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2021.11.16

京都トレーニングセンターの三宅トレーナーと改めて考える。”コンディショニングの重要性と伝え方”

【活用事例】#特別編 京都トレーニングセンター

目次

スポーツ医科学をもとにアスリートから地域住民までを支援する「京都トレーニングセンター(以下KTC)」でも『Atleta』を活用してチームをサポートしています。

KTCでサポートしている三宅氏に、トレーナー目線で考える

など、たっぷりお話頂きました。

改めて「コンディショニングの重要性と伝え方」を一緒に考えてみませんか?

コンディショニングは十人十色。自分の"コンディショニング"を探してほしい

『Atleta』の利用を決めたきっかけを教えてください。

KTCがサポートしているチームが利用していたこともあり、『Atleta』というサービスの存在は知っていました。さらにKTCとしてもコンディショニング管理をどうしていくかという課題が長らく残っていたので、まずはサポートチームの『Atleta』環境を使わせてもらう形になったのが最初ですね。
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トレーナー視点で『Atleta』でコンディション管理をするメリットや、効果的だと感じる管理項目があれば教えてください。

「肉体的な疲労度」と「精神的な疲労度」、あとは「睡眠時間」ですね。意識させたことで選手自身が疲労度と睡眠時間の相関を実感できるようになりました。
やっぱり身体が疲れていなくても精神疲労があれば練習の質が悪くなったり、チーム全体の雰囲気が悪くなったりする感覚があるようです。
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コンディションがもたらすチームへの影響を選手自身が感じられているのですね。

じゃあ「精神的な疲労をどうにかしよう」とただ単純に考えるのではなく、
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これらの原因を整理して考えられる選手になって欲しいと思っていますし、これがスポーツの意味だと思っています。

もちろん競技力上げるのは大事ですが、将来その競技力を生かして仕事になるのは一握り中の一握りですよね。だから、スポーツを通して「なんで?どうして?」を追求できる人間になって欲しいです。
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何かAtletaでも工夫していることはありますか?

あえて細かく項目を設定しコンディション管理をさせています。最終的には僕が何も言わなくてもできるようになってもらうことが目標です。
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KTCで設定されている、実際のコンディションの項目

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※他にも、食欲や排便の有無など設定されています。

これは選手に向けて、「この項目がパフォーマンスに影響するから注視しなさい」というヒントを与えている感覚なのでしょうか。

そうかもしれないですね。例えば、睡眠時間が長い時は疲れていて、だいたいその翌日も疲れているんですよ。
つまり「ただ長時間寝るだけでは疲れは取れない」ということが分かりますよね。
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と、色んな可能性がありますよね。
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選手によってどの行動がコンディションに影響するかは変わってきますからね。

基本的なコンディショニングの情報提供等はできますが、常に十人十色のコンディショニングのサポートを実施するのは難しい。だからこそ自分たちで試行錯誤してもらうことが大事です。
その過程でアドバイスはするようにしています。
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各々で自分のコンディショニングをできるようになってほしい、ということですね。

『Atleta』に体調の項目がありますが、極端に言えば大事な試合日に『すごくいい』状態じゃなかったらコンディショニング調整失敗です。

試合に合わせてコンディションをどう『すごくいい』状態にするのか、また過去に『すごくいい』状態だったのはどんな時だったのかをしっかり振り返りなさいと、常に選手たちに伝えています。
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過程を自分で考えさせたい。”トライ・アンド・エラー”の重要性

学校の顧問の先生とはまた違った、トレーナーだからこその視点で選手と接している印象があります。

そうですね、顧問の先生とは接し方が違うと思います。部活動は学校教育の一環で、教育的な面は先生の専門なので、あえて僕はそこじゃないスポーツ医科学の専門家として接します。
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選手とのコミュニケーションで心がけていることはありますか?

