酒田南高等学校駅伝競走部
高い入力率を維持する、駅伝強豪校のデータ管理手法とは?(酒田南・駅伝)
酒田南高等学校駅伝競走部/阿部 亮 氏
<チームの情報>2021年12月
選手数:21名
指導者数:顧問1名、外部コーチ1名
Atleta導入時期:2019年5月
<主な成績>
【2021年度】
山形県高等学校駅伝競走大会:男子3位、女子2位
山形県高等学校総合体育大会 陸上競技大会:男子3000mSC優勝、女子3000m優勝
山形県高等学校新人体育大会 陸上競技大会:男子3000mSC優勝、女子2000mSC2位
山形県陸上競技選手権大会・国民体育大会陸上競技山形県予選会:国体予選少年女子B800m 2位、県選手権男子 3000mSC決勝 2位
【2020年度】
山形県高等学校駅伝競走大会:男子3位、女子2位
東北新人戦:男子3000mSC 第2位
選手がいつでも記録できることは大きなメリット!
Q:『Atleta』導入の経緯から聞かせてください。
└導入前は選手たちに手作りの冊子を作って運用していました。記録する項目は起床時刻、就寝時刻、練習内容、走行距離、食事…といった内容で、まさに今『Atleta』で記録している項目と全く同じです。一緒に合宿をしていた仙台育英さんが『Atleta』を使われていて、どのように使っているかを教えていただきました。実際に画面を拝見した時に、『これを導入したらかなり便利になるな』と感じました。と言うのも、冊子にはひとりひとりにコメントを手書きで返していたのですが、結構時間がかかっていました。選手がいつでも記録できることは大きなメリットだと感じました。『Atleta』とは別に選手たちの練習内容や走行距離を記録しているExcelファイルを運用していて、『Atleta』に選手から登録される内容と、私が管理しているファイルの記録内容に差がないか照合しています。走行距離の記録に関してこだわっている部分があるので、その管理は徹底しています。また日頃の練習結果については「誰がどんな練習をしてタイムは◯◯でした」というのは、全員分を部全体に共有するようにしています。
Q:全体にタイムを共有するというのはどういった狙いがあるのでしょうか。
└まずは確認ですね。「この練習してこのタイムで走っていたけど間違いないよね?」という意味合い。あとは選手間で意識させることですね。『あいつこんなタイムで走ったんだ』といったことを意識させることで、向上心を刺激するきっかけになればと思っています。
駅伝は特に数字の世界、データで指導に根拠を持たせられる
Q:『Atleta』の記録で阿部先生が特に注視されるポイントがあれば教えてください。
└走行距離、摂取カロリー、コメントの質。一番は何より距離ですね。その日何km走ったか、月に何km走ったか、その累積の把握は何より重要ですね。それと食事のカロリーです。練習量に対してちゃんとカロリーを摂れているか、逆に試合前で練習量を落としているにも関わらず食べ過ぎていないか。
選手のコメントの量はその日の感情によって変わってくるとは思います。そこの違いは気にします。練習内容と反省の部分に関してはきっちり返信するよう心がけています。日中思い浮かんだことをスマホにメモしているんです。それを夜に『Atleta』で返している感じですね。
Q:先生からのリアクションが選手たちの記録へのモチベーションにも繋がっていると感じますか?
└選手たちのデータを記録し続けていることも、駅伝は特に数字の世界で、選手に説明する時もデータを見せることで根拠を持った指導ができますよね。データ記録がない、いきあたりばったりの状態では指導できませんから、そこはきっちりやり続けようと決めています。
痛みの傾向が分かるとコミュニケーションがしやすくなる
Q:『Atleta』をきっかけに選手とのコミュニケーションが生まれたといったエピソードがあれば教えてください。
└故障に関してなのですが、コンディション項目に『身体の気になる部分』の報告で痛みの部位と度合いを記録できますが、度合いは低いけれど長期間痛みが続いている選手がいたりすると気になって声をかけたりしますね。この項目を記録しておくことで、実際に痛みが酷くなって治療した際に、この痛みがいつ頃から出ていたのかの傾向を『Atleta』から振り返られるので、コミュニケーションしやすくなっています。
真面目に継続していくことがその後の結果に繋がる
Q:男女両選手を指導する上で心がけていることなどあれば教えてください。
└もちろん練習内容は異なりますがそれ以外は男女区別なく同じくくりで指導しています。女子選手だと月経は気にする必要がありますが、それも『Atleta』で記録してもらうことでお互い暗黙の了解ができるので、『Atleta』にはとても助かっています。指導する上で心がけていることとしては、競技力はもちろんですが競技以前のこと、例えば挨拶とか身なりとか、その中に『Atleta』の日々の入力も含みますが、そういった部のルールを遵守することさえやってくれれば、足が速い遅いは関係ないと伝えています。真面目に取り組んでさえくれれば最後まで面倒見るよという考え方です。
Q:最後にチームの今後の目標を教えてください。
└当然チームとしては都大路(全国高校駅伝)に行くことを目標としてやっているのですが、男子は2016年から行けていないので、もう一度全国に行けるチームを作りたいです。女子に関しても先日のようなレースができるようになってきたので、そろそろ初出場できると思っています。酒田という地域は県庁所在地の山形市から2時間ほどかかる田舎なのでどうしても選手を集めるのが大変なのですが、練習環境はどこにも負けていないと思うので、そこから全国に行けるチームを作って活躍したいです。