和歌山信愛高等学校 女子ソフトテニス部
5度目のインターハイ優勝。前任監督から引き継ぐ密な会話で構築された強い信頼関係とは(和歌山信愛・ソフトテニス)
和歌山信愛高等学校 女子ソフトテニス部/中山 陽司監督、近森 舞トレーナー
<チームの情報>2022年10月現在
部員数:23名
指導者数:4名(総監督、監督、トレーナー2名)
Atleta導入時期:2017年11月
<主な成績>
・インターハイ2022 団体戦優勝(7年ぶり5度目)、個人戦第5位
・ゴーセン杯争奪ハイスクールジャパンカップソフトテニス2022 シングルス優勝、ダブルス第3位
・全日本高等学校選抜ソフトテニス大会 2022 準優勝
選手の状況がリアルタイムで見えるようになったのでとても便利
Q:『Atleta』の導入を決めていただいいたのは前監督の林先生でしたよね。
└そうですね、始めたきっかけは林先生です。実際に『Atleta』を活用しているのは近森トレーナーになります。選手には痛めた部位などを明確に入力させているので、その内容を確認してもらいながらサポートしてもらっています。我々顧問側ももちろんケガの情報は確認しますが、主に体調とか精神面、肉体面の疲労度といった部分を注視しています。(中山監督)
Q:『Atleta』導入前後で選手たちのコンディションを見る観点は変わりましたか。
└『Atleta』導入前は紙でやっていたのですが、導入してからは選手に入れてもらう項目数が増えましたね。それこそ睡眠の時間や質、あとは練習意欲も見るようになりました。そうすることで、痛みと意欲がどう繋がっているか、例えば、「疲れているけど意欲は高くて練習強度を上げている選手がいるなぁ」とか、そういったことがリアルタイムで見えるようになったのでとても便利に活用させてもらっています。紙の運用からアプリに変わったことで良かったことしかないですよ。選手の状態をリアルタイムで見られるってのがすごく助かっています。あとは振り返りしやすくなりました。積み重ねてきたものが記録として残るのが良いですね。(近森トレーナー)
Q:中山監督はどういった観点で『Atleta』の記録をご覧になっていますか。
└選手個々というよりもチーム全体の推移を見ています。時期的に追い込みをかけている時期などは、ある程度選手たちの疲れ具合を参考にしながら練習強度を考えたり、逆に大会前には強度を下げたり。この辺は本人たちからこっちに直接は言いづらいことでしょうけど、長期的に記録を続けて、入力し慣れてくるとさらけ出せる部分だと思うので、そういった目安を確認するためのツールとして『Atleta』は非常にありがたいです。(中山監督)
選手たちにはセルフコンディショニングをできるようになってほしい
Q:『Atleta』を導入してから選手たちの意識が変わったなと感じる点はありますか。
└大会前に自分がどんな疲労度だとか、何を食べていたとか、何時間寝ていたとか、そういったことは意識できてきたかなと思います。『Atleta』とは別にクラブノートもつけさせていて、そちらには日頃の練習メニューやその日の指導内容、自身の課題などを書いてもらっているのですが、その中にコンディションに関連したものが増えてきました。「前回大会はこんなコンディションだった、だから次はこんな準備をしないといけない」みたいなこと内容をよく見ますよ。(中山監督)
『Atleta』を使う中で選手たちにはセルフコンディショニングをできるようになってほしいと思っています。そういった部分でいうと、1年生でできなかったけど3年生になって習慣化できたことで、「やらないと気が済まない」って子が出てきたりもしているので、非常に良い傾向だと思っています。今後もセルフコンディショニングが選手たちの中に定着してくれると嬉しいです。(近森トレーナー)
Q:年々セルフコンディショニングが習慣として根付いていくものなのですね。
└1年生の頃は自分のことよりも日常生活をこなすことで一杯一杯で、なかなか自分の管理に意識を回せないって子がほとんどなんです。それが経験を積み重ねてくると3年生になった頃には自分自身の調整がしっかりできてくるんですよね。例えば痛みに関してだと、今までだったら痛くなってから報告していた選手が、痛くなりそうな段階で自分の判断でアイシングしたりストレッチしたりケアしたり、そういったコントロールができているのを見ると「この選手は成長したなぁ」と感じて嬉しくなります。(近森トレーナー)
前任の林先生の時から選手との関係性は非常に理想的だった
Q:選手育成に関して意識していることや特別取り組んでいることなどがあれば教えてください。
└『応援されるチームになる』というのが目標の一つにありまして、応援されるためにどういった人間にならないといけないかについては選手に意識させるようにしています。あとは選手と指導者の関係性といったところも変えていきたいと考えています。昔の部活動だと、『選手は指導者に絶対服従』という考え方があったかと思うんですが、そういった関係は無くして、選手から我々指導者に言って来やすい、やり取りしやすい関係性のチームにしたいと思っています。それは林先生が監督の時からできていて、その時から選手との関係性は非常に理想的なものになっているので、参考にさせてもらいながら指導しています。(中山監督)
Q:指導者として選手とのコミュニケーションを取る中で気をつけていることはありますか。
└選手との距離感は気にしています。とにかく『まめに話す』こと。なんてない会話でも良いので、日頃から選手たちを見る中で気になった様子があれば声をかけることです。その点は林先生も非常に細かくされていたので、そこに尽きると思います。とは言っても自分はまだ林先生ほど細かくやりきれていないのですけど、それでも意識しています。(中山監督)
Q:今後のチームの目指す姿や目標を教えてください。
└今回インターハイで優勝できましたけど、実力があったわけではなくて、実力がないからこそ逆に開き直ってチャレンジ精神全開で喰らいついて行った結果だと思っています。その気持を忘れずに、伝統あるチームだという誇りも持ちつつも、「今までのすごい成績はあくまで先輩たちが凄かっただけで、自分たちはまた違うんだ」というひたむきさを選手たちが持つことが大事。その気持ちを忘れずに、チャレンジして向かっていける選手にしていかないといけないと思います。(中山監督)