ソーニョFC掛川
思考力を鍛えるための言語化する習慣でコミュニケーションの質向上(ソーニョFC掛川・サッカー)
ソーニョFC掛川/久道 翔太 氏
<チームの情報>2020年5月現在
選手数:62名
指導者数:7名
Atleta導入時期:2017年12月
<主な成績>
高円宮杯U-15リーグ静岡2019 3部リーグ準優勝(2部リーグ昇格)
パロマカップ 2019年度第27回日本クラブユース選手権(U-15)大会 静岡県予選 決勝トーナメント進出
JFA第25回全日本U-15フットサル選手権大会 東海大会出場
<保有ライセンス>
JFA公認B級ライセンス
中学校・高等学校教諭一種免許(保健体育)
『Atleta』はコミュニケーションの質を上げてくれるツール!中学生からスマホアプリを触らせることで学べるルールも導入の決め手。
Q:『Atleta(アトレータ)』導入のきっかけを教えてください
└私は大学時代にスポーツ心理学を学んだ経験があったため、クラブの指導者になった当初から練習の振り返りの重要性は強く意識し、選手たちにはサッカーノートを利用して振り返りをさせていました。ただ、サッカーノートはリアルタイム性がなく、また管理も大変な点で不便さを感じており、そのようなときに知り合いの『Atleta』の紹介を受けサービスを知りました。導入してみて最初に実感したのは、コミュニケーションの質の向上です。ノートよりアプリの方が選手はリラックスして入力ができ、会話に近い感覚でコミュニケーションが取れるため、選手も指導者もストレスなく毎日やり取りできるようになり、コミュニケーションの内容自体が変わってきました。何よりリアルタイムでやり取りできる点が良いですね。
Q:ソーニョFCさんは主に中学生世代の選手の育成をされていますが、そんな世代にスマートフォンアプリを使ったコンディション管理をするという観点についていかがお考えですか。
└スマートフォンを持つかどうかの判断は中学生が分岐点だと考えており、保護者視点でも「もう持たせるべき」なのか「まだ早い」かを迷うタイミングだと思います。クラブとしても、このタイミングでアプリの活用へ舵を切るのか、それとも「本業は学生だからまだ早い」と言い切り利用を抑制するかを考えた時、前者で進める方が早い段階からスマートフォンの使い方やSNSのマナー、情報リテラシーを教えてあげることができると考えました。いずれ必要になることは間違いないですからね。
Q:『Atleta』導入に伴う選手や保護者の反応はいかがですか。
└『Atleta』の利用に関しては、毎年4〜5月に「何故使うのか」「そこに伴うリスクは何か」といったメリットとデメリットを伝える場を必ず設けており、皆さんからの理解を得ています。スマートフォンの利用もそうですが、「大人はいいれけど子どもはダメ」という考え方に私は矛盾を感じています。ただし絶対条件として、「人に迷惑を掛けない」ということは守らせています。ルールを守ることはサッカーにも繋がっていくため、ルールの中で責任を持ってやりなさいということをしっかり伝えています。
『Atleta』導入によって練習量が減った?!身体能力だけでなく思考力もアプリで向上!
Q:『Atleta』の具体的な活用方法を教えてください。
└コンディション管理機能では、基本的な項目を毎日記録しています。なかでも選手のケガには気をつけているため、一番注視するのは「身体の気になる部位」です。また、最近私が気にしているのは「睡眠」関連の項目です。「睡眠時間」だけでなく、「就寝時間」や「起床時間」などを通じて生活リズムが見えてきます。生活リズムが崩れるとクラブ活動にも影響してくるため、『Atleta』を利用することで重要性を再認識できました。22時から2時の間は成長ホルモンが出る睡眠のゴールデンタイムと呼ばれているため、クラブの取り決めとして22:30以降は『Atleta』の記録を原則禁止にしています。本当は22時以降は禁止にしたいのですが、平日の練習終了時刻から考え、30分延ばしています。(利用イメージ)
また、とにかく記録することを習慣化させたいと思っています。社会に出た時にホウレンソウ(報告・連絡・相談)が大切だとよく言いますが、『Atleta』の活用はこのようなことも学べる良い経験だと思います。
Q:『Atleta』を使用して変わったことはありますか
└実は『Atleta』を導入してから練習量が減りました。クラブ創設当初はとにかく練習量をこなさないといけないと考えていたのですが、『Atleta』導入後はコンディションの重要性が分かってきて、ケガの予防のためにもやりすぎは良くないということ実感しましたし、またグラウンド以外でもやれることはあるということに気づけました。例えば、「オンライン課題」という名目で指導者が動画や記事を共有し、それに対する選手自身の考えを300文字程度で表現する練習をさせています。中学生の年代だと、早くから芽を出すタイプというのは、脚が速いとか背が高いなどの、身体能力が優れていて感覚に頼って上達していく選手が多いのですが、身体能力というのは時間が経てば周りに追いつかれるもののため、同時に思考力も付けていかなければいけません。自分で考える力を身につけないと将来的な成長は厳しくなることを考慮して、身体だけでなく頭も動かすために、文章を書かせることや選手自ら発信させることを意識的に促しています。『Atleta』を導入したことで一番身についてきたのはその部分だと実感しています。
目指すのは『考えることを止めない』選手の育成
Q:選手を指導する上で大切にしていることを教えてください
└クラブの方針として個人の技術向上へ意識的に取り組んでおり、そのための技術向上ガイドラインを8年かけて築いてきました。このガイドラインに沿った指導を心がけていたことにより、今回のコロナ禍といった非常時でも選手たちへ的確な課題を課すことができ、個々で練習を進めてもらいながら、その成果を『Atleta』を通してスタッフ間で共有し合う形を継続できました。そのような面でも、コロナ禍において『Atleta』を導入していて一番良かったと感じたのは、選手とのコミュニケーションが止まらなかったことです。指導者からの課題へ選手が取り組み、結果を指導者が確認して適切にフィードバックする、という流れをアプリの存在によって維持できていたことで、選手たちのモチベーション維持に繋がりました。
Q:今後の目標を教えてください
└高校生の年代へ進んだ時に花を咲かせられるような選手を育成したいです。「掛川から世界へ」を合言葉に、プロサッカー選手を輩出したいですね。
選手たちによくする話でいうと、試合終了間際に0-1で負けている時、ほとんどの選手は「勝ちたい」と思っていますが、「では勝つために何が必要か考えられるか?」と聞いた時に答えられる選手は少ないです。しかし必要なのは「苦しい時に何ができるかを考えられるか」です。私の知り合いのフットサル指導者の言葉に、「諦めることは考えることを止めることだ」というものがあり、うまくいっていない時こそ慌てるのではなく考え続けることが最も大切だということを表していると思います。サッカーにおいて、気合いや根性はもちろん大事ですが、それよりもまず考えることを止めない、そのような選手をこれからも育てていきたいです。