チームの雰囲気をこちら側の考え方に持っていくのが大事だなと思っています。
専門性が高いからこそ、貪欲に吸収しようとしてくれる選手もいれば何もしない選手がいるのも事実なので、チーム競技で全員を押し上げるのはとても難しいですね。
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チーム全体で雰囲気を作ることで、真面目に取り組める子たちを増やしていくのですね。

そこがまた難しくて。今の子たちは僕らの世代に比べて真面目なのですが、良い意味でのずる賢さがない印象があります。
僕らの時代なんて部活中の給水が許されなかった時もありました。水を飲めない状況の中どう水を飲むかを考えてきた僕としては、『どうすれば乗り越えられるだろう』と考える力が、今の子は少し弱くなっているかなと感じてしまいます。
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環境や時代の変化が関わっている部分もあるかも知れませんね。

もちろん今の指導環境が良くなって指導の幅が広がったのはとても喜ばしいことですけどね。今の子は言われたことは完璧にやるんですよ。でも、それは果たして成長なのか、考えてしまうことがあります。
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指示されたことをやるのはもちろん、そこから何が必要か自主的に考えて行動することが大切になりますね。

トライ・アンド・エラーすることが何より大事です。もちろんトレーナーとして指示やアドバイスは出しますけど、その過程を自分たちで考えて欲しいですね。
他の先生たちも「自主性が低くなってきている」という話はされていますし、やっぱりそこはみんな感じている部分なのかなと思います。
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勝敗を分ける紙一重が”コンディショニング”

Atletaを利用する中で選手の意識が変わったと感じることはありますか。

項目を細かく設定していることもあり、選手たちの身体に関する考え方が洗練されてきました。また、「筋肉張っている」や「気分落ちている」などの選手からのSOSが発見しやすくなりました。
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ケガだけでなく筋肉関連の項目も細かく設定されていて、トレーナーらしさを感じました。

選手として毎朝の筋肉状態チェックは大事です。もし朝の時点で筋肉の張りを感じるのであれば、練習までケアをするのか、それとも練習の強度を落とすのか…そういった判断を自分で考えて行うことが大切です。
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筋肉に関するアドバイスも定期的にされていますか。

筋肉の張りに関して色々ありますが、例えば水分量の話ですね。夏場は積極的に水分取るので良いですが、これから冬にかけての時期は水分摂取量が減るので注意が必要です。水分が少なくなるとつりやすくなったりしますからね。「とにかく水分さえ意識して取っておけば翌朝筋肉プルプルやから」って言うとみんな飲んでくれますね。
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暑いと本能的に飲みたくなりますが、寒い冬は意識的な摂取が必要ですね。

アンケート機能を使って栄養知識のテストを実施したこともありますよ!プロのアスリートっぽいので、選手のテンションは高いです(笑)
やっぱりこれらが手軽に全てアプリでできるというのが良いですね。
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選手が記録したコンディション情報を分析機能や比較機能を使って確認されることはありますか。

週に一度は見ています。
選手も自分のデータをグラフで表示させて見ている子が多いですね。体重と疲労の項目を特にグラフ化して見ています。体重に関しては夕飯後の体重と起床時の体重を記録していて、一日のエネルギー消費量の過不足を見るようにしています。
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コンディショニング管理をしているチームとしていないチーム、やはり違いが出ると思いますか。

例えば試合で0対10で負ける相手だったら極端ですが、ある程度のチーム同士だったら紙一重の違いで勝敗が決まると思います。
その紙一重は、日頃からの栄養やメンタル、その日のコンディションとかで決まるのかなと思います。
練習量はそこまで変わらないと思うし、技術の差もそこまで出ないと思うんです。

試合日にコンディショニング万全で身体キレキレのチームと、調整できてないチームではかなり違うと思うので、やはりコンディショニングは重要だと思います。
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KTCのサポート対象は『ゆりかごから墓場まで』

KTCの事業について教えてください。

メインはジュニアアスリートの育成ですが、KTCとしては『ゆりかごから墓場まで』と、どの年代の方も対象にしていますよ。未就学児のメンタルトレーニングやフィジカルテストの依頼もあれば、地域の老人クラブの健康運動もやります。
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そんなに幅広い対象でトレーニングサポートされていることは知りませんでした。

僕たちがスポーツを通して培ってきた経験や知識を、普段運動しない人にも伝えて還元していくことがスポーツの意義だと考えています。だからどんな年代も対象にしていますし、ジュニアアスリートの段階からこのスポーツに対する考えを持たせることがKTCのやるべき取り組みだと思っています。
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KTCに行くと、どんなサポートから始まるのでしょうか?

