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2022.06.24

監督・トレーナー・選手、それぞれが余すことなく連携し、強豪校の仲間入りを果たしたチームを支えたAtletaの活用方法とは(後編)

【活用事例】#35 ボート 立教大学

目次

立教大学ボート部の躍進を支えるトレーナーのお二人に普段のお取り組み内容について伺ってまいりました。
「数年前まで選手だったからこそ、選手の気持ちがわかり、求めているサポートができる。」そんな立ち位置にいるチームスタッフとしての役割の重要性が垣間見えます。監督のインタビューからも絶大な信頼感が伝わってきます。
「みんなから愛される立教大学ボート部」の屋台骨を支えるお二人の仕事ぶりから学び取れるものも多いのではないでしょうか?それではインタビューをご覧ください。

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立教大学ボート部 前編
前半では、インカレ・全日本で8年連続決勝進出と、着実に強豪校への道のりを歩む立教大学ボート部の監督へお話をお伺いしました。
複数年連続で決勝進出という素晴らしい成績を収め始めてもなお、チームに足りない何かを補うための一つとして監督が導入したのがAtletaでした。
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学生トレーナーの業務について

まずは、学生トレーナーのみなさんの仕事内容を教えてください。

『ケガの予防』と『リハビリ』という2つが主な仕事になります。練習後のマッサージをしたり、リハビリが必要な選手と一緒に復帰目標を考えて、それに向けたメニューの計画を立てて、時には一緒に練習に入ったりもしています。他に練習サポートの仕事も多数あります。
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練習のサポートとはどんなことをするのですか?

トレーナーの中に1名船舶免許を持っている人がいるんですけど、荒川で練習する際は彼がモーターボートを運転して選手と並走しながら、マネージャーがビデオ撮影したり、そのボートにコーチも乗って選手へ指導してもらったりしています。

また、うちは未経験からボートを始める選手が多くの割合を占めるので、入部してから全体練習に合流するまで、基礎練習期間を設けています。そこで基本的な身体の動かし方や体力向上のトレーニングをトレーナーがサポートしています。
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普段のトレーナー業務もある中で、1年生のサポートもするとなると、新入生が入る期間はとても大変ですね。

1年の中で一番忙しいかも知れないです。
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新入部員の割合として、勧誘期間にボート部の存在を知って入部希望する人と、もともと立教ボート部の存在を知った上で入部希望する人、どちらが多いですか。

去年はInstagramとかYouTubeをきっかけに入部を希望してくれた選手が何名かいました。でもほとんどは勧誘期間に初めて知ってもらって、チームの雰囲気とか目指している目標に惹かれて入ってきてくれる選手が多いです。
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トレーナーになったきっかけ

そもそもトレーナーになったきっかけを教えてください。

高校時代は選手としてボートをやっていたんですが、高校2年の時に腰をケガして、競技を続けるのが難しくなってしまったんです。だから最初は大学進学してもボート部に入る気はなかったんです。

でも、せっかくボート部あるならと思い見に行ったら、チームの雰囲気がとても良くて、先輩も素敵な方ばかりで、このチームのために自分の経験を活かせるのなら力になりたいなと思い入部を決めました。
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最初からトレーナーとして入部されたのですか。

最初はマネージャーとして入部予定だったんですけど、当時在籍していた先輩から「トレーナー作りたいんだけど一緒にやらない?」と誘っていただいて、0から1を作るのがすごく面白そうだと感じたんです。また、マネージャーだと自分の選手時代の経験を活かしきれないかもと感じたのですが、トレーナーだと選手に直接関わって自分の経験を活かせると感じたので、トレーナーとして入部しました。
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力になれる役割がトレーナーだったということですね。考え方が大人でとても素晴らしいですね。では松島トレーナーもお願いします。

僕は3年の秋ごろまでは選手だったんですけども、大学2年生の夏過ぎにくらいに以前から患っていた腰のケガが再発したのと、さらに別のケガも併発したことで、競技を続けるのは難しくなったんです。なので、大学2年の時はずっとリハビリをしていたのですが、当時は全くリハビリ知識がなくて、文献だったりネットの情報だった人づてに聞いたりもしましたが、知識を得るためにかなり時間がかかったんです。
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いざ自分がリハビリする立場にならないと入ってこない知識ですもんね。

