【選手インタビュー】#01 高川学園高等学校 男子サッカー部

インターハイや高校サッカー選手権に出場し、独自のセットプレーで世界的にも注目を浴びたサッカーの名門校、山口県の高川学園高等学校男子サッカー部（以下、高川学園サッカー部）の中で取り組まれている『部署活動』をご存知ですか。メンバー一人ひとりが役割を持ち、主体的になってチーム運営に参加するこの制度。先日『Atleta』の新機能企画にも部署活動の一環として協力していただきました。今回は高川学園サッカー部の部署活動について、7部署の代表にお集まりいただき、活動内容や活動意義などについてたっぷりお話を伺いました。

高川学園サッカー部考案「チーム機能」

メンバーのホーム画面がリニューアル！[チーム]タブを表示させることができるようになりました。

コンディション管理の項目として「自由回答項目」をご利用の場合、その自由回答項目の記載内容をメンバー間で共有できるようになりました。共有させる項目はチームごとにカスタマイズ設定できます。

>続きを見る

高川学園サッカー部で導入されている部署活動制度についての概要を教えてください。

サッカーの試合に出られるのは11人だけですが、選手一人ひとりにチームに関わっている意義や1つのチームとして全員で活動しているという意識を持ってもらうために設けた制度です。また、選手がこれから社会に出る上で、もちろんプロを目指している子もいますが、ほとんどの選手たちは進学や就職をします。だからこそこれからの社会で役立つ人間育成も兼ねて、今の時期だからこそできる活動として取り組んでいます。

岡田コーチ

部署活動は2017年からの取り組みだと伺っているのですが、コーチから見て年々活動に変化などは見られますか。

年々部署も増えていて、選手たちが成長できる機会も増えてきていると思います。活動内容も選手たちが考えてやってくれているので、変化というより年代に応じて違う色の活動が見られますね。

岡田コーチ

ありがとうございます。ここからは各部署の部長にお話を伺います。

全11部署あるのですが、総務部ではそれらの部署の活動内容を把握して、活動に対するアドバイスを行っています。また、それぞれの部署費の収益管理などを行っています。

総務部 藤井選手

農業部では野菜を土作りから始めて、調理したり色んな場所で販売したりして、高川学園サッカー部の活動を学外に知ってもらうための活動を行っています。

農業部 金谷選手

週末の試合を撮影して、その映像を見ながら課題を探したり、その課題や監督やスタッフからの指摘をなどの情報を元に動画編集してチームメンバーに共有したりする活動をしています。

分析部 菅野選手

広報部では主に4つの活動があって、1つ目がInstagramやTwitterなどのチームのSNSを投稿すること。2つ目が月に一度の新聞作成。3つ目が最寄り駅である大道駅の清掃。最後に部室にあるリーグ表の更新です。

広報部 原田選手

強化部では全部員の体重管理を行っています。また、週末の試合から課題を抜き出して、そこから朝練メニューを考案しています。また、活動で最も多くやっているのがセットメニューの考案です。

強化部 村田選手

ということは、世界的にも有名になった『トルメンタ』は強化部考案ということですか。

はい。強化部の先輩が考案しました。

強化部 村田選手

今年の選手権でも新しいセットプレーが話題になりましたよね。それも強化部発信ですか。

『バイラリン』ですね。東山戦（第101回全国高校サッカー選手権大会3回戦）の前日の練習時、トレーニングで試して手応えがあったので試合で実践しました。

強化部 村田選手

強化部からあの独自のセットプレーが生み出されるのですね。ありがとうございます。次は企画部山中君お願いします。

企画部では母の日やクリスマスといった日に行うイベントの企画や試合運営などを行っています。

企画部 山中選手

おもてなし部では来客された方の接客やその時に提供する飲み物などの物品管理、宿泊施設の清掃、チームのバスの清掃などを行っています。

おもてなし部 宮本選手

僕は附属中学から高川学園なのですが、中学3年生くらいから高校で部署活動をやっていることを知りました。中学生の頃は部署活動と聞いても具体的にどんな活動をしているのか疑問が多かったのですが、高校に進学して実際に活動をやってみて、自分自身の成長に繋がる良い活動だなと感じました。

