Atleta通信

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2021.10.04

全国で結果を残すチームの強さに迫る。自主的な練習の癖がついた、コンディション項目の工夫とは?

【活用事例】#23 柔道 桐蔭学園高等学校

目次

2021年度インターハイで優勝選手を輩出した桐蔭学園高校女子柔道部。そんな強豪を指導するのは、自身も全日本体重別選手権で優勝経験のある廣川真由美先生です。

現役時代に結果を出した廣川先生が何故『Atleta』を使い続けているのか。そこには競技者として結果を求めるだけでなく、選手たちの将来も見据えた指導理念がありました。

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女性アスリート × 月経の課題

『Atleta』を使い始めたきっかけを教えてください。

アプリ利用前までは私が作成した紙ベースのコンディション表を使って月単位で記録させていました。それだと月に一度しか確認できないのですが、『Atleta』だと毎日その日の情報を確認できるので、便利になると思い利用を始めました。
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当時の紙のコンディション表はどんな内容を記録していましたか。

その日のトレーニング内容や練習前後の体重、体調です。また、女子選手を見ているので月経の有無も記録させていました。コメント欄を設けて自由に書かせていました。
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月経状況は女性アスリートのコンディションに大きく関与しますね。

柔道は体重別競技の為、減量により月経に影響が出てしまう選手が多くいます。より体に負荷のかかる減量により半年近く月経がこなかったり、もしくは月経の期間が短かったり、逆に期間が長くて貧血気味になってしまう選手もいるんです。
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当時から選手の月経の有無について注視されていたのですね。

女性アスリートにとって月経は大きなウエイトを占めている要素だと思うので、そこはかなり前からしっかり選手たちに伝えてもらっていました。とはいえ本人は直接言いづらい部分でもあるので、紙のコンディションシートに記録してもらっていました。
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当時は一ヶ月後に結果を把握するために記録してもらっていたのですね。

はい。月経が正常にきているかどうかの把握だったので、一ヶ月後にシートを確認して気になった選手に直接声をかけていました。しかしリアルタイムではありませんでしたね。
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『Atleta』の価値:練習と体調の両面から振り返りできること

当時の紙ベースとは違い、月経を始めとした様々な項目をリアルタイムで把握できる点に『Atleta』の魅力を感じていただけたということですね。

そうですね。今では毎日選手にコンディションの入力をさせています。「22時までには入力するように」と指導していて、私は22:30頃に毎晩入力内容の確認をしています。練習面だけでなく、体調面の振り返りもできることに価値を感じています。
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体調面を振り返る重要性については廣川先生から選手たちによく指導されているのですか。

はい。私は選手の『Atleta』の入力に対して返信は特にしないのですが、選手が入れたコメントに気になることがあれば、翌日の練習前に本人を呼び、直接顔を見て話をするようにしています。そこで今日の体調を確認したり、気になる部位の腫れ具合を見てテーピングをしたり、必要であれば練習を止めさせたりしています。
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練習ノートとコメント機能の使い分け

毎日の入力の結果声掛けの制度も上がったのですね。

実は『Atleta』と並行してノートの記録も続けているんです。私の経験上、記録を書いて残すことはとても大事だと考えています。ただ、勉強と柔道を両立しながら帰宅後にノートを書ききるというのはなかなかの負担になってしまうと思うので、『Atleta』かノート、どちらか一方に記録するかどちらにも記録するかは選手自身に選んでもらっていますが、ほとんどの選手は両方に記録しています。
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ノートと『Atleta』の記録内容の違いは何でしょうか?

『Atleta』には体調やケガを主に記録しているのに対して、ノートには技術的にアドバイスしたことがメインで書かれています。
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天理大学柔道部の穴井先生も自身が現役時代からノートを記録していて、今も当時のノートを持っているほど記録を残すことは大切だとおっしゃっていました。

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天理大学 穴井監督のインタビューはこちらから
ここまでのデータ管理はやっていませんでしたが、ノートを付けていました。その日の練習内容、体調、モチベーション、課題といった内容を記録していました。今でもそのノートは残っていますよ。
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廣川先生も現役時代にノートを付けていたりしましたか。

はい。私の時代はスマホなどありませんでしたからノートなんですよね。高校時代からノートを書き始めて現役終わるまで続けました。
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廣川先生自身も記録と振り返りの重要性を大いに感じてこられたのですね。

穴井先生同様昔のノートは今も残しています。これらは今でも私の宝物なんです。特に自分自身が上手くいかなかった時にノートを振り返るとすごく感じるものがありますね。
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ノートが力になったことを、選手たちにどうお話されているんですか?

