茨城県立水戸商業高等学校 サッカー部
強豪校と戦えるチームになるために(水戸商業・サッカー)
茨城県立水戸商業高等学校サッカー部、監督・佐藤 誠一郎氏
<チームの情報>2019年7月現在
主な成績:
2017年度 茨城県高校サッカー新人大会:準優勝
2018年度 第97回全国高校サッカー選手権大会茨城県予選会 :ベスト8
2019年度 関東高校サッカー茨城予選:優勝
2019年度 【インターハイ予選】 高校総体サッカー競技 茨城県予選会:優勝
部員数:選手66名、マネージャー1名
指導者数:監督1名、常任コーチ2名、非常任コーチ4名
Atleta導入時期:2017年4月
指導歴:2011年4月水戸商業高等学校赴任、2012年4月よりサッカー部監督就任(JFA公認A級ライセンス保有)
水戸商業高校サッカー部で求められるのは“熱さ”と“主体性” !
Q:選手を指導する上で大切にしていることを教えてください
└一番は、選手が主体性を持ってトレーニングをできるようになることですね。それを可能にするための環境の整備、そしてトレーニングに伴う課題の克服や、良いトレーニングにするために主体性を引き出すことが監督の役割だと思っています。気持ちの面では、熱さを求めますね。「自分たちのチームを自分たちが作っているんだ」という意識を持たせることを重要視しています。
チーム作りにおいて、直接一人ひとりの選手と話すことはあまりないですが、昨年頃からトレーニング内容や選手起用についてはキャプテンと話し合う時間を作るようにしています。ゲーム分析のために編集したビデオを見ながら、「ここはこうした方が良い」というような具体的な話をしています。その話し合いの中で、キャプテン側からも「ここはこうしたい」「こういった選手を使って欲しい」というような意見をもらっています。
選手には「守備だったらこう」「攻撃だったらこう」というような明確なビジョンを持って、それをたとえ失敗したとしても継続していくことを常に伝えています。
Q:8年ぶり、23回目のインターハイ出場おめでとうございます!出場を決めた要因は何でしょうか?
└インターハイも関東大会(2019年5月に関東高校サッカー茨城予選でも水戸商は優勝を果たしている)も、守備の厚さはひとつポイントでした。関東大会では失点0、インターハイでは失点1と、結果的に守備が安定したことが、どの試合も接戦に持ち込み最後の最後にゲームを決める得点を取る劇的な場面を生み出したのだと思います。特にインターハイを決めた決勝の試合では、相手のシュート数が15本、対してこちらは5本だったのですが、選手たちが必死で守り、猛攻をしのいでチャンスをつかんだことで勝利を収めることができました。
私立の強豪校に負けない体づくりを目指して…!
Q:『Atleta(アトレータ)』導入のきっかけを教えてください
└まずは「選手たちの体をつくりたい」という思いがありました。以前は紙ベース(プリント)で、不定期でしたが体重を計測し推移を記録させていましたが、一向に成果が上がりませんでした。だからこそ、もっと成果が期待できる方法はないかと探していたところ、アプリを使って体重や体調の管理ができる『Atleta』を知り、そこに魅力を感じて導入に至りました。
例えば私立の選手たちは、環境も整っていて、栄養管理もきっちりされていることもあり、もう見た目から体も大きく強いです。そういった選手たちをそろえた強豪校と戦えるチームになるためには、絶対に資本である体を作ること、体重を増やすことが第一歩だと考えました。また、「記録をつける」という行為が成果を上げるために有効だということはダイエットなどでも言われているため以前から知識としてあり、体重が増えていく様子をグラフなどで簡単に見える化できるアプリが適切なツールだと確信しました。
デジタルツールを活用してコンディションを管理することに関しては、私自身は苦手分野ではありましたが、選手や若いコーチ陣は簡単にできるので、取り入れることには何の抵抗もありませんでした。指導者は土日のみ来て下さる方も合わせて計7名の体制をとっていて、コーチたちも選手が入力したデータを見た上でアドバイスをくれるのでとても頼もしいですね。