総務部 藤井選手

中学時代に練習参加で高校の練習に参加した時に部署活動の存在を知りました。でも当時は活動内容までは知りませんでした。

分析部 菅野選手

部署は選手自身で所属を選べるそうですが、菅野君はどうして分析部を選んだのですか。

試合中に相手の状況を見るのが苦手だったので、少しでも自分の為になりそうな部署を考えた時に、分析部だったらそういった苦手を克服できるのではないかと思い選びました。実際に試合中も相手のことを考えてプレーすることができ、自分が試合中に気づいたことを味方に伝えることができるようになったので成果が出ていると思います。

分析部 菅野選手

僕は高校に入るまで部署活動のことは知りませんでした。農業部を選んだ理由は野菜を育てることがどれだけ大変なのかを知りたかったからです。

農業部 金谷選手

高校入学まで農業との関わりはなかったのですか。

はい、全くなかったです。

農業部 金谷選手

実際に農業に関わってみてどうですか。

地域の方と一緒に野菜を育てて、更にその育てた野菜を販売できるので、学び甲斐がある部署だと思います。

農業部 金谷選手

昨年、『SGリーグ』という強化試合をするリーグを企画したのですが、コロナで実施できなかったので、今年こそやろうと思っています。

企画部 山中選手

選手主体のリーグということですか。

はい。他の学校にも声をかけて4〜5チームほど参加してもらう予定です。

企画部 山中選手

リーグを立ち上げるってすごく大変だと思うのですが、いかがですか。

大会要項などの詳細な内容を決めるのがとても難しくて忙しかったです。

企画部 山中選手

ありがとうございます。開催の行方を見守っております。続いて強化部村田君お願いします。

先程の話にもあったように、一昨年に『トルメンタ』という新しいセットプレーが考案されました。そして昨年も新しいセットプレーが生まれたので、セットプレーについてはしっかり先輩方の思いなどを受け継ぎ、新しくて効果的なものをたくさん考案し試していきたいと思っています。

強化部 村田選手

海外でも話題になるくらい高川学園サッカー部の特色の1つだと思うので、今後もプレーで驚かせてください。期待しています。

ありがとうございます。

強化部 村田選手

僕は1年生の頃から強化部に所属しているのですが、全部員の体重管理がとても難しくて、全員分をまとめる用紙をパソコンで作成して、記入する作業はとても大変でした。

強化部 村田選手

そういった管理こそ『Atleta』を活用すればもう少し楽にできるかもしれないので、これから一緒に考えていきましょう。

はい、よろしくお願いします。

強化部 村田選手

僕は来客された方や保護者の接客対応をしているのですが、最初の頃は上手くできませんでした。去年の部長が教えてくれたおかげで今では丁寧な接客ができるようになりました。これは社会に出ても役に立つ力だと思うので、全部員ができるようになると良いと思います。

おもてなし部 宮本選手

社会人1年目で教わる内容が既に身についていると思うので、同世代と比べてとても良いアドバンテージになっていると思います。では次に広報部原田君、SNSの活動をされているようですが気をつけていることなどありますか。

発信するに当たって多くの人に見てもらうことが大切なので、見たいと思ってもらえる内容や楽しんでもらえる内容にすることを心がけています。何より高川学園サッカー部を知ってもらう上で大事な機会なので、自分たちの自己満足というよりも、見た人が楽しんでもらえる内容か、面白いと思える内容になっているかなどは気にしながら投稿しています。

広報部 原田選手

今はプロのスポーツチームでもSNS研修があるように、投稿する内容には特に気をつける必要がある時代だと思いますが、広報部としてはそういった面で気をつけていることはありますか。

例えば試合の結果を投稿する場合も、公式戦が近ければメンバーがバレないように写真は載せないなど、相手の情報源にならないように気をつけています。あと、自分たちが考えた文章を必ず一度スタッフに確認を入れてから投稿しています。

