハァハァ」息切れするものだから早めに休憩入れさせていたのですが、休憩した途端普通に選手たちは喋ってるんです。結構元気やないかいって。そこの見極めがすごく難しくて。
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練習強度の設定が難しかったのですね。

女性の指導者に相談したら、「女子は意外といけますよ。ただ、倒れた時はホンマにヤバい時ですから気をつけて。」って言われて、「いやそこが知りたいのに!」って思っていました。この心拍の研究を通して負荷の度合いが視覚的に分かれば、指導しやすくなるなと思い研究を始めました。
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そういった校内での取り組みが背景としてあり、部活動にITを入れることになったのですね。

そうですね。
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簡潔な方があとから振り返る時に分かりやすい

導入前はハンドボールノートもしていたそうですね。

『Atleta』を始める3〜4年前からずっとノートでした。メンタルトレーニングの一環としてこちらが考えた項目と練習の内容をノートに書かせていました。その記録していた項目が『Atleta』で記録することでグラフ化できると知ったので、『Atleta』は利用できるなと思いました。
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記録の運用をノートからアプリに切り替えるにあたって気になることや心配はありませんでしたか。

うちの学校は進学校なので勉強もさせないといけないんですよね。ノートをさせることで帰宅後勉強机に向かう習慣がついて、そのまま勉強に繋がれば良いなと思っていましたし、スマートフォンが普及してきたことで『書く』機会が減っている現代において、書かせる機会を作る点ではノート運用の方が良いかなとも思いましたが、もうスパッと切り替えましたね。
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『Atleta』を使い始めて、『これはもう大丈夫だな』と思えたのはどのくらいのタイミングでしたか。

導入当初から日々の入力をルールとして強制していました。例えば試合のメンバー選考時も『Atleta』を毎日できている選手から選ぶよと言った約束事の一つにしていましたから、入力率は導入して1ヶ月程で定着しました。もしその時に入力が定着してなければ申し訳無いけど利用を止めていたと思います。
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1ヶ月で定着できたのはかなり早いと思います。谷藤先生から、「なぜAtletaの入力が必要なのか」と言った話は選手にされますか。

ノートの場合、提出期限を練習翌日の昼までにしていたので、選手によっては練習の翌朝、つまり提出日の朝に急いで書く子もいたんですね。一方でアプリにすると練習帰りの電車の中で入力できちゃいますし、入力すればすぐにこちらにも通知が来て確認できるし、何かあればすぐ返信もできますから、熱いうちにやり取りができるよって話はよくします。
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選手にはどういった内容をコメント欄に書いてもらっているのですか。

『今日できたこと』『今日できなかったこと』『明日やること』の3つです。それぞれ長い文章で書かせるというより、簡潔に振り返ってもらっています。そちらの方があとから振り返る時に分かりやすいですからね。たくさん書く選手も時々いますが、そんなにたくさん書いても一気にできないでしょと伝えて、優先度をつけさせることを意識させています。
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努力を見てあげないでただ「早く寝なさい」は指導者として違うと思う

記録している項目の中で谷藤先生が重視されているものはどれですか。

睡眠時間と食事ですね。食事は何を食べたかよりも、きちんと3食摂っているかを気にしています。あとはやっぱりケガですね。
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睡眠時間というのは就寝時間ですか、それとも睡眠の総時間ですか。

以前は僕も古い考え方だったので、遅くまで起きていることは良くないと思っていて、遅くても24時までには寝るべきだと考えていたのですが、選手によっては別に1時に寝て6時に起きても動ける子もいたりするので、重要なのは睡眠のトータル時間かなと考えるようになりました。「いつもこのくらい寝ているのに今日は短いな」とか、普段と差が出ている選手がいると声をかけるようにしていますね。
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選手ごとの基準の中で大きな変化がないかを見ていらっしゃるのですね。

やっぱり選手の中には1時とか2時まで勉強頑張っている子もいるんですよね。そんな子のテストの成績を見てみるとしっかり結果を残していたりしますからね。その努力を見てあげないでただ「早く寝なさい」は指導者として違うと思うので。とにかく体調だけ気をつけてもらえればそこは別に良いと思っています。
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食事については摂取有無を見てるとのことですが、朝食を抜いてしまう選手はいますか。

いや、何かは口に入れているみたいです。食が細い子が朝にクッキーなどのお菓子を食べていることがありましたが、それはさすがにパンに変えさせましたね。まだ高校生なのでどうしても食事は保護者の協力が不可欠です。保護者会の時も食事への意識、協力をお願いしています。
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年に一度食事の講習会も部でされているそうですね。

はい、合宿の時にしています。合宿前に「ハンドボールをしている女子はだいたいこれくらいのカロリーが必要ですよ」という計算式を記載した案内を保護者に渡して意識してもらった上で、合宿中に選手たちにその計算で算出された量を実際に食べてもらっています。
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保護者と一緒に、選手自身も食事の知識を学びながら活動しているのですね。

女子だから…というとこの時代良くないかもですが、やっぱり将来家庭を持って食事を作る機会ができたり、子どもを育てることになった時に少しでも今の経験や知識が役に立ったら良いかなと思います。
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グループ設定機能はかなり便利な機能だと思います