これをもっとサポートしてもらいやすいシステムがあれば、選手もリハビリしやすくなるのかなと当時思いました。そんな経験があったので、ケア面が主な対応である従来のトレーナーとは異なる、リハビリを専門としたトレーナーになりたいなと思い、今の役割になりました。
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ご自身のリハビリを効率的にできなかった経験が今に繋がったんですね。

リハビリ中ってどうしても知っている動きのトレーニングしかできないんですよ。だから、新しい動きのトレーニングを知るだけでもかなりリハビリの質が良くなるんです。
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『Atleta』の活用について

ここからは『Atleta』の管理について伺いたいのですが、普段どのような項目をチェックしているのでしょうか。

主に見ているのは『身体の気になる部位』と『睡眠時間』、『コメント』です。
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『身体の気になる部位』の痛みの程度の入力について、チーム内ではどのようなルールを設けていますか。

外部から来てくださっている鍼灸師の方とお話して痛み入力ルールを定義して運用しています。
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また、選手のマッサージをする予約表を作っているのですが、そこに『Atleta』と同じ基準で痛みの部位と程度を記入してもらっています。それを1週間分まとめて、他の情報と一緒に監督とコーチにお渡しいています。
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マッサージは1日何人くらい施術を行っていますか。

15分×7枠を設けていて、だいたい毎日埋まりますね。
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立教大学ボート部のYoutubeはこちらから

コメントのやり取りについて

コメントについてはどのような活用をされていますか。

コメントの内容は選手各自に任せていて、練習中に気になった技術面のことを書いている選手もいれば、トレーニング内容や身体の気になることを書いている選手もいます。あとは日記のようにその日あったことを書いている選手もいますね。
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コメントを使ったコミュニケーションは上手くできていますか。

僕はもともと3年まで選手をやっていて、そこからトレーナーに転向させてもらっているのですが、選手時代と比べると、練習中にやり取りができないので、選手一人ひとりとコミュニケーションを取る機会が減ったんです。その分を『Atleta』を使って補えている感じはあります。
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『Atleta』のコメントにトレーナーから返信していると思いますが、それに対して選手からのリアクションはありますか。

『Atleta』上での返信は来ないですが、次の日に前日のコメントのやり取りついて直接話したりしています。
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トレーナーのみなさんから『Atleta』の入力を選手に促してくださっていると思うのですが、どんな感じで選手たちに伝えていますか。

僕が毎日確認しているのは『睡眠時間』と『身体の気になる部位』『体重』『コメント』の4項目で、コメントは全員に返信しているのですが、中にはどうしても入力してくれない選手もいたりして。なので、未入力が数日続いた場合は個別に話しかけたり、あとは『Atleta』のコメントに「入力してー」と送ったりしていますね。
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『Atleta』のチェックや返信はトレーナーの中で担当があるのでしょうか。

担当はないですが、自然と私たち2人がやっているって感じです。
あとは女子部と男子部それぞれの主将と副主将は全体を閲覧ようになっているので、彼らにも各項目をチェックしてもらったり、コメントを返してもらったり、時には入力を促してもらったりしています。
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コンディション項目について

コンディション項目はどのような基準で設定されていますか。

『Atleta』を使い始めた頃は結構細かく項目を用意していました。『起床時の心拍数』や『ウエイトトレーニング何kg上げた』とか。ただ、それを入れてもそのデータを活用する人がいなかったり、そもそも入力率が上がらなかったりしたので、まずは何より入力してもらうことを第一に考えて、できるだけシンプルに、でも知りたい情報はしっかり抑えるような形で項目をかなり絞った結果今の状態です。
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ちなみに『クールダウン』という項目を細かく設定されているようですが、これは重要視されている部分なのでしょうか。