Q:部としての『Atleta』の活用法や、導入後の変化を教えてください。
└『Atleta』で最も活用しているのは、やはり「体重」の項目ですね。選手ごとに目標体重を設定しているので、そこに向かってどのような食事やトレーニングを行えば良いか各自で考えています。
また、「連絡ボード」もよく活用しています。急な練習場所の変更などの連絡もほぼ『Atleta』で行っていますし、業務連絡だけではなく、分析用に記録している自分たちの試合動画を編集して連絡ボードに貼り付けることも多いです。
こちらからメッセージや動画を送ると、選手が読んだかどうか「既読」機能でわかるので、どのような内容であれば選手は反応するのか、また選手によって何に興味があるのかなどがわかります。
このようなコミュニケーションを通して、言葉では伝えきれていなかった指導者側の声なども選手に届けられるようになっていると感じています。それまでは自分たちのプレーの動画を共有するというような動きはチーム内でもありませんでしたが、『Atleta』のようなツールに出会って手軽に情報を共有できる環境になったことで、選手の意識も変わってきたと思います。
ただ、冒頭で述べた“主体性を持ったチーム”としてはまだまだだとは思います。彼らがこれまで育ってきた中学校の部活動やクラブチームなどでは、「指導されること」が当たり前の環境だったため、選手は指示を受けることに慣れていて、高校生になったからといって急に「主体的に」と言われても難しい部分があると思います。ただ、大学生になると「分析班」「健康管理班」「トレーニング班」などに分かれて自分たちでチームを作っていくことも少なくないので、高校生の頃からそのような主体的な動きを身につけることは価値があると思っています。実際に、このチーム内にも分析の能力が高い選手もおり、左右どちらサイドの攻撃が多いかや、チームの弱点などを助言してくれることもあります。そういった意味でも主体性を持ったチームというのは理想ですし、高校生だからと言ってできないことはないと感じています。大事なのは「やらされている」のではなく、自分たちで考えて判断した上で実行すること。それが成長につながるのだと思います。
体づくりをサポートする補食も実行!全員を目標体重へ近づけ、全国の舞台へ。
Q:部としての独自の取り組みなどはありますか?
└補食を始めました。チーム内で「やってみようか」という話になり、水・木・金と曜日を決めて各選手が1~1.5Lのタッパーにご飯をつめて持参し、校内で用意したカレーをかけて食べる取り組みなどを定期的に行っています。それも体づくりに影響しているのではないか、と個人的には思っています。
このような取り組みも行った上で体重を記録することを指導すると、ほぼ全員の体重が右肩上がりに推移し、目標体重に近づいてきている実績があります。
Q:今後の指導者と選手の理想的な関係性について、どう考えていますか?
└色々な報道を受け、ハラスメントや暴力がだめなことは指導者側も皆わかっていると思います。ただ、部活動の指導者である以上、私が言うことをやめてしまうとそれは教育にはならないと考えています。人として良くないことは止めますし、最後は人間力が大切になるということはいつも伝えていて、伝えれば高校生の選手たちもわかってくれます。逆に納得していないときはその時の表情や態度でこちらもわかるので、その後のコミュニケーションもとることができます。学校では生徒を叱ってくれる先生は少なくなってきていると感じますが、大人として彼らに発言する人間は必要だと思います。私は形だけの指導ではなく、選手たちにいい人間、いい男になって欲しいと本心から思っているので、一方的ではなく、例えば試合に勝って今回のように優勝できたときにはこちらから感謝を伝えることも忘れないようにしています。その気持ちを持ってこれからも指導にあたりますし、そうすれば選手にも伝わると信じています。
キャプテン・大槻海偉選手インタビュー【コンディショニングは“当たり前”】はこちら!
http://www.climbfactory.com/result/case/3171/