競技を続ける上で上手くいく時といかない時があるんです。じゃあ、上手くいっていた時は『どんな練習をどんな思いで取り組んでいたのか』紙に残された自分の字を見て振り返った時に、すごく大きな力を感じました。
自分自身の思いを込めた手紙なども、必ず手書きにしていますし、今の子たちには分からないかもしれませんが、自分たちが大人になって、母親になった時にノートを振り返ることで感じるものがあると思います。
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確かに昔の自分の文字を振り返ったりすると色々感じますよね。

字が変わってきたり誤字脱字があったり(笑)。でもそういったことも大切な思い出になるんですよ。このような話を選手たちにした上で、大変だと思うけどできる限りノートも続けていこうと話しています。
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手書きのノートも勧める理由は「感情のアウトプット」の重要性

ノートも日々チェックされているのですか。

個々のノートとは別に部で1冊ノートをつけていて、これは日替わりで一人の選手が担当して書いてもらって、練習前に必ず私の手元に届くようになっています。これには必ず私のコメントを残すようにしています。生徒の文量より、私の赤字の方が多い時もあります(笑)
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交換ノートみたいに運用されているのですね。

そうですね。個人でつけているノートについては選手が見てほしい時だけ持ってきてもらっています。これまで提出を強制してしまうと本心を書けなくなりますからね。『先生ムカついたな』とか(笑)でも自分専用のノートであればそういった感情が書き出せるので、このアウトプットは大切だと思います。
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確かにそういった内容は『Atleta』のコメントにも絶対書けないですよね。

自分専用のノートであればそういった感情が書き出せるので、このアウトプットは大切だと思います。でも不思議なもので、これもあとから振り返ると自分の未熟さが分かるんですね。なので、自分だけの秘密でいいから感情のままに書けるノートがあるといいよと話しています。
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様々なチームのユーザーとお話する機会がある中で、柔道部はノート書かせているチームが多い印象があるのですが、これは個人競技特有のものなのでしょうか。

そうですね。柔道は競技であると同時に武道です。礼節や品格を重んじ、自身を鍛練していかなければなりません。結果のみならず、自身の成長といったところも含め常に自分自身と向き合うという姿勢が大切になります。それを多くの指導者の方が感じておられるのでノートを利用されているのではないでしょうか。
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なるほど、モチベーションなどに大きく影響しそうですね。

なかなか勝てずに投げられることが続いている時に、礼節や敬いの気持ちを持って競技を続けるって、すごく難しいと思うんです。
そんな時に抱いた思いをノートに書き記していくことで、心の中の負の感情を心に溜め込まずにノートに吐き出す。その内容を一歩引いた自分で見つめ直す。この連続で鍛えられていくのかなと思いますし、とても大切なことだと思います。
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スマホで入力させることで体調への意識や自主的な練習の癖がついた

『Atleta』を利用することで感じた効果を教えてください。

一つ大きいのはやはり先ほどもお話したリアルタイム性です。あとはスマホで入力させることで体調への意識や自主的な練習の癖がついたことですね。
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どうやって自主的な練習の癖がついたのですか?

例えば、うちではチーム全体でのウエイトトレーニングやランニングトレーニングはそれぞれ週に一度しか行わないのですが、『Atleta』に項目としては作っています。こうすることで自主的にランやウエイトをするようになりました。
あくまで自分で目標を持って自発的に練習しないと強くなりませんからね。その項目を設けることで自分から意識して練習できるようになりました。
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確かに強制ではないとはいえ、やらないと項目が埋まらないから気になって頑張り始める選手もいそうですね。

そうなんですよ!きっかけは『先生に見られているなぁ』という感覚で始めた選手もだんだん個人練習の重要性に気づけて、最終的には自分の意志で続けて、結果に繋がる感じが分かってくると思います。
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効果が実感できると継続力も上がって、いい流れを作ることができそうですね!