そうですね。ケガの予防という部分で、練習直後のクールダウンとか日常のストレッチの時間はどれだけ忙しくてもしっかりとって欲しいと思っているので、そこは継続して入力してもらっています。
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この項目の入力率はいかがですか。

高いと思います。実はこの項目も昔は入力率悪かったのですが、以前『練習』の部分と『食事』の部分とストレッチ・睡眠といった『ケア』の部分、この3つにフォーカスして1週間振り返ってもらう取り組みを全員でやったことがありまして、その際にストレッチと睡眠時間を『Atleta』で確認して、自分がどれだけケアに時間を取れているかを先程監督がお話されていたPDCAシートに数字で記入するというルールを設けたんです。その時からかなり入力率が上がりましたし、選手たちもこの数字の重要性に気づいてくれたと思います。
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『練習・食事・ケア』の3つの要素はどのように決まったのでしょうか。

ケガの予防、パフォーマンスの向上という部分で大事になってくる要素で、特に食事、睡眠、ストレッチは身体作りとケガ予防に直結すると思うのでそこに絞りました。
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理想の睡眠時間の基準はありますか。

学校が休みの期間は夜の睡眠時間とお昼寝時間をトータルして8時間以上としています。ただ、学校が始まると朝練があったりもするので今はトータル7時間以上としています。その睡眠時間が取れていない選手には声をかけるようにしています。
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今は学生トレーナーが5人だからできているけど、去年の人数少なかった時なんて声かけするトレーナー自身の睡眠時間が3時間とかで、トレーナーのほうが少なくて。(笑)でもそれだけやってくれていたってことですね。
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当時はかなり周りからも心配されたので、『もっと自分も大事にしないとな』と感じました。
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自分を削ってまで選手のサポートに力を注がれていたのですね。朝練があると、選手よりも先に準備等もありますよね。

睡眠時間が短かった時期は朝練習に合わせて朝4時から活動していましたね。更に夜のマッサージを、今は22時までなんですけど当時は23時まで対応していて。そこからお風呂入ってご飯食べてといった生活だったので…今はしっかり睡眠時間を取るようにしています。
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監督、コーチへの報告について

チームとしてリハビリメニューをまとめているのでしょうか。

専用のサイトを作っていて、そこに部位別でまとめているんですが、あまり選手に見てもらえていないのでもっと活用していけたらいいなと思っています。
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身体の気になる部位データを監督に報告する際に、過去のケガの情報も参考にその選手の傾向などのコメントを追記して報告されていると伺ったのですが、そういった報告内容も記録として残しているのでしょうか。

カルテを作っていて、マッサージをする際に施術した部位と数字、コメントを残すようにしています。例えば「右足の疲労度が高かった」とか「左の背中が硬かった」とか。そういうコメントを監督コーチへの報告前に振り返って、必要に応じて報告資料に追記しています
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コメントがまとまって1週間分情報が入ってくるのは、監督やコーチにとってすごくありがたいですよね。これもトレーナーが自発的に始められたのですか。

はい。先輩からの提案で、3年間続けています。
自分たちが把握しやすくなるからというのもありますし、監督やコーチとの繋がりにもなりますし。大事な仕事だと思い継続しています。
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チームが目指す有るべき姿

チームの今後の目標を監督と学生トレーナーからそれぞれお聞かせください。

チームの目標はインカレと全日本優勝。ただし、チームが常に目指している有るべき姿は『みんなから愛される立教大学ボート部』なので、そこを外さないような生活をして、その中で目標を達成できるようにすることですね。あとは「立教と言えばボート、ボートと言えば立教」と言われるようになりたいです。少し前まではそんなこと言っても無理だと言われたと思われますが、学生の努力、大学からの支援、OBOG会の支えもあり少しずつそこに近づけていると思うので、その目標に向かってこのチームがあり続けて欲しいです。
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そこにはかなり近づけているのではないですか。