ハンドボールはケガが多い競技かと思いますが、普段どのようなチェックをされていますか。

朝時点の痛みの度合いを見ます。その時点で痛みの度合いが5以上だったら練習はさせません。それは選手たちにも伝えています。また、練習やアップの様子を見て、『Atleta』に書いていないのに痛そうな素振りを見せている選手がいたら声をかけるようにしています。
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トレーナーとも連携されているようですね。

整骨院の先生をされている方に診てもらっています。トレーナーにも『Atleta』のアカウントを持ってもらっていまして、グループ設定機能を使ってトレーナーに診てもらう選手を設定しています。
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具体的なグループ設定機能の利用方法を教えてください。

グループ設定で『リハビリ組』というグループを作っていて、そのグループにトレーナーのスタッフアカウントを所属させています。ケガをした選手のアカウントを都度『リハビリ組』グループに登録させることで、トレーナーはケアが必要な選手のみ閲覧できる状態を作っています。
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グループ設定機能を上手く活用頂いていますね。この方法を普及していきたいです。

他のチームはあまりされてないんですかね?かなり便利な機能だと思います。ケアが必要な選手だけを閲覧できることで、トレーナーはそれまでの痛みの推移や部位の変化など追いやすくなっていると思います。
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身体の気になる部位と度合いを具体的に共有できることで、ケガの把握やケアのしやすさは変わりましたか。

以前は、例えば痛そうに歩いていたら『脚かな』とか、投げる速度が落ちていたら『肩とかかな』とか、漠然とした把握しかできていませんでした。『Atleta』で太腿や股関節といった細かい場所は登録できるようになったことで、原因を考えやすくなったし、逆に「この部位なら昨日のトレーニングの影響(≒筋肉痛)だからトレーナーに診せるほどでもないかな」といった判断も以前よりしやすくなりました。
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『Atleta』での管理が結果的にケガの予防や重症化の予防に繋がっていると思いますか。

慢性的な痛みがひどくなって、長い期間練習ができなくなるといった選手は出てきていないので、その点では予防に繋がっているんじゃないかと思います。無理をさせずにちゃんと休ませることができましたからね。
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入部予定の新1年生には既に『Atleta』のアカウントを渡している

連絡ボード機能の利用について教えてください。

連絡ボードは急に予定の変更があった際の連絡に利用しています。僕は選手たちとLINEのやり取りをしていないので、その代わりですね。あとは試合前だと対戦相手の動画を部内のyoutubeにアップしてURLを共有しています。最近だと4月から入学する選手のためにハンドボールのルールを解説している動画も共有しました。入部予定の新1年生には既に『Atleta』のアカウントを渡しているので、予め細かいルールを知ってもらうためですね。
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新入生に向けた競技ルールの説明を早いうちから『Atleta』で共有されているのは、とても参考になる活用方法です。

どうしてもうちに入ってくる選手は競技初心者が多いですから。
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初心者が多い中で全国レベルのチームに育て上げられているというのは、やはり谷藤先生の指導力あってのことでしょうか。

いいえ全然ですよ。学校として強化チームに指定してもらっているので推薦枠はもらえるんです。なので、バレーボールやバスケットボールといった他の競技をやっている能力が高い選手が来てくれます。中学校にはハンドボールの大会がありませんから、基本的にいろんな競技の大会を観に行って逸材を探しています。田舎で子どもも減ってきていて、団体競技も少ないので、テニスや卓球といった個人競技も観に行きますよ。
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優秀な選手獲得に複数競技リークルーティングされるんですね。入部前から事前に『Atleta』の話はされますか。

新入生たちは中学校と違うことができる事自体に興味を持ってくれていると思うんです。推薦受験の面談のタイミングで部の紹介をするのですが、その時に『Atleta』のことも画面を見せながら紹介するんですね。この時保護者にも見せるのですが、その時から『Atleta』への興味はあると思うので、それを実際に早くから使えることは新人選手たちにとっても良いことだと思いますよ。何より4月からスムーズにコンディション入力を始められます。
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卒業冊子は僕と選手のやり取りが詰まった大事な記録

毎年卒業冊子をお申し込みいただいいていますが、選手たちの反応はいかがですか。

いつも卒業式のセレモニー的な時に渡してからそれっきり卒業生とは会わないのでどう読んでくれているかまでは把握できていないのですが、後輩たちは先輩たちが受け取っているのを見ていますから、今から楽しみにしていると思います。個人個人で分厚さも変わってきますし、3年間の成長が見えるわけですから、楽しみだし恥ずかしいし、嬉しいという感情じゃないですかね。僕と選手のやり取りが詰まった大事な記録ですから、とてもありがたいです。
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では最後に、全国大会に向けて意気込みをお願いします。

大会に向けて『Atleta』を使ってしっかりコンディションを整えて挑みたいですね。相手も強豪校ですし、始まる前からケガ人を出すわけにはいきませんから。今回は1年生ばかりのチームなので、今後にも繋がるような試合ができたら良いなと思います。
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徳島県立池田高等学校 女子ハンドボール部

<チームの情報>2022年3月現在
選手数:14名
指導者数:4名(内訳:監督1名、トレーナー2名、GKコーチ1名)
Atleta導入時期:2017年11月
(CLIMB DB 導入時期:2017年4月)

<主な成績>
2022年 第45回全国高等学校ハンドボール選抜大会 出場