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2023.10.18
目的に沿ったトレーニングで効果アップ!エクササイズの選び方、負荷や回数の決め方
第四回は、目的を決めてトレーニングを行うための「エクササイズの選び方、負荷や回数の決め方」をご紹介します。
一概にトレーニングといっても
レジスタンストレーニング(例:スクワット)
何らかの負荷を身体にかけて行うトレーニング
SAQトレーニング(例:ラダー)
様々な「速さ」の要素を鍛えるトレーニング
プライオメトリックストレーニング(例:タックジャンプ)
爆発的なパワー発揮を養成するトレーニング
など様々な種類があります。
さらにレジスタンストレーニングでも、なにを目的とするかによって
などを設定する必要があります。今回はレジスタンストレーニングの実施方法に焦点を当てて説明していきます。
実際にレジスタンストレーニングを行う際には、トレーニング種目の特性や競技の動作、動員される筋だけでなく、選手のトレーニングの習熟度、利用できる機器、スペース、時間等を考慮してトレーニングの種目を決定していきます。
どのようなトレーニングを行うかの選択は、その選手の現状の能力等をよく理解しなければなりません。
そのためにも以前のコラム(”経験”に根拠を持たせて強くなる!「データに基づいたスポーツ医科学サポート」の重要性)の「各種測定」によって選手の状況を把握すると、より的確なエクササイズが選択できます。
跳躍動作を鍛えるトレーニング
状況によってどのエクササイズを行うのかを選択していきます。
トレーニングを行う際には競技動作に対応した種目だけでなく、「筋(筋群)のバランス」も考えてトレーニングを行ってください。
例えばレッグエクステンションでは動作を起こす筋である、大腿四頭筋が主働筋となります。
レッグエクステンションばかり行っていると、拮抗筋※であるハムストリングスとの筋のバランスが崩れ、ケガにつながることもあります。
※拮抗筋とは
大腿四頭筋とハムストリングスのように同じ関節をまたぎ、それぞれが関節の動きに対して反対の作用をする筋肉のことを呼びます。
筋力やパワーの比率が適正であるとき、筋のバランスがいい状態といいます。
「最大筋力の絶対値が等しい=バランスがいい」ということではありません。
筋のバランスは「等速性筋力測定」で把握できます。
等速性筋力測定は、筋肉の収縮速度が一定のまま力を発揮できるような機器で筋力を測定します。
等速性筋力測定の様子
測定結果やフィードバックシートなどを見て、筋バランスの崩れが分かったら、その弱い筋を鍛えるためのエクササイズも取り入れましょう。
京都トレーニングセンターでの筋力測定(膝関節)フィードバック用紙の一部
エクササイズの順序は、その後に行うエクササイズに与える影響を鑑みて決めてください。エクササイズの順序を決める方法についていくつか例を挙げてみます。
①パワーエクササイズ
②コアエクササイズ
③補助エクササイズ
①上半身のエクササイズ
②下半身のエクササイズ
①と②を交互に行います。
①押す動作のエクササイズ
②引く動作のエクササイズ
①と②を交互に行います。
このような例がありますが、これらは傷害の予防やエクササイズ間の疲労の軽減を目的としています。
レジスタンストレーニングをする際の負荷や回数はどのように設定されているでしょうか。
1RM(最大挙上重量:正しいフォームで1回しか持ち上げられない重さ)から目的となる推定重量を、RM換算表から探し、トレーニングを行います。
1RM の80%でトレーニングしたい場合、8回で限界となるような重量=8RMを探す、というような方法で行います。
近年、筋肥大を目的とした場合では、週単位の総負荷量を指標にトレーニングすることが有用であると示唆されていますが、心身の疲労や実施時間を鑑みて以下の範囲内に設定しています。
RM換算表(Thomas R. Baechle・Roger W. Earle編,NSCA決定版 ストレングス&コンディショニング,2010より改変)
目的が
筋力アップ:持ち上げる重さが重く、少ない回数でトレーニング(赤色ゾーン)
筋持久力アップ:持ち上げる重さが軽く、たくさんの回数でトレーニング(緑色ゾーン)
のように、目的に合わせて適切な重量や回数でトレーニングをするようにしましょう!
8RMの重量は1RMの80%=96kgというように見ることが出来ます。
トレーニングを続けて112㎏で8回できるようになったら1RMは推定140㎏となります。トレーニング前より1RMが20kg増えました。
Velocity Based Training(VBT)とは、エクササイズの挙上動作における「Velocity(速度)」をチェックし、その速度に基づいてエクササイズの負荷や量をコントロールする方法です。
VBTを計測するデバイスをバーに装着してトレーニングする様子
トレーニング目的ごとのスピードゾーン対応表(長谷川裕 VBTの理論と実践、2017)
その日の各個人のコンディションに合わせた適切な重量や回数へと調整することができます。
また、挙上速度を数値化していることから、指導者は客観的に選手の状態を把握でき、選手自身も数値を見ることにより意欲的に取り組むことができます。
VBTを行う注意点としては選手が最大努力で行わず、意図的に目的となる速度になるようにコントロールすることができてしまいます。
また、正しいフォームを習得していない内に、挙上速度を意識してしまうとケガにつながる恐れもあるので、まずは正しいフォームの習得から始めることが大切です。
RMを基準としたトレーニング方法やVBTなど、様々なトレーニングを紹介いたしました。
どれが優れているということではなく、今のチームや自分に合った方法を選択、組み合わせていくのかが重要となってきます。
参考文献
Thomas R. Baechle・Roger W. Earle編(2010)『NSCA決定版 ストレングス&コンディショニング』金久博昭総監修,有限会社ブックハウス・エイチディ.
長谷川裕(2017)『Velocity Based Trainingの理論と実践』,エスアンドシー株式会社.
Baz-Valle, E., Fontes-Villalba, M., & Santos-Concejero, J. (2021). Total number of sets as a training volume quantification method for muscle hypertrophy: a systematic review. The Journal of Strength & Conditioning Research, 35(3), 870-878.
京都トレーニングセンターとは・・・?
ジュニアアスリートの強化拠点として 2016 年7月に京都府立丹波自然運動公園内に開所された、京都府立の施設。
競技成績の向上、自己記録の更新。地区大会、全国大会、更には世界へ。
京都トレーニングセンターを利用される方やチームが、それぞれの目標を達成できるよう科学的トレーニング・サポートを行っています。科学的トレーニング・サポートを行うために、筋力測定や体組成測定やフィールドテスト等の各種測定を各個人、各チームのニーズあった測定項目をテーラーメイドにて実施。
各種測定後には、データ返却(データフィードバック)にも注力し、測定結果に基づいたトレーニングあるいは、今後のアプローチについて指導者及び選手と相談しながら実施しています。
また、最大300名の宿泊施設も有しており、京都府立丹波自然運動公園の有する各種スポーツ施設も利用し、スポーツ医科学サポートを利用しながらの合宿も可能な施設です。
詳細はHP(http://www.kyoto-tc.com/)を御覧ください。
2017年当時のCMはこちら
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