今日お話を聞いてお分かりの通り、立教の良さは選手もトレーナーもマネージャーもコーチも、みんなそれぞれ自分の責任を自分のギリギリの中、ヘトヘトになるところまで追求してやっているところなんですよ。一般的には『選手が偉くて、あとはサポート』みたいな感じになってしまうと思うんですけど、立教ボート部はそこが違うんです。だから、トレーナーにはトレーナーのやりがいや魅力があるし、マネージャーにはマネージャーのやりがいや魅力もある、もちろん選手のやりがいや魅力もあるんです。それぞれがやるべきことを、責任を果たしてやっている。それが4年間を通して、社会人になる力になっていくのかなと思っています。最終的にみんなに立派な社会人になってもらうことが、僕個人の目標でもあるのかなと。本当みんな良くやっています。
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みんながそれぞれの役割に責任を持って頑張っていることは、今日のインタビューを通して本当に伝わりました。組織として素晴らしいチームだと感じますし、それがしっかり結果に反映されているのかなと思います。

その時その時大変なことをみんな真剣にやって今があるって感じですよね。みんなが目標に向かってその年その年で頑張って、その積み重ねをきちんと次の代に引き継いで、後輩たちはそれを守って次の代に…という連続ですよね。それが今は上手く回せているから、これをぶらさないことが大切です。インカレと全日本で8年連続決勝行っているので、これはずっと続けていきたいと思います。
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チーム全体で選手を見ている環境が整っているので、選手自身もサポートされている意識を持って、責任感ある活動ができているように思います。では続いて学生トレーナーのお二人の目標をお聞かせください。

ボート競技は故障が多い種目なので、どうしても重いケガをしてしまったり、それが原因で大会に出られなくなったりとか、計測会で結果を出せなかったりする選手が毎年数名出てしまうので、そういった選手を0にしていきたいです。
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故障や気になる部分といったアクシデントをプラスに変えられるチームにしたいと考えています。どうしてもケガはネガティブに見られると思うんですけど、逆に言えばできることが限られる中で、そこに上手く着目すれば強みに変えられると思いますし、ケガをしたからこそ今まで気にしていなかった身体のことや生活のこと考え直す中で成長もあると思います。その中で『Atleta』の活用を通して、リハビリをネガティブに考えず、優勝するために通らなければならない道なんだという形にできたらなと考えています。
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2人の目標が『ケガを予防する』面と『ケガしてしまっても、それをポジティブに考える』面という両面の目標になっていて、とても素晴らしいと思います。

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立教大学(りっきょうだいがく)ボート部
熊木 吉章 監督

<チームの情報>2022年6月現在

部員数:部員41名(男子:14名 女子:9名 トレーナー:5名 マネージャー:13名)
指導者数:監督1名 コーチ6名(コーチ3名 メディカルトレーナー2名 栄養士1名)

監督指導歴:
2001年~2005年:立教大学ボート部コーチ
2005年10月から監督に就任し17年目
資格:日本スポーツ協会公認コーチ3

Atleta導入時期:2018年3月

<チームの主な成績>
・インカレ優勝(男子フォア2002・2015・2020・2021)(女子ダブルスカル2019)
・全日本選手権優勝(男子フォア2016・2021)(女子エイト2019)
・インカレ、全日本選手権8年連続決勝

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立教大学ボート部 前編
前半では、インカレ・全日本で8年連続決勝進出と、着実に強豪校への道のりを歩む立教大学ボート部の監督へお話をお伺いしました。
複数年連続で決勝進出という素晴らしい成績を収め始めてもなお、チームに足りない何かを補うための一つとして監督が導入したのがAtletaでした。
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アスリートとしての意識と行動変化が必要だった。それには『Atleta』が最適だった。
立教大学体育会ボート部、監督・熊木 吉章氏

「勝ちを求めるより一人ひとりの人間としての成長」を大切に…!
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自分の体のことを知って行動に移すことが真の目的
立教大学体育会ボート部左から西堂元喜さん(3年生:学生トレーナー)、角谷真緒さん(4年生:前女子部主将)、滝島俊一さん(4年生:前主将)

入力し続けることで『Atleta(アトレータ)』の真の目的や、自分にとっての価値が分かる!
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