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2022.08.24

学生生活と両立しながらも西日本インカレ優勝を遂げた、名城大ハンドボール部の社会で活躍する選手育成とは

【活用事例】#38 ハンドボール 名城大学 本山慶樹氏

目次

先日の西日本インカレで、創部56年目にして悲願の初優勝を遂げた名城大学男子ハンドボール部の本山監督にインタビューしてまいりました。西日本インカレは昭和36年から続く歴史ある大会で、11月に開催される全日本インカレの出場権及びシード権をかけ、東海、関西、中四国、九州から男子32チーム、女子16チームが出場し、男子12チーム、女子8チームに出場権が与えられます。初優勝本当におめでとうございます。

自らを「データ好き」と語り、選手から兄貴分として慕われる本山監督から、学生生活との高度な両立を目指す名城大学男子ハンドボール部のチームづくりについてお話しを伺いました。チーム愛・ハンドボール愛にあふれた終始笑顔のインタビューとなりました。

自分だけでなく他の選手のプレーシーンを振り返り多くの気づきや学びを得てほしい。映像を選手に落とし込むために選択したデジタルツール。

Atleta導入のきっかけを教えてください。

最初のきっかけは、食事と体調の管理ができるサービスとしてご紹介いただき気になったのですが、実は導入の決め手は連絡ボードでした。
以前は、選手へ映像を共有する際、Youtubeにアップロードして、そのURLをキャプテンにショートメールで送って、選手へ共有してもらっていたんです。細かく映像を作成しているので、動画が複数に分かれるんですよね。その動画を選手に見てもらうとなると、「どこか一つにまとめて載せられて」かつ「選手が見ているかどうかがわかる」といいなと思っていたので、まさに連絡ボードは願ったり叶ったりだったんですよね。
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どんな動画を共有されているのですか?

練習の映像と、自分たちの試合の映像と、対戦相手の映像ですね。あと連絡ボードではファイルも添付できるので、試合のレポートなども載せて共有しています。
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試合のレポートとはどういったものですか?

試合ごとにKeynoteでレポートを作っているんです。選手から自分のプレーシーンを見たいという声があり、本人のプレーシーンを切り取って、Keynoteにリンクを貼り付け、ポイントや対策などもまとめてレポートにしています。自分のアイコンを押すと自分のプレーシーンだけが見れるようになっています。
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試合ごとの対戦レポート(選手別で動画がまとめられているページ)

とても手の込んだレポート…!素晴らしいですね。

同じポジションのメンバーのシーンや、チーム内のライバルのシーンを見てもらうことで、足りないところを補う材料やチーム内で話し合うきっかけにしてもらっています。人のシーンを見ることは、気づきや学びが多くあると思っているので、チームノートを「ON」にしておいて、選手が自由に意見を書き込みできるようにもしています。
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中々労力のかかる作業に感じますが、監督が1人でやっているのですか。

マネージャーに手伝ってもらっています。動画を切る作業をお願いしていて、動画を組み合わせて考える部分を私がやっています。
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名城ハンド部の多くは卒業後、会社員になります。社会人になった時に準備する大切さを選手にはわかっていてほしいなと思っていて。
営業をするとき、事前に商談相手のことを調べたりするじゃないですか。準備不足では思ったような結果が得られないと思うのですが、学生のうちから卒業後に活躍できるように育っていってほしいなと思っています。

もちろん試合には勝ちたいですし、準備をしないと勝てない相手と勝負するので、そこに対する準備は欠かせないというのもあります。私自身が準備をしないと気が済まないところもありますが、相手のことを知らずにベンチから指示出せないですからね。相手のことを相手以上に知っておきたいですね。(笑)
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勝利は目標であって目的ではない。試合に負けても、目的は社会で活躍すること、大学卒業をゴールと思わずに走り抜けてほしい。

準備の大切さは私も社会人になり実感しました。学生のうちから経験できるのは強みですね。どんなことを意識して指導をされているのでしょうか。

クラブの目的は社会に出て通用する人材を育成することだと思っています。目標はインカレで優勝することですけど、勝利は目標であって目的ではない。試合に負けても、目的は社会で活躍することであって、負けた後の行動や次の試合までの取り組みが大事になってくるんじゃないかなと思っています。
日本一になることを目標とするのは大切ですが、目的が優勝になると、負けてしまったら何も無くなってしまう、目標に向かってどういう努力をするのか、学生生活を送るのか、どういう気持ちでやるのか、日本一になれなかったからといってダメだと思わない、そんな話をよく学生にはしています。大学卒業をゴールと思わずに、走り抜けてほしい、卒業した時に頑張れよって声かけますし、頑張っている選手は応援したいです。
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話を伺っていると、選手と監督の距離感が近くとても関係性が良さそうに感じますが、関係づくりとして取り組まれていることはありますか?

年に2回個別面談を実施しています。選手の状況を聞くことや、僕がチームに思っていることを話しています。
あと、実は選手と一緒にウエイトトレーニングしたりしているんですよ。できるだけ、近い距離感で話をしてもらって、言いたいことをお互いに言える関係性を目指しています。
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以前から良好な関係性が築けているのですか?

