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2024.03.28
春先のコンディショニングは「ウォーミングアップ」を変えよう!
徐々に気温が高くなっている時期であり、衣替えをする時期でもあります。気温の変化によって着るものを“変えて”いきますね。それでは、「ウォーミングアップ」はどうでしょう。
1年通して同じようにウォーミングアップをしていませんか?
冬場にパフォーマンスが低下する原因の一つとして
があります。
みなさんも感覚的に感じていて、入念にウォーミングアップを行っていると思います。
それは、「気温が高い、夏場と同じウォーミングアップをしていると、筋温が上がりきらず本来持っているパフォーマンスが発揮できないから」と考えているからだと思います。
パフォーマンスと筋温の関係
筋温とパフォーマンスは深い関係を持っています。感覚的な部分と一致している方も多いと思います。
温度とパフォーマンスの関係については、「深部体温」との関連を確認した研究が多いです。
「深部体温」とは、直腸温や食道温などのカラダの核心の温度ことです。直腸温や食道温を測定することは特殊な器具や手技が必要ですので一般的ではありません。
そこで今回は、イメージを持ちやすい「筋温」にフォーカスをあてて説明していきます。
「筋温」と「深部体温」の関係はとても近い関係です。
筋温が上昇していくとパフォーマンスも上がっていきます。
しかし、一定の筋温を超えると逆にパフォーマンスが低下していきます。
パフォーマンスが低下していくと言われている筋温は40度付近と言われています。筋温が40度まであがるということは滅多にありませんが、まさに熱中症の危険性があるぐらいの筋温になります。
当然ですが、そのような状態では高いパフォーマンスを発揮することはできません。
気温が高いと筋温も高くなり、運動継続時間が短くなっていることがわかります。一方で、気温が低い場合が、一番、運動継続時間が長くなります。
冬場は気温が低いため筋温も低下しています。
この写真のように、カラダを縮こませるようにする仕草・動作はまさに筋温が低い状態です。
筋温が低いと筋肉や関節の動きが悪くなり、本来持っている柔軟性を発揮できません。このような状態で急に運動を始めると、パフォーマンスの低下だけでなく筋肉や関節のケガのリスクが高まります。
特に肉ばなれや筋・腱のケガには注意が必要です。ケガを予防するためにも、ウォーミングアップで筋温をしっかりと上昇させることが大切です。
それでは、「春先」はどうでしょうか。
春先の気温は、最高気温が20度以上になる日も多くなり、日中ではとても過ごしやすいと思いますが、朝晩は寒い日もありますし、日によっては最高気温も低い場合もあります。
それでも冬場の気温と比較すると暖かいので、脳と筋肉の間で勘違いしてしまい、ウォーミングアップが十分でないと柔軟性が確保できなく筋肉・腱のケガにつながってしまうこともあります。
次に「ウォーミングアップの目的・効果」について確認していきます。
ウォーミングアップの目的・効果
主にこの2つの目的でウォーミングアップを行います。
効果としてはカラダを動かすことで血液循環がよくなり、それに伴って筋温も温まります。
また、筋温が温まると筋肉の粘性が改善され筋力発揮がスムーズになったり、関節可動域が広がります。
神経系に刺激を入れることで反応時間が良くなったり、身体を素早く、滑らかに動かすなど効率の良い動きを引き出すことができるようにもなります。
筋温が上昇した状態からストレッチを行うことで、より効果的に柔軟性を高めることができるため外傷・障害の予防につながります。
ウォーミングアップの順序
1. 筋温を上げる
ジョギングなど軽運動を行い、筋温を上げていきます。
ウォーミングアップの時間と筋温、直腸温および作業(956kgm)
筋温を上げるには10~15分程度行う必要があります。
2. ストレッチ
体温・筋温が温まったら静的ストレッチで柔軟性を高めていきます。
反動をつけずに痛みを感じない程度のところで姿勢をキープし10~20秒ほど伸ばします。
