大分東明高等学校 ラグビー部
選手育成とケガ管理で頂点へ、九州制覇の舞台裏に迫る(大分東明・ラグビー)
大分東明高等学校 ラグビー部/白田 誠明氏
<チームの情報>2024年8月現在
選手数:65名
指導者数:6名(監督、コーチ:3名、S&Cコーチ/トレーナー:1名、スポーツ栄養士:1名)
Atleta導入時期:2022年1月
<チームの主な成績>
2024年度:
第11回全国高校7人制ラグビー大会 準優勝
第77回全九州高校ラグビー大会 優勝
第72回大分県高等学校総合体育大会 優勝
2023年度:
第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会 3回戦
第103回全国高校ラグビー大分県予選 優勝
第10回全国高校7人制ラグビー大会 プレートトーナメント準決勝
第71回大分県高等学校総合体育大会 優勝
第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 2回戦
専門家のサポートで練習以外の部分の解像度が上がった
Q:とても万全なスタッフ体制だなという印象なのですが、この体制に落ち着くまでに時間はかかりましたか、それとも初期の頃からこの体制を実現できていたのでしょうか。
└当初は前任の監督と僕の2人体制でした。そこから数年かけて少しずつ増えていって、ここ2,3年で今の体制になりましたね。僕らは練習やラグビーのスキルそのものの判断や指導はできるけど、例えばケガのことだと自分が経験した範囲でしか判断できませんから、やはり専門的な方の意見も必要ですし、食事面においてもコンディション面においても、栄養士やトレーナーのサポートをもらうことでより効果的にレベルアップできると思いますね。
Q:ケガの状況については『Atleta』を使って管理いただいていますが、この辺りの情報をトレーナーと連携されているということですか。
└『Atleta』を見てもらいながらケガから復帰までのケアや選手の指導をお願いしています。選手自身が、ケガからの復帰のために何をするべきなのかをトレーナーとやり取りすることで、ケガした後の取り組みへの意識が違ってくるので、このような使い方をしています。
Q:さに『Atleta』の理想的に使い方だと思っているので、ご活用いただけて嬉しいです。
└僕らだけじゃ気づかないところもしっかり見てくれるので、練習以外の部分の解像度が上がりました。
コーチとして重要なのはいかにベストメンバーを大事な試合に立たせてあげられるか
Q:具体的に『Atleta』の活用についてお伺いしたいのですが、コーチは選手のどのようなデータを注視されていますか。
└基本的に選手が登録する疲労度は毎日チェックしていて、その疲労度に合わせて練習メニューをコーチ陣と話し合って作成しています。1週間分を見ていますが、しんどい練習をした次の日とかはコンディション管理一覧で一人ひとりの登録された疲労度を見ています。
Q:疲労度についてですが、具体的に気にする値というか目安みたいなのはありますか。
└選手たちはそこの入力の仕方が極端と言いますか、疲れているときは90とか100とか書いてくるんです。疲れていないときはほぼ0みたいな感じで、分かりやすいと言えば分かりやすいのですけどね。全体の平均を見て、チーム全体の平均が高い場合はその日の練習は短めにするとか、コンタクトメニューを減らすとか、そういった感じで練習メニュー組む際には活用しています。
Q:『Atleta』でケガ管理をすることで、得られた成果などはありますか。
└それこそ今回優勝できた九州大会ではほとんどベストメンバーで挑めましたし、ここ最近の練習でもほぼケガ人が出ない状態が続いていて、夏合宿やこれから始まる7人制ラグビーの全国大会(結果:準優勝)に向けてフルメンバーで、今練習が常にできている状態なのが成果だと感じています。
コーチとして重要なのはいかにベストメンバーを大事な試合に立たせてあげられるか、そしてそれに向けた健全な競争をさせられるかだと思います。みんなが上手くなった状態で最後にメンバーを選べる状態が、チームにとっても選手にとってもベストであって、その中でケガは一番もったいないので、そういった面で現状はとても良い状態だと思います。
最終的にどんな結果を残したいのかという大きな目標をきちっと決めさせる
Q:選手の基準が上がってきた結果が強さに繋がったとのことですが、チームとしての目標達成も近くなってきたなといった実感はありますか。
└勝ち負けも大事なんですが、彼らが望む目標を達成させたいとは思います。
それに向けて選手たちが高い意識を持てるようになってきたことは非常に喜ばしいことですが、じゃぁ日本一になるためにラグビーをしているのかと聞かれると、それはどうかとも感じていて。もちろん彼らが日本一を目指している以上、それに向かってサポートするし、そのための練習を考えますし、コーチ陣とも協力していきますけど、僕自身「是が非でも日本一に!」っていう感じではないかもしれないです。
Q:選手たちの目標設定を重視されていると伺ったのですが、具体的にどのような取り組みをされていますか。
└年度始めには目標設定について選手たちに話をして、どのレベルに行きたいのか、最終的にどんな結果を残したいのかという大きな目標をきちっと決めさせて、その成功のためにどんな日々の過ごし方をするのか、どのレベルの練習をしていくのかを意識させるようにしています。そうすることで、日々の反省の材料になったり、具体的にこんな技術が必要だねということを選手たちに求めやすくなったりするんです。ただ単に「勝つぞ」だけでは何も続かないので、目指すべきものをより具体的にした目標を立てさせることを重要視していています。目標立てさせるために、長くて3日間話し合うこともありますよ。
Q:それほど重要度を高く設定されているのですね。
└設定した目標に対して日々の練習がそのレベルに達しているか常に振り返らせて選手と話すようにしています。目標がちゃんと設定できていないと今何をしているのかよく分からない状況になりますからね。