以前から割と近い方だとは思うのですが、特に最近の子たちにはこちらから近づかないと距離を縮められない、というよりもチームづくりの上で選手との距離感が結構大事なんじゃないかなと思っています。何気ない会話から、生活のことや悩みを聞けることで、元々気付けなかったことに気付けるようになりました。
昔は相談にも来ない選手もいましたが、「今日練習終わった後に話があるんですがいいですか?」というような選手からの相談も増えましたね。僕も気になった時、どうなん?と聞けるような関係性を保てています。
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上級生重視の起用に変えてから、部員のチーム定着率が変わった

チームのルールみたいなものはありますか?

常々僕は「努力をしている選手を試合に出す」と伝えています。
名城ハンド部では、1年生よりも2年生の方が技術的に上手になるような練習をしています。うちのハンドボールをやるために、技術的に求める要素がいくつかあり、それをクリアした選手のみ試合に出ることができます。よっぽどのことがなければ下級生を試合に出すことは少ないです。
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どんな意図でやっているのですか?

昔は勢いの良い1年生を起用していました。ですが、この形に変えてから1年生の定着率が変わったんですよね。要は、1年生のうちから試合に出る重圧を感じて、上級生に合わせた練習になるので、部活が中心の生活になってしまい、授業が疎かになってしまうんですよね。ハンドボールは楽しいけど、大学生活が充実しなくなってしまうという現象ですね。
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強さを求めるほど、部活中心の学生生活になってしまうようなイメージはありますね。

単位が取得できないとうちで試合には出さないです。私生活をちゃんとできない選手が、試合で良い結果を残せるとは思えないので。ましてや親御さんのことを考えると、ちゃんと卒業させることも監督の仕事だと思っています。
1年生のうちは、学校生活と練習の雰囲気に慣れること、身体づくりを重視しています。ある程度単位を先に取得することで、大学生活のリズムもできますからね。なので、準備や片付けを、上級生にも一緒にやらせています。一番時間にゆとりがある上級生がやってくれと(笑)
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こういったことは試合に?

はい、コートの外での生活が、コートの中にも絶対出ますね。ルールを守るだとか、最後の大事なところをいい加減になってしまったり、あと単位が足りてないと試合中頭の片隅に不安が残っているんですよね、それがプレーに出たりします。
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試合に負けた後、選手とどんなコミュニケーションをとりますか?

まずは選手にどうだった?と聞き、僕の感想も伝えます。あとは、スカウトチームという制度(試合に出ないメンバーに、対戦相手の真似をして動きやフォーメーションを完コピしてもらう)があるのですが、試合に負けた時は、そのスカウトチームに謝ります。たくさん準備してくれたのに、僕の指示や作戦がうまくいかずに、申し訳なかったと謝ります。
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今の時代色々なITツールがありますが、2017年からずっと使い続けてくれている理由はなんでしょうか。

使いやすさです。とにかく管理がしやすいですね。画面一つで全選手の情報が一目瞭然だったり、メッセージを選手へ一斉に送れたり、選手には何かあれば通知が届くように設定しているので選手のレスも早いですし、今の子達にあっていると思いますね。
他にも似たようなサービスを見たことはありますが、連絡ボードの使い勝手の良さとかはやっぱり良いですよね。
コロナの時も、『Atleta』を通じて選手と繋がれていたことは本当に助かりましたね。日々の体調管理もこれがないと考えられないなと思います。
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Atletaのコンディション管理はどのように見られますか?

体調のにこちゃんマークや身体の痛みを特にチェックします。ニコちゃんマークが紫になっている選手に、「どうしたの?体調悪いのか?」と聞くと、「すみません、入力間違えました!」と回答してくる選手もたまにいます(笑)
あと、週に2~3回きてくれるトレーニングコーチがいるのですが、大阪にいるんですよね。そのコーチに、遠隔でも体調や身体の痛みを見てもらえる点も重宝しています。

キャプテン・副キャプテンにスタッフアカウントを付与して運用しています。
チームのメンバーの調子や、入力しているかとか、チームのことを気に掛けられるようにと、毎年キャプテン・副キャプテンには見せるようにしています。
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最後にチームの今後の目標を教えてください。

チームとしての目標はインカレ優勝を目指しています。ただ、目標は勝利ですけども、目的ではないので、勝ち負けに関わらずその中で良い人材を育成できるようなチームしていきたいなと思っています。
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監督の人柄の良さ、チームワークの良さを感じるインタビューでした。とても勉強になる貴重なお話をありがとうございました。

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名城大学(めいじょうだいがく)男子ハンドボール部
本山 慶樹 監督

<チームの情報>2022年8月現在

部員数:部員38名
指導者数:2名(監督、コーチ)

Atleta導入時期:2017年7月

<チームの主な成績>
西日本インカレ:優勝1回(2022年度)、準優勝6回、第3位13回。
1995年に全日本インカレ優勝、98年に準優勝、第3位1回、第4位2回で、32回連続出場中。
また95年に全日本総合ハンドボール選手権大会(現日本選手権)で第3位の戦績を残す。