必ず最初に対面で面談をします。それこそ未就学児のメンタルトレーニングに関しては、主に保護者向けの講習を実施しました。各アスリートごとに必要なサポートがあるので、一人として同じ内容をすることはありません。
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サポートの具体的な内容はメンタルトレーニングや、コンディショニングサポートが主ですか。

トレーニング指導、体⼒測定や筋⼒測定などの各種測定や栄養サポートや映像による動作分析、メディカルアドバイスなど様々あります。あとは教育委員会と連携して地域の学校で授業や部活動支援もしています。
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教育委員会というのは、京都府内の各自治体から依頼を受けるのですか。

それもありますし、一応京都府の施設ですけど府外のチームでも使えますよ。
それこそ今は関西経済連合会と連携して、トップアスリート育成事業を行っています。関西の各地域の大学と一緒になってジュニアアスリートへの医科学サポートを行っています。
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関西全域での活動されているのですね。

また、JPC(日本パラリンピック委員会)のフィットネス機関にもなっているので、パラリンピアンのサポートも行っています。とにかくまずはKTCがアスリートにとっての入口になって、身体の使い方のベースをアプローチしていく感じです。専門的な競技指導まではやっていないですが、だからこそどの競技でもどのチームでも使えます。
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メジャースポーツで埋もれている選手をマイナースポーツで輝かせたい

今後三宅さんがチャレンジしたいことがあれば教えてください。

今後は競技間トランスファー(競技変更)のサポートをやっていきたいと考えています。競技人口が多いメジャースポーツで埋もれている選手ってたくさんいると思うんです。
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マイナースポーツの競技人口が減ることは業界的にも大きな課題ですからね。

例えば甲子園に出られない野球選手の中にも、他のマイナースポーツをやればインターハイ行ける子ってたくさんいると思うんです。そんな選手たちの可能性を広げる活動をしたいと思っています。
今年は特にオリンピックもあって、マイナースポーツが盛り上がる機会もありましたからね。
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素敵なアプローチだと思います!他にも部活動関連で考えていることはありますか?

今やっている部活動支援ももっとやりたいですね。
学校の先生たちは忙しいので、部活動は我々のような機関に少しでも任せてもらって分担した方が良いですし、任せてもらうことで質の高い指導ができると思います。
こういった活動を『Atleta』を活用することで、どんどんチャレンジしていきたいです。
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貴重な話をお聞かせいただきありがとうございました!

プロフィール・京都トレーニングセンターのご紹介

京都トレーニングセンター / 三宅 亮輔氏

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京都トレーニングセンターとは・・・?

ジュニアアスリートの強化拠点として 2016 年7月に京都府立丹波自然運動公園内に開所された、京都府立の施設。

競技成績の向上、自己記録の更新。地区大会、全国大会、更には世界へ。
京都トレーニングセンターを利用される方やチームが、それぞれの目標を達成できるよう科学的トレーニング・サポートを行っています。科学的トレーニング・サポートを行うために、筋力測定や体組成測定やフィールドテスト等の各種測定を各個人、各チームのニーズあった測定項目をテーラーメイドにて実施。
各種測定後には、データ返却(データフィードバック)にも注力し、測定結果に基づいたトレーニングあるいは、今後のアプローチについて指導者及び選手と相談しながら実施しています。

また、最大300名の宿泊施設も有しており、京都府立丹波自然運動公園の有する各種スポーツ施設も利用し、スポーツ医科学サポートを利用しながらの合宿も可能な施設です。
詳細はHPhttp://www.kyoto-tc.com/を御覧ください。

2017年当時のCMはこちら

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