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大阪体育大学 女子ハンドボール部

無類の強さを誇る大阪体育大学女子ハンドボール部のチーム作りの秘訣とは(大体大・ハンド)

大阪体育大学 女子ハンドボール部/楠本 繁生氏

<チームの情報>2022年10月現在
部員数:47名
指導者数:6名(監督、部長、コーチ2名、トレーナー、アドバイザー)
Atleta導入時期:2019年2月

<チームの主な成績>
全日本学生ハンドボール選手権大会:タイトル獲得 9回 (2011年・2013年・2014年・2015年・2016年・2017年・2018年・2019年・2021年)

自己申告するツールとして『Atleta』を活用


Q:『Atleta』導入のきっかけを教えてください。
└自己申告をきちんとしよう、ということで『Atleta』を始めました。特に当落線上にいる選手が、大事な大会が近いタイミングなどになかなか練習を休みにくかったり、痛みがあっても無理をしてしまう、ということをできるだけ避けたいなあと思っていました。見るからにどこか痛そうな選手であっても、聞くと「いや、大丈夫です。」と答えてしまいます。競技できる期間が限られた学生が、ケガなどの要因でコートを離れる時間を極力少なくし、目の前の大会で少しでも積み上げてきたものを発揮するためにも、選手のコンディションをきちんと把握して最善の対処をしたいと考えています。『Atleta』はケガの予防・早期発見・早期治療という観点をチームにもたらしていて、大きなケガに至る前に先手が打てたケースは何回もあります。

Q:『Atleta』が選手に定着しているのも大きいですね。
└最初定着するまで、忘れることもよくありました。そうした場合に目的に改めて立ち返ることもそうですが、チームとしての決まり事を守るという社会に出ても必ず必要になることを肌で感じてもらうためにも、『Atleta』の入力を忘れた日は練習に参加させない時期もありました。ただ、「1回言ったからあとはやらないやつがアカン」と突き放すのではなく、顔を合わせるたびに『Atleta』に関する会話をするなどして選手と並走して定着させていきましたね。

Q:普段どのように選手とコミュニケーションをとっていますか?
└例年1月~3月が大会もなく充電期間になります。この期間に面談をするなどして選手と話す場を積極的に設けるようにしていて、進路の話をしたり、わからないこと・悩むことをそのままにしないよう選手には伝えています。また、『Atleta』ではコンディションについて報告してくれるので、異変を感じたらすぐに連絡して状況を確認しています。選手は「チェックされている」という意識になっていてそれがチームにプラスに働いています。

個々の課題や目標設定を明確にしたうえでチームとしての方向性を一致させていく


Q:現在のチーム状況について教えてください。
└2021年のチームが4年生を中心とした頑張りでインカレ8連覇を達成、年明けの日本選手権では日本リーグ2チームを下してのベスト4という結果でした。私が代表活動であまり帯同できないことも多い中、選手たちが試行錯誤しながら頑張ってくれています。具体的な取り組みとしては私が練習を見れないときでも練習の映像を送ってもらってコメントするなどしています。コロナ禍を経てオンラインのあらゆるツールを使ったやり方が浸透しています。

Q:チームとしてまとまっての活動が少なくても結果が出てる要因はどのように分析されていますか?
└どういうチーム作りをしたい、どういうハンドボールをしたいという大元の幹となる部分を常に提示しています。その枝葉の部分に、それぞれ個の力をどう融合させていくかが大事だと思っています。メンバーが抜けるとはいっても部員は50人くらいいて練習は問題なく実施できます。練習では個々の課題や目標設定を明確にしたうえでチームとしての方向性を一致させていくというスタイルを大事にしています。入学の時点で目標を持ってきてくれる学生が多いので、それを4年間でどう大成させるかというビジョンをもって活動していることがチーム力になっていると思っています。

Q:チームはどのような変遷を経て今に至ったのでしょうか?
└着任時から「インカレ優勝」を目標に掲げ、当時優勝になかなか手が届かなかったチームを一度リセットし、「すべてを変革する」というスタンスでスタートしました。それまでのやり方では優勝という目標に届かないことは明らかだったのでかなり劇的に全てを変革しました。いわゆる体育会的な厳しさがあり、それが機能していた半面、行き過ぎた上下関係がコートの外にも及んでいる様子を目にしました。そこで選手たちの本音に迫り、時には厳しく、時には諭しながら関係性を築き、私自身も自己開示しながら、思い描くチームのビジョンや選手に期待することなどを根気強く伝えていきました。

人は皆1日24時間「平等」に与えられるが、結果は常に「不平等」。


Q:前回選手たちと打合せした際、データを見て活用している選手が多い印象を受けました。
└大学の強化指定クラブとしてサポートを受けていることの意味を選手には理解してほしいと思っています。特別なサポートを受ける者として背負う物は大きく、与えられる物はフルに活用してほしいと常々話しています。『Atleta』に関してもただ入力して終わりではなく、そこに蓄積したデータをもとに自分自身にどう意味のあるフィードバックを得ていくことでフル活用していると言えると思います。

Q:トップ選手を目指す高校生に対してアドバイスをお願いします。
└どうしても目先の結果に目を奪われがちですが、トレーニングでも身体づくりでも1週間や10日では目に見える成果にはつながらず、時間がかかります。前ばかり見てしまいがちですが、時にしっかりと後ろを確認して、毎日の積み重ねを大切にしていってほしいですね。またトレーニングの時間は1日多くて数時間、残りの時間の使い方を大事にしてほしいという話もよく選手にしています。1日24時間は全員に平等に与えられていますが、結果は常に不平等。この現実をどう受け止めて行動していくかが大切だと思います。

Q:最後に今後の目指す姿を教えてください。
└選手たちには周囲からの期待をやりがいや輝きに繋げていって、それを今後の長い人生の糧にしていってほしいなと思っています。私個人としては、地に足をつけ、今までと変わらず選手に寄り添って学ばせてもらいながら、過去がよかった、ではなく現在進行形でチャレンジしていきたいと思っています。