反動をつけすぎたり、パートナーに押されすぎたりすると微細な筋肉が傷ついてしまうこともあります。伸ばしすぎないように注意しましょう。
次に動的ストレッチを行い、競技動作に関連した柔軟性を高めていきます。
代表例としてはラジオ体操やブラジル体操です。
メジャーリーグの投手前田健太選手が、登板前に行う”マエケン体操“も動的ストレッチです。柔軟性だけではなく筋肉の協調性を高めることができ、動作の切り替えをスムーズに行えます。
3. 競技特性にあったウォーミングアップ
高いパワーを発揮する必要のある競技では、レジスタンストレーニングで筋肉に刺激を与え、しっかりと筋力を発揮できるようにする必要があります。
また一般的な運動に専門的な動き(ダッシュやジャンプ、アジリティ系など)を加えながら、徐々に心拍数を上げていきます。
一度、競技レベルまで心拍数を上げることが大切です。
一気に上げようと強度の高いものをいきなり行うと身体に過度の負担がかかり疲労を残してしまうので注意が必要です。刺激に対して素早く反応するために、リアクション動作などで神経系にも刺激を与えることも大切です。
ウォーミングアップ例
スクワットやランジ、チューブトレーニングなどのレジスタントレーニング
↓
ランニングやアジリティ系、リアクション系のウォーミングアップ
徐々にスピードや強度を上げる
↓
ダッシュやバウンディングなど競技レベルでの強度、心拍数を上げる。
4. 競技のウォーミングアップ
最後に競技に直結した、技術的要素の高いウォーミングアップを行います。
などを最終段階に行います。
ウォーミングアップは、ウォーミングアップと切り離して考えるのではなくウォーミングアップと競技を繋げて考えるほうが効率的に行えます。
冬場、春先でも基本的に流れは一緒で、考えないといけないのは「気温」です。
繰り返しになりますが、気温が低いと筋温が上がりにくいので入念なウォーミングアップをオススメします。
気温が低い時のウォーミングアップのポイント
基本的なウォーミングアップの流れは同じですが、筋温が温まるまでの時間がかかるため全体の時間は長くなります。春先は、卒業、入学、進級など何かとバタバタしてしまう時期です。
活動時間が限られるためウォーミングアップの時間を削り、練習やトレーニングの時間を確保するチームも少なくはないと思います。
しかし、それではベストパフォーマンスを発揮できないだけでなく、ケガのリスクが高まります。
参考文献
公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト⑥予防とコンディショニング:日本スポーツ協会:文光堂
スポーツ指導者のためのコンディショニングの基礎知識:山本利春:大修館書店
競技者のための暑熱対策ガイドブック:国立スポーツ科学センター:弘報印刷
コラムを執筆してくださった「京都トレーニングセンター」のご紹介
京都トレーニングセンターとは・・・?
ジュニアアスリートの強化拠点として 2016 年7月に京都府立丹波自然運動公園内に開所された、京都府立の施設。
競技成績の向上、自己記録の更新。地区大会、全国大会、更には世界へ。
京都トレーニングセンターを利用される方やチームが、それぞれの目標を達成できるよう科学的トレーニング・サポートを行っています。科学的トレーニング・サポートを行うために、筋力測定や体組成測定やフィールドテスト等の各種測定を各個人、各チームのニーズあった測定項目をテーラーメイドにて実施。
各種測定後には、データ返却(データフィードバック)にも注力し、測定結果に基づいたトレーニングあるいは、今後のアプローチについて指導者及び選手と相談しながら実施しています。
また、最大300名の宿泊施設も有しており、京都府立丹波自然運動公園の有する各種スポーツ施設も利用し、スポーツ医科学サポートを利用しながらの合宿も可能な施設です。
詳細はHP(http://www.kyoto-tc.com/)を御覧ください。
2017年当時のCMはこちら
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