広報部 原田選手

なるほど。文章のダブルチェックはもちろん、投稿する写真などもしっかり気をつけてSNSの活動を行っているのですね。素晴らしいと思います。

野菜を毎日見るようになって、水やりの量や肥料の量などを日頃から気にするようになりました。また、農作業は時間帯が大事だったりするので、野菜中心の時間の使い方になったと思います。

農業部 金谷選手

サッカー部の中でもAチームBチームといったカテゴリに分かれていると思うのですが、各カテゴリに農業部のメンバーはいるのですか。

はい。各カテゴリに農業部員がいるので、LINEのグループで連絡を取り合いながら連携を取っています。

農業部 金谷選手

基本的には毎週月曜日の放課後に必ず部署活動の時間を取っていますが、それ以外にも部署によっては空いている時間を使って活動しています。総務部だとお金の管理をしているので月末に収支表を作る活動を行っています。また、毎月部長ミーティングを実施したり、毎月部署ごとの目標を立てたりしています。

総務部 藤井選手

月曜の放課後の活動はもちろん、土日の試合後にはその日のうちに動画編集して課題を洗い出してチームに共有する活動をしています。

分析部 菅野選手

毎週そんな作業をしているってすごいですね。分析部は何人所属しているのですか。

分析部は2年生だけで10人くらいいます。試合の動画編集はカテゴリの分析部ごとにやっています。

分析部 菅野選手

次期生徒会長の藤井君お願いします。

2ヶ月に1回くらいの頻度で各部活のキャプテンが集まるリーダーズ会議を開催しています。そこに生徒会として僕も参加しているのですが、その中に企画部の山中にも参加してもらっていて、サッカー部として学校行事の中で取り組めることがないかを考えてもらっています。

総務部 藤井選手

具体的にどんなことをするのでしょうか。

去年で言うと、3年生の中で修学旅行に行けなかった生徒が多くいたので、その代わりになるような球技大会など、少しでも楽しんでもらえる機会を企画しました。

総務部 藤井選手

学校行事も生徒主体で考えて実行できているって素晴らしいですね。ありがとうございます。

選手権などの大きな舞台になると身体作りが大事になってきます。そこでチーム全体の体重増加を目的に強化部でご飯の量を決め、平均体重を保てるように意識させたいです。そのためにチームメンバーに補食を促すようにするなど、食事に介入をしていきます。

強化部 村田選手

先程も話しましたが、昨年できなかったSGリーグを開催したいので、実現のために計画的に取り組もうと思っています。高川学園が主体となって取り組むリーグなので、大変ですが頑張ります。

企画部 山中選手

去年より質の高い野菜を育てて、サッカー部のメンバーや地域の方々に食べて欲しいです。

農業部 金谷選手

現状試合の分析しかできておらず、積極的に活動できていない控えめな選手もいます。試合だけではなくトレーニングなどの動画作成の機会を作って、監督やスタッフからの指摘や課題をもっとチームに共有していきたいです。

分析部 菅野選手

広報部は今年の目標を『SNSフォロワー数5,000人』としています。今は2,600人くらいです。第100回全国高校サッカー選手権大会の『トルメンタ』が話題になって全国3位となった年にフォロワー数がかなり増えた経験があり、やはり知ってもらうためには結果を出す必要があることはよく分かっているので、サッカーで結果を出して、そこから広報部の目標達成に繋がると良いなと思います。

広報部 原田選手

おもてなし部の目標として『部員全員がおもてなしをできるようにする』を掲げているのですが、なかなかできていないので、今年は様々な工夫を凝らして、全員できるようにしていきたいと思います。

おもてなし部 宮本選手

総務部として、部署活動の中で関連している職場体験ができないかを検討しています。例えば広報部であれば新聞社にお邪魔させてもらったり、おもてなし部ではホテルの方に接客を学ばせてもらったり、そういったことが実現できれば良いなと考えています。
また、サッカーでは今年の目標は日本一なので、全てのことにおいて日本一の基準でできるように頑張ります。

総務部 藤井選手

一人ひとりの個性が輝く「部署活動」だと感じました。皆さん貴重なお話をしていただきありがとうございました！