今年のインターハイで優勝した江口(凜 選手)も、一年生の時は特別積極的ではなかったのですが、今ではほぼ毎日自分の意志で走るようにしていますし、減量も一年生の頃は苦労していましたが『Atleta』を使うことで体重計に一日3回(練習前後と寝る前)乗る癖がついて、体重を意識できるようになりましたね。
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コロナ禍でのチームの取り組みを教えてください。

去年の緊急事態宣言時は休校になって選手たちも寮に帰ってこられず、みんな自宅で過ごす期間が3ヶ月ほどありました。その時は大会も全てなくなりましたから『練習頑張ろう』ということはありませんでしたが、每日LINEやZOOMを利用して「外をお散歩して珍しい花を見つけよう」とか、ダンス動画を共有して「みんなでこれ覚えて踊ろう」とか、そんな課題を出しながらみんなとの繋がりを切らないようにしていました。
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『Atleta』の使い方に変化はありましたか。

コロナ禍も「『Atleta』は每日22時には確認するよ」と言っていたので、みんな自主練習の内容や体重を入力し続けてくれました。練習内容に関してもみんなそれぞれでできることを考えて、例えば20kmランニングやったり、二重跳び1000回したり。私からは指示していませんでしたがそれぞれが頑張ってくれたので良かったです。
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逆に使い方を変えずに続けられたことが良かったのですね。

『Atleta』を続けたことで生活リズムを大きく崩すことが無かったのも良かったです。就寝時間と起床時間も毎日つけるようにしていて、これは変動ないようにと伝えていたので、コロナ禍に伴う生活リズムの影響は少なかったです。
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現役時代に実感した「練習・睡眠・栄養」の重要性をジュニアアスリートの今伝えたい

廣川先生自身も現役時代アスリートとしてご活躍されていましたが、当時からコンディショニングについて意識されていましたか。

とにかく規則正しい生活をするように心がけていました。例えば夜は22時には必ず寝ていました。お酒も飲まないですし、外食もせず自炊で毎回ほぼ同じ食事をとっていました。
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大変ストイックに取り組まれていたのですね!

私は63kg級から57kg級に階級を変えたということもあり、ただ体重を落とすのではなく身体そのものを変える必要がありました。
食事面やトレーニングの内容や質、練習にかける時間などを意識することで競技成績が一気に上がりました。
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肉体改造を経験したことでコンディショニングや食事の重要性を感じられたのですね。

だからこそ、今の選手たちにも練習・睡眠・栄養の3つが競技力向上に重要であることを伝えています。ただ練習を重ねるのではなく、コンディショニングを意識して日々自分の体調を把握し、怪我をしない身体作りをすることが長く競技をする上で非常に大切ですし、それができることで目指す成績に繋がると思います。
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目標をもってひたむきに頑張り続ける、その過程で人として成長してほしい

これまでの経験を選手たちに指導を通して伝えているのですね。

ほとんどの選手は教員や柔道の指導者を目指しています。柔道は競技者としてはいずれ終わるものなので、現役の時はもちろんインターハイやオリンピックといった上を目指しますが、常に現役を終わった時のことを考えて過ごすよう選手には伝えています。
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競技人生から、さらに先のことまでお伝えしているんですね。

柔道だけの力を身につけても、社会で生きていく力を身につけない限りその先はないんですよ。今の選手が誰かを教える立場になった時に何を大切にして指導するか、そこを意識させる上でもコンディショニングという考え方は大事なので、『Atleta』を利用し続けているというのもありますね。
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選手たちがしっかり結果を出せている理由は、そういった廣川先生の指導理念にあるのかなと感じました。

もちろんどの選手も競技成績を上げたいからうちに来ていると思います。目標として全国大会優勝を掲げていますが、個人競技なのでチャンピオンは1人なんですよね。でも結果が出せたら偉いわけではなくて、目標を置いて、上手くいってもいかなくてもひたむきに頑張り続けることが何より素晴らしいことなんです。その頑張る過程で、人間として成長をしてほしいというのが指導者としての何よりの私の願いであり指導の目標です。
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素敵なお話をありがとうございました!引き続きよろしくお願いいたします。

プロフィール

桐蔭学園高等学校 女子柔道部監督 / 廣川真由美氏

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桐蔭学園高等学校(とういんがくえんこうとうがっこう)女子柔道部

<チームの情報>2021年9月
選手数:9名
Atleta導入時期:2018年2月

<主な成績>
講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 個人優勝(合計 3 回)
全国高等学校総合体育大会柔道競技大会 個人優勝(合計 7 回)
2017年度 全国高等学校総合体育大会柔道競技大会 団体優勝

<保有ライセンス>
全日本柔道連盟公認指導者資格Aライセンス
全日本柔道連盟公認審判資格Aライセンス