Atleta通信

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2021.08.10

トップチームと近い環境を部活でも。少数スタッフでも回るチーム運用の秘訣とは(前編)

【活用事例】#20 卓球 埼玉栄高等学校

目次

卓球界史上初のオリンピック金メダルをもたらした混合ダブルス決勝戦翌日、興奮冷めやらぬ中、高校卓球界強豪校のひとつ埼玉栄高等学校卓球部の髙橋先生にお話を伺いました。

オリンピック決勝戦の所感から始まったインタビューは

など、様々な視点で指導者としての在り方を語っていただきました。

「力加減」と「メンタル面」が試された、オリンピック決勝戦

昨夜の男女混合ダブルス決勝戦、卓球部顧問としてどのようにご覧になられましたか。

※インタビュー日は2021/7/27、東京五輪2020男女混合ダブルス決勝戦の翌日でした。

決勝はもちろんですが、準々決勝のドイツ戦もすごかったですね。ちょうど昼休みだったので選手たちと一緒に観戦していたのですが、みんな雄叫び上げていましたよ (笑)
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決勝も厳しい試合でしたね。

正直2ゲーム目までの感じだと『これはもう勝てないかな』と思っていたのですが、そこからの切り替えが本当にすごいと思いました。よく対応していました。
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卓球選手の精神力の凄さを改めて感じました。

卓球やゴルフでも言えることですが、ボールを飛ばさない競技は特にメンタルが試されます。
飛距離を出す競技に比べて、一点を狙う競技は力加減やメンタル面が特に重要になると考えています。
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お互い極限状態の中で壮絶な打ち合いをしていたのですね。

そんな状況でも伊藤選手笑っていましたね。もう少しで金メダルって状況を楽しんでいるようでした。本当にすごい。
あと中国という格上に向かっていけたからこその結果だと思います。中国側の方が『絶対に負けられない』というプレッシャーに潰されていた感じがありました。
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実況でも「置きにいったら負ける」という言葉がありましたが、まさに攻め続けられた結果なのですね。

日本はメンタルが非常に良かったです。
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選手と監督の枠組みを超えた、”同僚”のような存在を目指してほしい

髙橋先生が選手に指導する上で大切にしていることを教えてください。

日頃から選手に伝えていることが2つあります。
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我々のチームは前任の監督時代から22年連続でインターハイ出場するなど、20年以上にも渡り埼玉県のトップにいます。だからこそ模範となることは大切だと伝えています。
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20年以上もインターハイ連続出場は本当に素晴らしい記録だと思います。

しかし、プロにならない限り卓球の技術を社会に出て活かせるわけではありません。社会で活躍するために今何が必要かを考えさせるようにしています。
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将来を意識することの重要性を伝えているのですね。

あとは何より選手にとって卓球が楽しくて好きでいられるように、モチベーションを維持させることを指導する上で心がけています。
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「社会に出てからのことを意識させる」について、もう少し具体的にお聞かせください。

選手たちには自分たちが部活動を運営している感覚を持ってほしいんです。僕が指示したことをそのまま真面目に取り組むだけではなくて、例えば指示した練習メニューに対して思うことや、後輩たちのためにやりたいことがあれば、選手から積極的に建設的な意見が出てくる状態が理想です。そして3年生になった時には僕と同じ目線で見られるようになってほしいです。
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選手と監督という枠組みから更に近い関係ということですか。

引退後の3年生だと、後輩はもちろん僕にもアドバイスくれるくらいの一緒に仕事をしている同僚のような関係になってほしいですね。
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今の3年生もすごくしっかりしている印象があります。

今の3年生はかなり良い状態だと思います。僕も一人で考えると分からなくなることがあるから、そんな時は選手に相談しています。
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具体的なエピソードがあれば教えてください。

休みのスケジュールも選手から提案もらったりします。「この週休みいらないから別の週で休みたいです」みたいな。これって休みがほしいからとか、サボりたいからではなくて、ベストな状態で試合に臨むための提案なんですよね。
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自分のコンディションを意識できているからこその提案ですね。

仮に何かをやりたいと考えた時、自分で組めるじゃないですか。スケジュールだけでなく、人を動かすために誰にどう話すかとか、どう対応するかとか。そんな力がついてくれると良いなと思っていますし、そうなるようにコミュニケーションを心がけています。
これってやればやるほど良いことで、最終地点まで到達しても問題ないというか。
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互いに高めあっていく「コミュニケーション」には限界がない

「最終地点まで到達しても問題ない」すごく気になる表現ですね。

厳しい指導が必要な場面ももちろんあると思うのですが、行き過ぎてしまえば体罰やハラスメントとなってしまうと思います。
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なるほど。一方で「コミュニケーション」に限界がないというのは?

コミュニケーションはより良い関係や方法をどんどん工夫しながら模索するような形となっていて限界がないんです。理想の状態や関係性はどこまでも先がある。だからこそ、指導の工夫次第で選手はいくらでも伸びると思います。
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単純にチームの雰囲気もポジティブになるので、選手たちも練習に打ち込みやすくなりそうですね!

少数の指導者で部活動を運営するには、選手にも運営側に参加してもらう必要があります。
参加することで選手たちが伸びてくれれば、お互いにモチベーションを高められるポジティブな雰囲気を作れると思います。
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とはいえ、そこに対して選手たちが甘えて緩まないのは髙橋先生の指導や人柄があってこそだと感じました。

髙橋監督のインタビューは後編へ続きます。
後編では、コンディションや食事管理など競技トレーニング以外のモチベーション維持や、食事意識の変化について伺っていきます!

>続きを見るからご覧ください。

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埼玉栄高校 卓球部インタビュー記事(後編)
競技トレーニング以外のモチベーション維持、食事意識の変化とは
>続きを見る

プロフィール

埼玉栄高等学校 卓球部監督 / 髙橋 裕樹氏

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埼玉栄高等学校(さいたまさかえこうとうがっこう)卓球部

<チームの情報>2021年7月現在
選手数:25名(男子19名、女子6名)
指導者数:顧問2名
Atleta導入時期:2019年9月

<主な成績>
令和3年度 インターハイ卓球競技埼玉県予選会 男子学校対抗・シングルス・ダブルス 優勝
令和3年度 第71回関東高等学校卓球大会結果 男子学校対抗・ダブルス 準優勝